【腎臓機能がアップ】動脈硬化が改善する「RAP食」で血管プラークが減少

【腎臓機能がアップ】動脈硬化が改善する「RAP食」で血管プラークが減少

RAP食には、従来の食事療法のような、塩分やカリウム、たんぱく質の制限はありません。少なくとも、軽度から中程度の腎機能障害には、脂質制限によるプラーク改善が回復の近道であり、同時に、根本治療ともいえるのです。まずは実践してみてください。【解説】真島康雄(真島消化器クリニック院長)


酸化した脂質を避ければ多くの疾患が改善する!

私は、福岡県でクリニックを開業しています。
現在の専門領域は肝臓と血管ですが、約40年前には、公立の総合病院で、血液透析医長を務めていました。

当時は、腎臓病は進行するばかりで治らない病気、というのが一般的な認識でした。
希望が見いだせなかった私は、腎臓分野から離れ、研究領域を肝臓に移しました。

肝臓の診察には、超音波で体内の状態を見るエコー検査が重要です。
私は工夫を重ね、撮影技術を磨くうちに、偶然、全身の動脈硬化の進行ぐあいを確認できる重要な観察ポイントを発見しました。

この部位を含めた全身8ヵ所をエコー検査し、その血管内にたまったプラーク(脂肪の塊)の厚さを総合的に検証すると、脳梗塞や心筋梗塞を起こすリスクを診断できます。
膨大な症例を研究して論文にまとめ、2008年に学会誌で発表したところ、大きな反響を呼びました。

突然死を予知する方法の発見は、父を心筋梗塞で亡くした私にとって、悲願ともいえるものでした。
こうしたわけで、私のクリニックの強みは、独自の技術による超音波検査と、脳梗塞や心筋梗塞などといった血管系疾患のリスク診断です。

並行して力を入れているのが、血管内のプラークを減らす食事療法の指導です。
プラーク堆積に影響する調理法や食材などを整理し、「動脈プラーク退縮のための食事療法」(Medical diet for Regression of Arterial Plaque)を考案。

略して「RAP食」と名づけ、患者さんに勧めています。
プラークがたまる主な原因は、酸化した脂質の摂取です。

よって、RAP食の基本は、脂質制限です(図解参照)。
RAP食をきちんと実践する患者さんは、血管プラークが確実に減少します。

それと並行して、動脈硬化が改善。
細くなった血管の詰まりが解消された結果、血流がよくなります。

これが、高血圧や糖尿病、肥満などの生活習慣病をはじめ、多くの疾患の改善につながるのです。

RAP食の、さまざまな疾患に対する治療成果を目の当たりにした私は、未だ治りにくい疾患である腎臓病の治療にも、この食事療法が役立つのではないかと考えました。

→動脈硬化を改善する「RAP食」解説はコチラ

糖尿病性腎症にも十分効果が期待できる

そこで、2010年10月から2013年2月までの患者さんのデータ(連続171例)を調査し、腎機能を表す指標であるクレアチニン(Cr)値と、それから算出される推算糸球体ろ過値(eGFR)に注目しました。
すると、プラークの厚さと腎機能値には、明らかな相関関係があるとわかったのです。

171例のうち、腎機能障害があるケース(この場合、Cr値が男性で1・05mg/dL以上、女性で0・80mg/dL以上)は、男女合計で、28例ありました。
この28例について、RAP食に切り替える前と後の、Cr値を測定。

RAP食の実践期間はまちまちですが、最短でも5ヵ月、最長で5年6ヵ月、ほとんどの人は1〜2年程度です。
プラークの変化を見ると、「変わらない」あるいは「悪化傾向」が数例あったものの、おおむね「改善」または「改善傾向」でした。

ほとんどの人は、RAP食で、プラークを減らすことに成功したわけです。
そしてCr値の改善率は、なんと85・7%でした。
つまり、RAP食の実践が、プラークを減らし、腎機能の回復を促したといえます。

75歳の女性Aさんの例を挙げましょう。
AさんはCr値が0・91mg/dLでしたが、6ヵ月のRAP食で、0・70mg/dLまで降下。

46・0だったeGFRは、61・3まで上がり、重症度分類でいうと、中等度から軽度に回復しました。
ちなみに、171例のうち、糖尿病症例が12例あったので、それらもRAP食の開始前後で腎機能値を比較しました。

こちらも、改善率は75%と高い数値を示しました。
糖尿病性腎症の患者さんにも、十分な効果が期待できます。

考えてみれば、腎臓は細い動脈の集合体なので、プラークが減少して血管の状態がよくなるにつれて機能が回復するのも、当然です。
腎臓は、体内の老廃物をろ過する、フィルターの役目をします。

いわば、台所の流しの水切りネットのようなものです。
ここに油汚れが流れてくるとしたら、ネットがすぐに詰まってしまうのは、容易に想像できるでしょう。
ネットを詰まらせないためには、そもそも油汚れを流さないことです。

RAP食には、従来の食事療法のような、塩分やカリウム、たんぱく質の制限はありません。
少なくとも、軽度から中程度の腎機能障害には、脂質制限によるプラーク改善が回復の近道であり、同時に、根本治療ともいえるのです。

まずは実践してみてください。

→「RAP食」レシピはコチラ
→動脈硬化を改善する「RAP食」解説はコチラ

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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