【痛みの専門医】脊柱管狭窄症や坐骨神経痛の痛みが悪化する「ストレス冷え」とは

【痛みの専門医】脊柱管狭窄症や坐骨神経痛の痛みが悪化する「ストレス冷え」とは

体が冷えていると、体が緊張して、交感神経が優位の状態が続きます。すると、血管と筋肉が収縮し、血流が滞りがちになります。血行が悪くなれば、組織に酸素や栄養素がじゅうぶんに行き渡りません。それが、痛みの悪化の要因となるのです。【解説】富永喜代(富永ペインクリニック院長)


冷えが痛みを増悪させる悪循環の原因!

ペインクリニックとは、体の痛みを和らげる専門医院のことです。
当院にも腰やひざ、頭などに深刻な痛みを抱えて、連日おおぜいのかたが訪れます。

例えば、脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニア、座骨神経痛などです。
これらの難治性の痛みの場合、なかなか症状が改善しないことが少なくありません。

複数の病院を渡り歩いてもよくならず、困り果てて私のクリニックに来るケースが多いのです。
こうした場合、投薬やブロック注射などの治療に加え、私は患者さんに、ある生活上のアドバイスを提言しています。

それが、おしりを温めることです。
痛みを悪化させ、治りにくくさせている大きな要因の一つが、体の冷えです。

それは、第1に体の冷えが自律神経のバランスをくずすことによります。
自律神経とは、私たちの体の諸機能をコントロールしている神経のこと。

いわば、生命活動の根幹を担っているといっても過言ではありません。
自律神経には、主に昼間の活動時に働く交感神経と、夜の休息時に働く副交感神経の2種類があります。

両者がバランスよく働くことで、私たちの健康状態は維持されているのです。
体が冷えていると、体が緊張して、交感神経が優位の状態が続きます。

すると、血管と筋肉が収縮し、血流が滞りがちになります。
血行が悪くなれば、組織に酸素や栄養素がじゅうぶんに行き渡りません。

それが、痛みの悪化の要因となるのです。
同時にまた、痛みによって血行が悪くなり、さらに冷えやすくなります。

その冷えが新たなストレスとなり、交感神経を優位にし、血行がいっそう悪化して痛みを増悪させる、といった悪循環を招いてしまうのです。

さらに、慢性的な痛みを抱える人は、痛みが日々くり返されることによって、より痛みを感じやすい体になっていきます。

わずかな刺激に対しても、それを痛みとして感じ取ってしまう反応システムが、患部と脊髄との間に出来上がり、それが痛みを先鋭化してしまうのです。
そして、この反応を強化しているのも体の冷えなのです。

ストレス冷えが解消し全身が効率よく温まる

体の冷えは、外気や生活習慣の悪化によってもたらされる一方、現代社会において、その大きな要因にストレスが挙げられます。

実際、痛みに悩む患者さんを診ると、大きなストレスを抱えていることがわかります。
私は慢性的なストレスが招く冷えを、「ストレス冷え」と呼んでいます。

ストレス冷えは、交感神経を過剰に緊張させて、体に痛みやコリを生じさせるだけではありません。
ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」の分泌を促すのです。

すると、血糖値やコレステロール値が上昇し、免疫力が低下してしまいます。
高血糖状態が続けば、糖尿病だけでなく、心筋梗塞や不整脈などの心血管疾患や、ガンのリスクも高まります。

さらに、高血圧や高脂血症の要因にもなりかねません。
まさに、ストレス冷えは、万病の元なのです。

このように、冷えには、通常の冷えと、ストレス冷えがあることがわかっていただけたかと思います。
そして、この両方の冷えを、最も効率的に取り除く方法が、前述した「おしりを温める」ことなのです。

それは、おしりが生物学上、とても重要な場所だからです。
おしりには、仙骨静脈叢と呼ばれる、静脈の交流地点があります。

心臓から送られた血液がいったん足先まで巡り、そして、心臓へと戻るときに通過するのが、この仙骨静脈叢なのです。
ここを保温すれば、血液が温かいまま心臓に戻ります。

すると、おしりだけでなく、全身を効率的に温めることができるのです。
おしりを温めることでストレス冷えが解消していき、自律神経のバランスが整ってコルチゾールの分泌もおさえられます。

脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアによる腰の痛みやしびれ、座骨神経痛、ひざ痛、さらに、糖尿病や高血圧、心筋梗塞といった生活習慣病の進行を防ぎ、改善へと導いてくれるでしょう。

では、実際に、どのようにおしりを温めればいいのでしょうか。
それは、別記事で詳しくご説明したいと思います。

富永喜代
2008年、愛媛県松山市に富永ペインクリニックを開設。医師、医学博士。『冷え、こり、痛み、ストレスも、コレで撃退!ヒップはらまき』(中央公論新社)など、著書多数。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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