頭がふわふわする【ストレートネックが原因かも】「めまい」の原因と対策

頭がふわふわする【ストレートネックが原因かも】「めまい」の原因と対策

めまいが起こったとき、それが危険なめまいなのか、危険でないのか。それは、めまいの現れ方で、ある程度は推し量ることができます。そこでまず、めまいのタイプからお話ししましょう。【解説】坂田英明(川越耳科学研究所クリニック院長)


坂田英明
1988年、埼玉医科大学卒業。ドイツ・マグデブルグ大学耳鼻咽喉科研究員、埼玉県立小児医療センター耳鼻咽喉科副部長、目白大学教授等を経て2015年より現職。専門はめまい、耳鳴り、難聴、イビキ、睡眠時無呼吸。

めまいの多くは心配いらない

「めまい」とは、自分や周囲の物が動いていないのに、動いているように感じる、錯覚ないしは異常感覚を指します。
 めまいの原因は、耳や脳、心臓の病気、頸椎(首の骨)の変形、動脈硬化など全身にわたります。
 また、ストレス、寝不足、毛染め、化学物質など、現代人の生活環境の中に、めまいの引き金となる要因もあります。
 めまいの大半は、大きな心配がいらないものです。しかし、なかには脳出血や脳梗塞(脳の血管が詰まって起こる病気)など、生命にかかわる重篤な病気が隠れている、危険なめまいもあります。その場合は、ただちに専門医を受診し、治療を行う必要があります。
 ある日、突然やってくるめまいに、落ち着いて対処するには、ふだんからめまいの知識を身に付けておくことが大切です。
 めまいが起こったとき、それが危険なめまいなのか、危険でないのか。それは、めまいの現れ方で、ある程度は推し量ることができます。そこでまず、めまいのタイプからお話ししましょう。
 めまいは大きく分けて、次の二つのタイプがあります。

1.回転性のめまい→大半は安心

 自分や周囲の物が、グルグルと激しく回っているように見えるめまいです。激しい症状のため、立つ、歩くなどの動作が困難になったり、吐き気や耳鳴りが起こったりします。
 いきなり目がグルグルと回り吐き気がすれば、不安になるでしょう。しかし、回転性のめまいのほとんどは、内耳に原因があって起こるもので、生命の危険はない、安心なめまいです。

2.浮動性のめまい→危険なケースもある

 体がフワフワし、足元がフラフラして雲の上を歩いているように感じられるめまいです。両側の内耳の異常のほか、脳の病気でも起こります。
 めまいに加え、激しい頭痛、手足のしびれやマヒ、ろれつが回らないなどの症状をともなう場合、脳の病気が疑われます。生命に関わる危険なめまいなので、脳神経外科や神経内科を至急受診してください。
 回転性のめまいでも、同様の合併症状があれば、迷わず病院を受診しましょう。

原因の多くは耳にある

 次に、めまいの原因は、大きく二つに分けられます。

1.耳からくるめまい

 めまいの原因で、圧倒的に多いのは耳からくるものです。耳は聴覚をつかさどる感覚器ですが、もう一つ、体の平衡感覚(体のバランスを保つ機能)を保つという、大切な役割があります(6ページの内耳の図を参照)。
 耳の奥の内耳には、蝸牛、前庭、耳石器、三半規管があります。蝸牛は鼓膜から伝わった音の振動を電気信号に変えて脳に伝える働きをしています。
 前庭にある耳石器は、体の傾きや直線運動を感知する器官です。耳石器の中には、砂のような小さな結晶(耳石)が入っており、その動き方を感覚細胞がとらえて、体の傾きや直線的な動きを認識します。
 三半規管は、頭や体の回転や、そのスピードを感知する器官です。三半規管の内部はリンパ液で満たされており、リンパ液の流れ方から、頭がどのような速さで、どの方向に動いたかという情報をとらえます。
 三半規管と前庭がとらえた体の動きや傾きなどの情報は、前庭神経を介して小脳に集められます。大脳は小脳の情報を整理し、全身に体のバランスを保つよう指令を出します。
 これら内耳の器官のどこかに障害が起こると、平衡感覚が乱され、めまいが起こります。代表的なものに、回転性のめまいが起こるメニエール病、良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎などがあります。

