【尿検査でわかる腎臓病】尿アルブミン値は「糖尿病性腎症」の早期発見に役立つ

【尿検査でわかる腎臓病】尿アルブミン値は「糖尿病性腎症」の早期発見に役立つ

「尿の色が茶色っぽい、または赤っぽい」「尿が泡立ちやすい」「頻尿」などがあったら、早急に検査を受けたほうがいいでしょう。そこで、慢性腎臓病かどうかを調べる主要な検査を紹介しましょう。【解説】川嶋朗(東洋医学研究所附属クリニック 自然医療部門医師・東京有明医療大学教授)


川嶋 朗
1983年、北海道大学医学部卒業。東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所自然医療部門准教授などを経て現職。日本腎臓学会学術評議員、日本東方医学会理事、日本抗加齢医学会評議員、日本統合医療学会理事。

腎機能を早期かつ正確に測定できるシスタチンC

腎臓は、非常に我慢強い臓器で、慢性腎臓病になっても、なかなか自覚症状が現れません。
「尿の色が茶色っぽい、または赤っぽい」「尿が泡立ちやすい」「頻尿(特に夜)」などがあったら、早急に検査を受けたほうがいいでしょう。

そこで、慢性腎臓病かどうかを調べる主要な検査を紹介しましょう。

尿検査でわかる項目

尿たんぱく

腎臓が正常であれば、たんぱくが尿中に出てくることはありません。
ところが、腎細胞が障害されていると、そこからたんぱくが漏れ出てきます。

尿に含まれるたんぱくの総量を、「-」「+-」「1+」「2+」「3+」「4+」で示します。
「-」「+-」が正常で、+の数値が大きいほど、腎臓のろ過機能が低下していることを示します。

尿アルブミン値

アルブミンは、血中に最も多いたんぱく質で、通常は尿に微量しか出ません。
しかし、腎臓が障害され始めると、尿中に出始めます。

アルブミンは尿に微量に出始めた時点からチェックできるため、糖尿病性腎症の早期発見に役立つ指標です。

血液検査でわかる項目

クレアチニン値

尿検査と並んで、最も一般的な腎機能の検査とされるのがクレアチニンの検査です。

クレアチニンは、筋肉が壊れて生じる老廃物で、本来、血液によって腎臓に運ばれ、こし採られて尿中に排出されます。
ところが、腎臓のろ過機能が低下すると、血中にとどまる量が増えます。

血液1dl中に、それが何mgあるかを示すのがクレアチニン値です。
ただし、クレアチニン値は、腎機能の低下に比例して上昇するわけではありません。

そこで、腎機能がどれくらい残っているかは、クレアチニン値から、GFR(糸球体ろ過量)という数値を推算します。
GFRが60(ml/分/1・73㎡)未満だと、少なくとも軽度の慢性腎臓病が疑われます。

GFRは、クレアチニン値がわかれば、日本慢性腎臓病対策協議会のホームページで自動計算することができます(日本慢性腎臓病対策協議会のHP)。

尿たんぱくや尿アルブミンの検査結果と、GFRの値から、慢性腎臓病の進行度は四つに分類されています。

自分の腎機能値がどの段階か、参考にするといいでしょう(左の図参照)。

シスタチンC

近年、腎機能を知る新しい指標として使われているものが、シスタチンCです。
これは細胞内で作られるたんぱくで、腎機能が低下すると、血中に増加します。

シスタチンCは、食事の影響や炎症の有無、年齢、性差などの影響を受けず、正確に腎機能を測定できるという特徴があります。
しかも、早期の段階から、腎機能の低下を発見することが可能です。

クレアチニン値はかなり腎機能が悪化してからでないと異常値が出ないため、クレアチニン値が正常でも、尿検査で、たんぱくが検出されるというケースがあります。
こうした場合、シスタチンCを測ってみるとよいでしょう(同様に、尿アルブミン値も確認に利用できます)。

腸内環境を整えて腎臓の血流を増やそう!

いずれにしても、慢性腎臓病は、早期発見、早期治療が最も肝心です。
慢性腎臓病と診断されたら、まず、その原因をきちんと把握することです。

そして、その原因に応じた対策を講じなければなりません。
例えば、生活習慣病による慢性腎臓病なら、悪い生活習慣や肥満などを改善することが大前提となります。

最後に、腎機能を保ち、透析を回避するための日常生活上のポイントを二つ紹介します。


①腸をキレイにする腸内に悪玉菌が増加すると毒素が増えます。
これは腎臓に負担をかける「腎毒素」となります。
また、腸の機能が悪いと、たんぱく分解もうまくいかず、腎臓の負担になります。

ですから、腎臓の負担を減らすには、腸内環境を整えて、便秘を予防する必要があります。


②体を芯から温める血管の塊である腎臓にとって、血行不良は大敵。
体を芯しんから温めて血流を促すことが、腎機能の維持・改善につながります。
お勧めは、38~39度のぬるめの湯船に30分つかったり、湯たんぽをおなかやお尻に当てたりして、内臓を温めることです。

そうしたことで、腎血流を増やす効果が期待できます。
発酵食品(納豆や漬物、みそ汁など)や、食物繊維の多い野菜や果物、海藻、キノコ類などを積極的にとりましょう。

ただし、腎機能低下が著しい場合は、カリウムも毒素になるので、カリウムを多く含む野菜や果物は控えてください。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

関連する投稿


【医師解説】慢性腎臓病患者は薬を勝手にやめては危険!ただし不要な薬を減らすことも重要

【医師解説】慢性腎臓病患者は薬を勝手にやめては危険!ただし不要な薬を減らすことも重要

慢性腎臓病(CKD)の患者さんは、何種類もの薬を服用しているケースが多いと思います。しかし、医師から処方された薬は、自己判断で勝手にやめてはいけません。やってほしいのは、一つひとつの薬に対して、「何を目的とした薬か」「今の私にほんとうに必要かどうか」を、主治医に確認することです。【解説】内山葉子(葉子クリニック院長)


【甘酒】脂肪が燃焼してダイエットに効果的と実験で判明!

