【医師が指導】緑内障の失明を予防!「温めケア」と目薬の効き目を高める「まぶたマッサージ」

【医師が指導】緑内障の失明を予防!「温めケア」と目薬の効き目を高める「まぶたマッサージ」

緑内障は、日本人の失明原因の第1位を占めています。緑内障の進行が緩やかであるため、初期の段階では視力障害があっても、多くの人は気づきません。点眼薬による治療と並んで大事なのが、日ごろの目のセルフケアです。私は、緑内障の患者さんに、目の温パックを勧めています。【解説】平松類(彩の国東大宮メディカルセンター眼科科長)


まぶたが冷えると目の痛みや乾燥を招く

緑内障は、眼圧(眼球内の圧力)が高くなって視神経を圧迫し、視神経に障害が起こり、視野が狭まったり(視野狭窄)、部分的に見えない部分ができたりする(視野欠損)病気です。
緑内障は、日本人の失明原因の第1位を占めています。

近年、日本緑内障学会が行った大規模調査(多治見スタディ)によれば、40歳以上の日本人における緑内障の有病率は、5%。つまり、40歳以上の日本人の、20人に1人の割合で緑内障の患者さんがいることになるのです。
緑内障は、年齢とともに増加し、70代になると10人に1人が緑内障とされています。

緑内障の進行が緩やかであるため、初期の段階では視力障害があっても、多くの人は気づきません。
自覚症状が出たときには、すでに病気がかなり進行していることが多く、失明する危険もあるのです。

そのうえ、障害された視神経は元に戻すことができません。ですから、緑内障とわかったら、今の目の状態を維持させることが大事です。
早期に発見できれば、点眼薬で進行をおさえることも可能です。

点眼薬による治療と並んで大事なのが、日ごろの目のセルフケアです。

私は、緑内障の患者さんに、目の温パックを勧めています。

●目の温パック

❶ タオルを2本用意します。

❷ 水に浸して軽くしぼり、電子レンジで約20秒温めます。

❸ 熱すぎない温度(40度前後)になったら、目を閉じてまぶたの上にのせます。冷めてきたら、もう一つのタオルに替え、合計で5分ほど温めます。

これを朝と夜の2回行ってください。

目の温パックは、入浴中に行うといいでしょう。40度前後のおふろのお湯なら、目を温めるのに適温です。
緑内障の患者さんは、たいていまぶたが冷えています。

まぶたが冷えると何が起こるのでしょうか。

涙は、通常、絶えず分泌されて、目を保護しています。涙の表面は油で覆われていますが、この涙の油は、上下のまぶたの内側にあるマイボーム腺から分泌されます。

まぶたの血流がよければ、マイボーム腺からスムーズに油が分泌されます。
しかし、まぶたが冷えていると、その血流が悪くなり、油が固まって分泌腺が詰まり、涙の質が悪くなってしまうのです。

涙の質が悪くなり、涙の表面を覆っている油の層が少なくなると、涙を目にとどめることができなくなります。
この結果、目が乾燥し、目の奥が痛くなったり、見えにくくなったり、さらには頭痛が起こったりすることもあるのです。

目の温パックでまぶたの血行がよくなると、涙の質が改善し、ドライアイを解消します。
ですから、目の温パックは、心地よい温度で目の油を緩やかに溶かし、広げるようなイメージで行うとよいでしょう。

眼圧を下げる点眼薬の効きめが高まる!

さて、今回のテーマである、目を温める方法に加えて、まぶたさすりもいっしょに行うと、より効果的です。

●まぶたさすり

目を温めて血流がよくなったあとに、まぶたをさすると、油の分泌がさらに促されます。
マイボーム腺は、縦に通っており、まぶたの際から、油が分泌されています。その腺に沿って、油を押し流すように軽くさすります。

❶ 右目を閉じ、人差し指を横にして上まぶたに当て、上まぶたの3ヵ所(耳寄り・中央・鼻寄り)を、3回ずつ行います。

❷ 右目を閉じたまま、人差し指を横にして下まぶたに当て、下から上に軽くさすります。同様に、3ヵ所(耳寄り・中央・鼻寄り)を、3回ずつ行います。

① ② を、左目にも行いましょう。
まぶたさすりを行う際は、絶対にまぶたを強く押さないようにしてください。
まぶたを温めてさすると、目の血流がよくなり、涙の質が改善します。加えて、リラックス効果も期待できます。

ストレスは緑内障を発症する原因の一つですから、これを解消することも、緑内障の進行を抑制するのに役立つのです。
これらのケアをきちんと実践することによって、「目が見えやすくなった」という人がいました。

低下していた実用視力(通常の視力検査ではなく、日常的に見えている視力)が回復したのです。また、「眼圧が下がった」という人もいました。
これは、セルフケアで涙の質がよくなり、眼圧を下げる点眼薬が目によくとどまるようになり、結果として、薬剤がより効果を上げたためと考えられます。

なお、アレルギーがあり、目にかゆみや腫れがある場合や、目の手術をした直後は、目の温パックやまぶたさすりは行わないでください。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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