2.脳からくるめまい

 脳梗塞、脳出血、椎骨脳底動脈循環不全など、脳の障害が原因でめまいが起こります。回転性のめまいや、フワフワするめまいが主です。

ストレートネックもめまいを引き起こす

 また、首からくるめまいも見逃せません。首の骨である頸椎の変形や老化が原因で、めまいが起こることがあります。脳に血液を送っている内頸動脈と椎骨動脈のうち、椎骨動脈は頸椎の中を通っています。

 今、スマートフォンを長時間見るなどして、うつむき姿勢が続き、頸椎のカーブが失われた「ストレートネック」になっている人が増えています。
 すると、頸椎内部の椎骨動脈が圧迫され、平衡感覚を保っている脳幹や小脳への血流が減少し、椎骨脳底動脈循環不全と呼ばれる、フワフワするめまいが起こるのです。
 加齢などにより、椎骨動脈の動脈硬化が進行した場合も、同様のめまいを引き起こします。
 めまいの発症には、耳や脳の病気のほか、生活習慣病やストレス、睡眠不足なども密接にかかわっています。そのため、生活習慣や食事を見直し、リスクファクターを減らして、めまいを改善することが大切です。

めまいの良医は問診を大切にする

 もし、急にめまいが起こったら、次のように対処します。

①めまいがしない姿勢をとる

②衣服をゆるめる

③目は閉じないで一点を見る

④治療中の人は、吐き気止めなどの頓服を服用する

⑤風通しのいいところで休む

 軽いめまいでも、念のため病院で検査、治療を受けておけば安心でしょう。
 その場合、総合病院を受診すると、症状から適切な診療科がわかります。脳神経外科では、MRI(磁気共鳴画像)やCT(コンピュータ断層撮影)などの機器で脳の病気の有無を、内科では血圧や心電図などで心臓病の有無をみます。
 これらの検査で脳などに異常がなければ、耳鼻咽喉科を受診することになりますが、耳鼻科医だからといって、めまいのエキスパートとはかぎりません。
 めまいの専門医がいる「めまい外来」か、日本めまい平衡医学会が認定した、「めまい相談医」のいる耳鼻咽喉科を受診するとよいでしょう(リストは日本めまい平衡医学会を参照)。

 良医を選ぶ最大のポイントは、「問診を大事にしているかどうか」です。
 めまいの発症には、生活環境や社会的な要因、過去の病気、ケガなどが複雑にからんでいます。めまいの原因を突き止めるために、丁寧な問診を行う医師を選びましょう。
 診察の際、症状について詳しく伝えると、診断と治療に役立ちます。上の表の項目を参考に、メモを用意して行くことをお勧めします。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

関連する投稿


【不眠が改善】自律神経を整える「オルゴール療法」で不安感や頭痛も解消した

【不眠が改善】自律神経を整える「オルゴール療法」で不安感や頭痛も解消した

頭痛やめまい、不安症といった症状とともに生じる不眠は、睡眠薬などの効果が不十分であることも多く、対処が難しいのが特徴です。このような不眠に対して、私が5年前から治療に導入して、効果を感じているのが「オルゴール療法」です。【解説】星野茂(ほしの脳神経クリニック院長)


【物忘れを改善する食事】ニンニク油で記憶力が回復 高血圧やめまいも撃退

【物忘れを改善する食事】ニンニク油で記憶力が回復 高血圧やめまいも撃退

ニンニク油は脳によい理由の一つは「アホエン」という物質です。多くの研究が行われており①抗酸化作用②血小板凝集抑制作用③血中コレステロール値改善④尿酸値改善・抗ガン作用⑤殺菌、抗ウイルス作用、また近年の研究で、記憶力の向上や認知症の予防に役立つことがわかってきました。【解説】篠浦伸禎(都立駒込病院脳神経外科部長)


【体験談】ストレートネック(首猫背)が改善!「首腰枕」で抜け毛が減った

【体験談】ストレートネック(首猫背)が改善!「首腰枕」で抜け毛が減った

私はパティシエの仕事をしています。一日の仕事を終える頃には、首から背中、腰もパンパンに張り、足は棒のようになります。体のむくみもひどく、朝にはいてきた靴が夕方にはきつくなって、足がなかなか入りませんでした。20年近く続けていたのですが、仕事中に物忘れが増えたことに気付きました。【体験談】野田るみこ(経営者・46歳)


首が痛い人【頚椎症】の「枕選び」 首を反らす枕や、低い枕にご注意!