【甘酒】脂肪が燃焼してダイエットに効果的と実験で判明!

甘酒は、日本の伝統的な甘味飲料の一種です。最近では、酒かすをお湯で溶いたものではなく、麹だけで作った「麹甘酒」の健康効果に注目が集まっています。麹甘酒を摂取していれば、疲れの回復が早められることが明らかになりました。また、ダイエットにもぴったりです。【解説】樫村修生(東京農業大学教授・医学博士)


【慢性腎臓病とは】初期症状、治療法、透析について 心筋梗塞や脳卒中の原因にも

【慢性腎臓病とは】初期症状、治療法、透析について 心筋梗塞や脳卒中の原因にも

慢性腎臓病とは腎臓の機能が少しずつ低下する病気の総称です。英語の頭文字を取り、CKD(Chronic Kidney Disease)とも呼ばれます。頭痛やだるさ、むくみ、貧血などの症状が現れてくるのは、かなり悪化してからとなります。【解説】川嶋朗(東洋医学研究所附属クリニック 自然医療部門医師・東京有明医療大学教授)


【透析を回避】慢性腎臓病の「糖尿病腎症」は降圧剤で改善、合併症も予防できる

【透析を回避】慢性腎臓病の「糖尿病腎症」は降圧剤で改善、合併症も予防できる

慢性腎臓病のなかでも最も患者数が多いのが糖尿病腎症です。糖尿病腎症は、糖尿病の3大合併症の一つで悪化させるとやっかいな病気です。糖尿病腎症が重くなる前に発見し、適切な治療薬を投与すれば腎機能の低下を食い止め、治すことが可能になったのです。その薬の名前は「テルミサルタン」です。【解説】牧田善二(AGE牧田クリニック院長)


【怖い合併症を防げ!】糖尿病性腎症の進行を防ぐには「AGE」を減らすことが重要!

【怖い合併症を防げ!】糖尿病性腎症の進行を防ぐには「AGE」を減らすことが重要!

毎年新たに透析療法を受ける患者さんの中で、最も多いのは糖尿病性腎症による末期腎不全です。2010年の新規人工透析患者のうち、43・5%は糖尿病性腎症によるものでした(日本透析医学会資料より)。糖尿病性腎症から人工透析になると、5年後の生存率は60%前後に低下します。【解説】牧田善二(エージーイー牧田クリニック院長)


最新の投稿


側わん症が原因の腰痛、頭痛が消失!「首置き枕」で体のゆがみが取れた

側わん症が原因の腰痛、頭痛が消失!「首置き枕」で体のゆがみが取れた

私は、中学時代から頭痛持ちで、ひんぱんに鎮痛薬を飲んでいました。社会人になった20歳のころから、腰痛にも悩まされるようになりました。たまたま受けたレントゲン検査で、背骨が歪んでいる「側わん症」であることが判明。レントゲン写真では、正面から見てS字になっているのがわかりました。【体験談】増崎志保(会社員・45歳) 


【認知症】異常行動の最大原因は「脱水」! 脳トレよりまずは水分摂取を

【認知症】異常行動の最大原因は「脱水」! 脳トレよりまずは水分摂取を

飲む水の量が足りないと、高齢者はすぐに脱水を起こし、熱が出たり肺炎になったりします。そこで、脱水を防ぐために、患者さんに十分な量の水を飲ませるケアを始めたところ、認知症の特徴的な症状がよくなる人が続出したのです。【解説】竹内孝仁(国際医療福祉大学大学院教授)


【考案医師が解説】眠れた!目覚めスッキリ!Twitterで話題沸騰「小指シップ」とは何か

【考案医師が解説】眠れた!目覚めスッキリ!Twitterで話題沸騰「小指シップ」とは何か

私は10年以上前に、手の小指にシップをはる「小指シップ」を考案し、患者さんに勧めてきました。小指シップには、交感神経の緊張をほぐしたり、首すじのこりをゆるめたりする作用があります。そのため、不眠をはじめとするストレス性の症状に効果を発揮するのです。【解説】安田譲(安田医院院長)


【考案医師が回答】小指シップQ&A ― どんなシップを使えばいい?どのくらい貼ったらいい?

【考案医師が回答】小指シップQ&A ― どんなシップを使えばいい?どのくらい貼ったらいい?

これまで健康雑誌『安心』で何度かご紹介してきましたが、最近、ツイッターで小指シップが話題になっていると聞いてびっくりしています。小指シップで不眠や疲労が改善したというツイートに、フォロワーが盛り上がっているそうです。【解説】安田譲(安田医院院長)


こむら返りは【病気のサイン】脳梗塞や糖尿病の前兆かも マグネシウム食品で治せる

こむら返りは【病気のサイン】脳梗塞や糖尿病の前兆かも マグネシウム食品で治せる

こむら返りは、2〜3秒から数分間、ふくらはぎの筋肉が収縮して起こります。運動中に起こることもあれば、就寝中に起こることもあり、時に激烈な痛みを伴います。まず、どうしてこむら返りが起こるのでしょうか。その原因は、実は7〜8割以上はマグネシウム不足です。【解説】横田邦信(東京慈恵会医科大学教授)


ランキング


>>総合人気ランキング