【医師解説】翌日に腕が真上に上がった!五十肩を改善する「わきもみ」のやり方

【医師解説】翌日に腕が真上に上がった!五十肩を改善する「わきもみ」のやり方

わきもみをやってもらった五十肩の患者さんの多くは、わずか1〜2ヵ月でよくなっています。痛みが軽減して、消炎鎮痛剤なども不要になります。上がらなかった腕が、1〜2週間で上がるようになった人も少なくありません。【解説】平野薫(ひらの整形外科クリニック院長)


平野薫
ひらの整形外科クリニック院長

五十肩の多くは患部に炎症が起こっていない

五十肩は、整形外科のなかでもやっかいな疾患です。
肩の専門医の治療を受けても、痛みなどの症状が治まるまでに、通常、6ヵ月から1年かかります。

なぜそんなに時間がかかるのでしょうか。
それは、現代医学が五十肩を正しく把握していないからだと思います。

五十肩は、正式名称を「肩関節周囲炎」といいます。
その名前のとおり、肩関節の周辺組織(関節包や滑液包、腱板など)に炎症が起こり、肩や上腕に痛みが出て、肩の動きが制限される疾患とされています。

しかし、多くの場合、そのような炎症は起こっていないと考えます。
熱を持って腫れたり、赤く腫れ上がったりしていないからです。

強い衝撃などが原因の外傷性五十肩は炎症を起こすことがありますが、炎症自体は数日で治まります。
それを除けば、五十肩の患部に炎症が認められないケースが多いのです。

にもかかわらず、整形外科での治療は、必ず消炎鎮痛剤が処方されます。
しかし、炎症が起こっていない疾患が、消炎鎮痛剤で治るのでしょうか。

五十肩の治療では、強い痛みのある急性期は安静を保ち、一般的には鎮痛剤を処方したり、関節内注射を行ったりします。
そして、痛みが治まる慢性期に入ってから、温熱療法や運動療法を始めます。

昨年までは、私もこのような治療を基本としていました。
それに、最新の理学療法や、東洋医学を取り入れ、できるだけ薬に頼らない治療を行ってきました。

それでも、五十肩の治療には時間がかかりました。
今年になって、健康プロデューサーの杉本錬堂氏が考案された独自のメソッド(天城流湯治法)と出合いました。

これは、平たくいうと、「自分の体は自分で調整する」という手当て法です。
この手当て法はとても優れたもので、その一つが、五十肩の治療に取り入れた、「わきもみ」です。

わきもみをやってもらった五十肩の患者さんの多くは、わずか1〜2ヵ月でよくなっています。
痛みが軽減して、消炎鎮痛剤なども不要になります。

上がらなかった腕が、1〜2週間で上がるようになった人も少なくありません。

→「わきもみ」の解説はコチラ

6日で痛みが軽減し2週間でほぼ完治!

わきもみを行った患者さんの例をご紹介しましょう。
Aさん(70代・男性)は、仕事の作業中に右肩に強い衝撃を受け、痛みで腕が上がらなくなってしまいました。

一般的にいえば、「右肩腱板損傷」の状態です。
来院時の腕の可動域は、前方に上げる角度(屈曲)が70度、横に上げる角度(外転)は40度でした。

痛みが強かったので、最初は安静にしてもらい、2日後からわきもみを開始しました。
自宅でも行ってもらったところ、6日後には痛みが軽減し、屈曲150度、外転100度と顕著に改善。

仕事にも復帰できました。そして2週間後には、ほぼ完治したのです。

Bさん(60代・男性)は、今年の1月から原因不明の肩の痛みが起こるようになり、2月に来院。
屈曲、外転とも100度と、肩の高さより少し上がる程度で、典型的な五十肩でした。

その日にわきもみを教え、自宅でも行ってもらったところ、翌日には痛みが緩和し、腕が真上まで上がるようになりました。
その後も肩の痛みはなく、「絶好調」とはご本人の弁。

非常に短期間でよくなった例です。

わきもみは、わきの下をもんで、大胸筋(図参照)という胸の大きな筋肉と、肋骨外側についている前鋸筋という筋肉を肋骨から引きはがす手当て法です。

冒頭で私は、五十肩の痛みは炎症によるものではないといいました。
ではなぜ、五十肩で痛みが起こるのでしょうか。

それは、体のどこかに滞りができて、大胸筋や前鋸筋がかたくなり、肋骨に張りついてしまうからです。
本来、筋肉と骨は分かれていて、それぞれに違う働きをしています。

通常、筋肉は柔軟性を保って自由に動きますが、かたくなって骨に張りつくと、その先につながっている組織(筋肉や線維)を引っ張ります。
その結果、痛みが生じるのです。

これを天城流湯治法では、「展張痛」と呼びます。
五十肩だけでなく、ほとんどの整形外科の痛みは、これで説明がつきます。

五十肩の場合、大胸筋が肋骨に張りつくと、かたくなった大胸筋がじゃまをして、腕が前方に上がらなくなります。
また、前鋸筋がかたくなってわきの奥の肋骨に張りつくと、腕が横から上がるのをじゃまします。

無理に上げようとすると、肩の周囲やその先の組織が引っ張られて、痛みが出るのです。
ですから、わきもみでは、大胸筋と前鋸筋を肋骨からはがして、筋肉を動かしやすい状態にします。

そうすることで、痛みは軽くなり、可動域が広がっていくのです。
わきもみのやり方は、次のとおりです。

①大胸筋をはがす
大胸筋は、肋骨の前方の表面についています。
わきの下に4本指(人差し指から小指まで)を当てると、肋骨にふれます。

肋骨と大胸筋の間に指を入れる感じで、大胸筋をつかみ、骨からはがすようにもみます。
指を少しずつ下にずらし、肋骨に沿ってはがしてください。

最初は、肋骨と大胸筋の間に指が入りづらいですが、やっていくうちにだんだん奥まで入るようになります。

②前鋸筋をはがす
前鋸筋は肋骨の外側面から肩甲骨につながっている深部の筋肉で、肩や肩甲骨の動きに重要な働きをしています。
わきの下のくぼみの奥に人差し指を入れると、肋骨にふれます。

その上に前鋸筋が張りついていますから、骨からセロテープをはがすようなつもりで、指先や爪でカリカリともみます。

1回の目安は、①と②を合わせて1〜2分程度です。

それを1日に3〜4回行います。
どちらも最初は、痛みが伴いますが、できる範囲で我慢して行ってください。
わきもみは、きちんと行えば行うほど、効果が早く現れます。

おそらく2週間以内に、効果が実感できると思います。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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