【大学教授解説】脳梗塞や心筋梗塞を予防する「にんにく」の抗血栓作用

【大学教授解説】脳梗塞や心筋梗塞を予防する「にんにく」の抗血栓作用

抗血栓作用の高い食物ばかり大量に食べて、ほかのものが食べられなくなってしまっては、栄養に偏りが出て、本末転倒です。日常の食事に、ニンニクを意識して取り入れるだけで、ちょうどいいのです。それだけで、脳梗塞や心筋梗塞の予防効果がじゅうぶん期待できます。【解説】山本順一郎(神戸学院大学名誉教授)


ニンニクは加熱しても高い抗血栓効果を発揮

私は30年以上にわたり、血栓に関する研究を行っています。
血栓とは、血管の中にできる血の塊のことです。

血栓ができると血流が阻害され、脳梗塞や心筋梗塞など、死に直結する重篤な病気につながります。
血液は、酸素や栄養素、ホルモンなど、生きるために必要な物質を全身の細胞に運ぶ役割を担っています。

また、血液は、全身の細胞でできた二酸化炭素や老廃物などを回収します。
血栓ができて血流が滞ると、生命維持のための働きができなくなります。

例えば、心臓を養う動脈(冠動脈)に血栓ができると、心臓の筋肉の細胞が死んでしまいます。
この状態が、狭心症や心筋梗塞です。最悪の場合には、心臓の機能が障害されて、死に至ります。

同様に、脳の動脈が血栓でふさがれることで起こるのが、脳梗塞です。
また、糖尿病の患者さんの場合、血栓によって目の網膜にある細い血管がふさがれ、失明することもあります。

腎臓病においては、尿を作る腎臓の血管が血栓で詰まると、腎機能が破壊されてしまいます。
病状が進行すると、腎不全に陥り、人工透析を受けることになります。

このように、血栓性の病気は、人体に多大な影響を与えます。
これまで私は、血栓性の病気を予防することのできる食べ物を探してきました。

具体的には、実際にネズミの血管内にレーザーで血栓を作り、どの食べ物が抗血栓作用を持つか調べたのです。
タマネギ、リンゴ、ジャガイモ、ブドウ、イチゴなど、約15種(約250品種)の野菜や果物を調べました。

同じ作物でも、品種により、血栓の形成を抑制するものと、その作用がないものがありました。
そのなかで、強弱の差はありますが、品種を問わず抗血栓作用を示したのが、ニンニクです。

食物は、通常調理して食べることが多いので、実験では、生のしぼり汁と、加熱処理したしぼり汁を用いました。
加熱実験では、ニンニクのしぼり汁を摂氏100度で10分間加熱し、冷ましたものを使いました。

そして、しぼり汁をネズミに経口投与し、血栓を抑制するか調べたのです。
その結果、ニンニクには、突出した抗血栓効果があることがわかりました。

私も血液検査では問題なく「健康」

同じ野菜でも、品種によって効果が違います。

タマネギは15品種を調べたところ、抗血栓作用が認められた品種は、北海道産で10品種中3品種、兵庫県淡路島産で5品種中1品種でした。

リンゴは16品種のうち11品種。ジャガイモ(春〜夏に収穫する品種)では、20品種中5品種でした。

しかし、ニンニクでは効果の大きさに違いはありますが、15品種すべてに抗血栓作用が認められたのです。

興味のあるかたは、拙書『脳卒中・心筋梗塞・認知症などの生活習慣病を予防する野菜・果物を見分けるコツ─おいしさplus 血栓予防─』(デザインエッグKK出版)をご覧ください。

生体内では、さまざまな要素が絡み合って、いろいろな現象が起こっています。
ですから、ニンニクをとることで血栓ができにくく、溶けやすくなるメカニズムは、簡単に説明することができません。

ただ、1981年に発表された、日本大学名誉教授・有賀豊彦先生の論文は参考になります。
ニンニクを漬け込んだ油のなかには、動脈における血栓形成で中心的な働きをする血小板の作用を抑制する成分が含まれており、血栓の発生を防ぐとのことです。

私自身、ニンニクを炒め物やスープに入れて、ふだんから意識して食べています。
血液検査は問題なく、健康です。どんなに体にいい食物でも、おいしくなければ続けることが難しくなります。

その点、ニンニクは加熱することで香りがよくなって食べやすくなります。
具だくさんのスープや炒め物、煮物などに、ニンニクを活用するといいでしょう。

最後に、皆さんにお伝えしたいことがあります。健康のために重要なのは、程度とバランスです。
抗血栓作用の高い食物ばかり大量に食べて、ほかのものが食べられなくなってしまっては、栄養に偏りが出て、本末転倒です。

日常の食事に、ニンニクを意識して取り入れるだけで、ちょうどいいのです。
それだけで、脳梗塞や心筋梗塞の予防効果がじゅうぶん期待できます。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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