【腸内フローラ】腸内細菌が元気になれば現代病の9割が解決!がんの予防にも効果

【腸内フローラ】腸内細菌が元気になれば現代病の9割が解決!がんの予防にも効果

腸内細菌は、私たち人の体が正常に働くようにサポートしてくれています。脳やほかの臓器、免疫細胞まで支配している、全身の司令塔でもあるのです。【解説者】本間真二郎(七合診療所所長)


日本人の腸内細菌は戦前の約半数まで減少!

今日、日本ではさまざまな現代病が増え続けています。
アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー性疾患、関節リウマチや潰瘍性せい大腸炎、クローン病などの膠原病、ガン、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、うつ、認知症などです。

アレルギー性疾患は、50年前は1000人に一人しかいませんでしたが、今は二人に一人。
ガンの増加も顕著です。

二人に一人がガンになり、三人に一人が亡くなる時代になりました。
医療は年々進歩しているはずなのに、なぜこんなに病気が増えるのでしょう。

それは、私たちの周囲から微生物が減っていることと深く関係しています。
18世紀後半に起こった産業革命以降、都市は整備され、土や微生物とふれ合う機会が激減しました。

その後、農薬や食品添加物、化学薬品、抗菌グッズなどが増え、ますます微生物は排除されます。
それに伴い、現代病が爆発的に増えたのです。

私たちの体は、細菌やウイルス、カビなどの微生物とかかわり、免疫をつけて丈夫になっていきます。
免疫とは「自分の体以外の物質を異物と判断し、排除する反応」のこと。

冒頭に挙げた現代病の多くは、この免疫異常によって起こっています。
そして、免疫異常を起こしている最大の原因が、微生物の減少です。

その最後のとりでとして踏ん張っているのが、おなかの中にいる腸内細菌なのです。
人の腸には、1000種類以上、1000兆個以上の腸内細菌がいるといわれます。

まるで、お花畑(フローラ)のようなので、「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれています。
しかし、日本人の腸内細菌は数も種類もどんどん減少し、いまや戦前の約半分にまで減っているといわれています。

人間がつくれない栄養素をつくってくれる

これらの腸内細菌にはさまざまな働きがあることが、最新の遺伝子解析によって解明されてきました。
腸内細菌は、私たち人間を助けてくれる優れた役割を持つのです。
その一部を簡単にご紹介しましょう。

(1)病原菌の侵入を防ぐ
腸の常在菌には縄張りがあり、その縄張りにほかの菌は入ることができません。
有害な病原菌の侵入を排除する、強力なバリア機能があるのです。

(2)食物の消化・吸収を助ける
食物を分解して、腸からの消化・吸収を助けます。

(3)必要な栄養素を供給する
人間にはつくれない必須アミノ酸、必須脂肪酸、ビタミン、ミネラルなどの栄養素をつくります。
健康な人であれば、1ヵ月以上、水分とミネラルの摂取だけで断食を行っても平気です。
これは、腸内細菌が必要な栄養素をつくってくれるからです。

(4)有害物質を分解する
農薬、食品添加物、発ガン物質、放射性物質など、あらゆる有害物質を分解し、無毒化してくれます。

(5)免疫系を調節する
腸には全身の7割の免疫細胞が集まっていますが、その免疫細胞に指令を出しているのが腸内細菌です。
免疫系が活性化されれば、ガンや感染症を招きにくくなります。
また、免疫の異常を調節し、アレルギーなどの現代病の発病を防ぎます。

(6)神経系や大脳活動を調節する
脳にはセロトニン、ドーパミンなどの神経伝達物質があり、神経や精神をコントロールしています。
腸内細菌はこれらの神経伝達物質を合成し、その材料である前駆物質を脳に送っています。
腸内細菌が元気であれば、脳のセロトニンが増え、うつ症状なども改善するのです。