首が痛い人【頚椎症】の「枕選び」 首を反らす枕や、低い枕にご注意!

最近は、首に当たる部分が隆起し、後頭部が下がる形の枕がふえています。これは、健康な人ならよいのですが、頸椎症の人、なかでも頸椎症性神経根症などの人が使うと、神経の圧迫を強くして症状を悪化させるおそれがあります。【解説】竹谷内康修(竹谷内医院カイロプラクティックセンター院長)


【気象病専門医が解説】低気圧が原因のめまい・頭痛は“首の骨の歪み”が原因 セルフケア法は?

【気象病専門医が解説】低気圧が原因のめまい・頭痛は“首の骨の歪み”が原因 セルフケア法は?

私は、「歪んだ体が血行不良を起こし、めまいを招いているのでは」と考えました。そこで私が注目したのが、ズレた骨の位置を整え、体の歪みを正す、カイロプラクティックという手技療法でした。【解説】久手堅司(せたがや内科・神経内科クリニック院長・神経内科専門医)


最新の投稿


【痔の治し方】9割は手術なしで治ると名医が断言!対策は“きな粉牛乳”

【痔の治し方】9割は手術なしで治ると名医が断言!対策は“きな粉牛乳”

痔の治療というと、薬や手術を思い浮かべる人が多いことでしょう。しかし、実はたいていの痔は切らずに、日常生活でのセルフケアで治せます。その際、大きな力になってくれるのが、「きな粉ドリンク」です。【解説】平田雅彦(平田肛門科医院院長)


【きな粉の栄養】ガン予防効果は食品トップクラス 大豆摂取で効果が期待できる病気は?

【きな粉の栄養】ガン予防効果は食品トップクラス 大豆摂取で効果が期待できる病気は?

きな粉は、焙煎した大豆を砕いて粉末にした食品です。豆腐や納豆、みそといった大豆食品と違い、ほかの物質や成分を加えておらず、大豆の栄養成分がほぼまるごと受け継がれています。栄養成分的には、「きな粉=大豆」と考えてよいでしょう。【解説】三浦理代(女子栄養大学栄養学部教授)


【便秘・骨粗鬆症予防】効果が倍増する“きな粉”のちょい足し食材は「牛乳、バナナ、ヨーグルト、みそ汁」

【便秘・骨粗鬆症予防】効果が倍増する“きな粉”のちょい足し食材は「牛乳、バナナ、ヨーグルト、みそ汁」

きな粉を使ったレシピを難しく考える必要はありません。ここでは、毎日簡単に続けられる4大・きな粉レシピを紹介します!【監修】三浦理代(女子栄養大学栄養学部教授)


【体験談】「マインドフルネス呼吸法」で夫婦ゲンカ激減した!気持ちが落ち込まなくなった

【体験談】「マインドフルネス呼吸法」で夫婦ゲンカ激減した!気持ちが落ち込まなくなった

マインドフルネス呼吸法は、ウツウツとするときや、クヨクヨするときに行えば、気持ちを切り替えることができます。また、軽いうつの人であれば、症状が軽減すると言われています。「マインドフルネス呼吸法」を実際に行った人の体験例3名をご紹介しましょう。【解説】石井朝子(ヒューマンウェルネスインスティテュート代表、心理学博士)


【ストレスを軽くする方法】「マインドフルネス」は実は日本人になじみ深い?

【ストレスを軽くする方法】「マインドフルネス」は実は日本人になじみ深い?

マインドフルな状態に自分を置き、心に余裕を持ち、目の前にある問題を冷静に観察していきましょう。そうすれば、その問題に対してどのように関わっていけばいいのか、冷静に判断できるようになります。【解説】大野裕(一般社団法人認知行動療法研究開発センター理事長・医師)