(7)腸管運動を調節する
腸内細菌がつくる短鎖脂肪酸が、腸のぜん動運動(便を送り出す動き)を促し、便秘や下痢を予防します。

(8)腸以外の臓器を活性化する
腸内細菌は肝臓や腎臓にも間接的に指令を送り、それらの臓器の働きを活性化しています。

(9)脂質代謝を調節する
コレステロール値を下げたり、脂肪の吸収を抑えたりするなど、脂質代謝を調節。
肥満を防いでくれます。

(10)酵素やホルモンを活性化
酵素は、栄養素の分解、合成、解毒、代謝など、体内で起こる化学反応に必須です。
これがなくなったとき、寿命が尽きるといわれます。
腸内細菌はこの酵素を活性化し、さまざまな化学反応をスムーズに進めます。
また、女性ホルモンなどのホルモンをつくる働きもあります。

(11)短鎖脂肪酸をつくる
腸内細菌は、人が消化できない食物繊維を発酵させて短鎖脂肪酸をつくります。
この脂肪酸は、大腸の細胞のエネルギー源であり、アルカリ性に傾きがちな腸内を酸性にしてくれます。

腸内が酸性になると、悪い菌が増えず、発ガンも抑えられます。
短鎖脂肪酸は免疫を抑制する制御性T細胞(Tレグ)を増やし、アレルギーや膠原病を改善することもわかっていいます。

さらに、短鎖脂肪酸がつくられる過程で、大量の水素が発生します。
この水素は、全身の病気や老化を招く活性酸素を消去してくれます。

このように、腸内細菌は、私たち人の体が正常に働くようにサポートしてくれています。
脳やほかの臓器、免疫細胞まで支配している、全身の司令塔でもあるのです。
腸内細菌の状態がよければ、現代病の9割は解決するといってよいでしょう。

本間 真二郎
1969年生まれ。札幌医科大学医学部卒業後、同大附属病院、旭川赤十字病院などに勤務。2001年より米国・国立衛生研究所にてウイルス学・ワクチン学の研究に携わる。帰国後、札幌医科大学新生児集中治療室室長に就任。08年、七合診療所所長になり、地域医療に従事しながら、自然に沿った暮らしを実践。著書に『病気にならない暮らし事典』(セブン&アイ出版)。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

関連するキーワード


腸内細菌 腸内フローラ

関連する投稿


【女性の薄毛(FAGA)・円形脱毛症】原因は「冷え」と「腸」にあり!皮膚科医が教える「髪が若返る秘訣」

【女性の薄毛(FAGA)・円形脱毛症】原因は「冷え」と「腸」にあり!皮膚科医が教える「髪が若返る秘訣」

近年、血流改善が薄毛の解消において重要であることは、確かなものとなっています。また、冷え症と並んで、薄毛解消において重要なのが、内臓の状態です。皮膚は内臓の鑑といわれています。つまり、内臓の不調は皮膚の一部である髪についても当てはまるのはいうまでもありません。【解説】荒浪暁彦(あらなみクリニック総院長)  


【脂肪肝の改善】LDLコレステロール値が減少!「γ‐オリザノール」は玄米甘酒で摂取が効率的

【脂肪肝の改善】LDLコレステロール値が減少!「γ‐オリザノール」は玄米甘酒で摂取が効率的

玄米が優れた健康食であることには、誰も異論はないでしょう。実際に玄米食を実践し、健康効果を実感されているかたも多いのではないでしょうか。私が勤める琉球大学医学部附属病院では、糖尿病や肥満、脂肪肝、脂質異常症などの患者さんに玄米食を勧め、大きな成果を上げています。【解説】益崎裕章(琉球大学大学院医学研究科教授)


【発見】アレルギーの原因は「傷ついた腸」だった!対策は腸内フローラを変えること

【発見】アレルギーの原因は「傷ついた腸」だった!対策は腸内フローラを変えること

長年アレルギーと腸内細菌の関係に注目し、研究を続けてきました。アトピー性皮膚炎でステロイド薬を使い続けると、だんだんと効かなくなり、さらに強い薬を使わざるを得なくなるのです。アレルギーを引き起こす根本原因の大元は、腸にあると、私は考えています。【解説】藤田紘一郎(東京医科歯科大学名誉教授) 


【医師解説】砂糖が腸内フローラを乱す!糖質制限食で腸の不調が改善する

【医師解説】砂糖が腸内フローラを乱す!糖質制限食で腸の不調が改善する

私は、29歳のとき、難病に指定されている潰瘍性大腸炎を発症しました。私は砂糖をたっぷり食べて育った世代です。潰瘍性大腸炎やクローン病の患者さんに聞いてみても、傾向として、甘いものをよく食べていた人が多いのです。腸の疾患には砂糖のとりすぎが関係していると考えています。【解説者】西本真司(西本クリニック院長)


【高齢者の便秘】即効解消のポイントは排便時の「腸腰筋」 一番簡単な鍛え方はコレ

【高齢者の便秘】即効解消のポイントは排便時の「腸腰筋」 一番簡単な鍛え方はコレ

日本人の平均寿命は男女とも80歳を超えました。一方「健康寿命」は2013年時点で女性が74・21歳、男性が71・19歳―。10年近く、不健康な状態で過ごすことになるのです。元気な高齢者の便に含まれる腸内細菌を解析した結果、全身の健康をつかさどる菌を特定したのです。【解説】辨野義己(理化学研究所特別招聘研究員・農学博士)


最新の投稿


「キーン」と鳴り響く耳鳴りが「耳こすり」で解消し不眠改善!ぐっすり眠れる

「キーン」と鳴り響く耳鳴りが「耳こすり」で解消し不眠改善!ぐっすり眠れる

ストレスが積み重なったのでしょう。気がついたら「キーン」という高音の耳鳴り が聞こえるように。最もいやだったのは、寝るときでした。シーンと静かな中、キーンという音だけが聞こえるので不眠になってしまいました。そこで藤井先生の治療院に行き、教わったのが「耳こすり」でした。【体験談】長谷川真由美(会社員・33歳)


【咳止め効果】のどの炎症を抑え気管支を広げる「蜂蜜コーヒー」は薬並み!と呼吸の名医が推奨

【咳止め効果】のどの炎症を抑え気管支を広げる「蜂蜜コーヒー」は薬並み!と呼吸の名医が推奨

ハチミツには、優れた抗炎症作用、抗酸化作用があります。特に抗炎症作用により、のどの炎症が抑えられるため、セキが軽くなると考えられます。ハチミツ以外では、コーヒーにも、セキの予防効果があることが報告されています。【解説者】大谷義夫(池袋大谷クリニック院長)


退職後の検査・降圧剤はどこまで必要?「高血圧」との付き合い方を医師が指南

退職後の検査・降圧剤はどこまで必要?「高血圧」との付き合い方を医師が指南

人間の三大欲は、食欲・性欲・睡眠欲といわれています。それに加え、昨今は「健康長寿欲」に多くの人がとらわれています。2016年の調査で「欲しい物」の1位が「健康」で、「幸せ」を大きく上回ったのです。「幸せよりも健康が欲しい」という結果に私は衝撃を受けました。【解説】名郷直樹(武蔵国分寺公園クリニック院長)


【首が痛い!の原因】チェックリストで分かる症状、対処法はこれ!

【首が痛い!の原因】チェックリストで分かる症状、対処法はこれ!

首の痛みの場合、適切な対策をとり損ねるおそれがあります。首の骨が悪くなっているといわれれば、多くの患者さんは「それなら痛みが出るのもしようがない」「薬で痛みを抑えるしかないのだろうな」と考え、それ以上の対策を取らなくなってしまうからです。【解説】竹谷内康修(竹谷内医院カイロプラクティックセンター院長)


【健康レシピ】脳を活性化する「卵」アレンジ薬膳(卵黄みそ漬け)

【健康レシピ】脳を活性化する「卵」アレンジ薬膳(卵黄みそ漬け)

卵は、アミノ酸、ビタミン、ミネラルをバランスよく含んだ「完全栄養食品」といわれています。加熱しても、栄養価に大きな変化が見られず、どのように調理しても必要な栄養を摂取できるので、夏バテ撃退には最適な食材といえるでしょう。【解説・料理・栄養計算】検見﨑聡美(管理栄養士・料理研究家)


ランキング


>>総合人気ランキング