【医師解説】過敏性腸症候群の治し方 パンをやめてご飯に 食事療法で症状が改善

【医師解説】過敏性腸症候群の治し方 パンをやめてご飯に 食事療法で症状が改善

不調を訴えて来られる患者さんに、私はよく「パンと牛乳をやめてください」といいます。というのも、パンや牛乳は、腸の炎症を引き起こし、さまざまな病気の原因になることがわかっているからです。【解説者】内山葉子(葉子クリニック院長)


腸の炎症「リーキーガット症候群」を引き起こすことも

不調を訴えて来られる患者さんに、私はよく「パンと牛乳をやめてください」といいます。
というのも、パンや牛乳は、腸の炎症を引き起こし、さまざまな病気の原因になることがわかっているからです。

そして、不調を訴える患者さんに食生活を聞いてみると、パンやパスタが大好きな人や、健康のために毎日牛乳を飲むという人がとても多いのです。
パンなどの小麦製品(パスタ、うどん、ピザなど)と、牛乳・乳製品(ヨーグルト、チーズ、アイスクリームなど)の共通点は、小麦製品にはグルテン、牛乳・乳製品にはカゼインという、消化されにくいたんぱく質が含まれることです。

これらが分解されないまま未消化物となって腸に入ると、腸の中のpH(酸・アルカリの度合いを示す数値)のバランスがくずれて、腸内環境が乱れます。
そうなると、慢性の便秘や下痢を招きます。

また、未消化物は腸の中で発ガン性物質を発生させ、大腸ガン、肝臓ガンを招くケースもあると指摘されています。
そしてもう一つの大きな問題は、未消化物が腸に入ると、腸粘膜の炎症が起こることです。

すると、細胞どうしの結合が緩んで、本来体内に通すべきでないものを通してしまうという現象が起こります。
これは、「リーキーガット症候群」と呼ばれています(下図参照)。

リーキーガット症候群は、子供の異常行動・うつ病などの精神疾患、脳や神経細胞にまでダメージを与えることも

分子量の大きい未消化物が腸から漏れ出ると、体はそれを異物と判断します。
すると、免疫の過剰反応が起こり、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、ぜんそくなどのアレルギー性疾患へとつながっていくのです。

さらに、体に異物が入ることにより、それを攻撃し排除するための抗体がつくられます。
その抗体は、体の臓器や組織まで攻撃してしまうことがあります。

関節が攻撃されれば関節リウマチ、脳だと多発性硬化症、小脳失調、めまい、頭痛など、甲状腺だと橋本病、腸だと潰瘍性大腸炎、クローン病、過敏性腸症候群といった、自己免疫疾患が引き起こされます。
食べ物が消化されず腸から漏れ出れば、当然、栄養の吸収障害も起こります。

また、腸に炎症が起こると、炎症物質が全身に飛び火します。
腸の問題とはいえ、体中どこに不調が現れてもおかしくない状態になってしまうのです。

最近では、子供の異常行動、うつなどの精神疾患も、脳や神経細胞にまでダメージを与えるリーキーガット症候群が関係しているのではないかと考えられています。
こうした消化しにくいたんぱく質の問題に加えて、小麦にはさらに、腸細胞どうしの接合を切り離すゾヌリンという物質の分泌を亢進させる作用もあります。

これにより腸の透過性を高め、リーキーガット症候群を起こしやすくしてしまうのです。

パンや牛乳はあくまでも嗜好品!

では、これらの害を防ぐには、どうすればよいのでしょうか。
それが、冒頭で述べた「パン(小麦)と牛乳はやめてください」ということなのです。

まず、主食をご飯にしましょう。
おかずは加工品を避け、腸の善玉菌のエサになる野菜をしっかりとれば、洋食でも中華でもかまいません。

パンや牛乳がよくないというと、必ず聞かれるのが「米粉のパンや豆乳ならいいですか?」という質問です。
その場合、米粉の米は無農薬栽培か、豆乳の原料の大豆は遺伝子組み換えでないかなど、見極める必要があります。

パンや牛乳は、あくまでも嗜好品として、たまにとる程度にとどめておくといいでしょう。
食事はご飯食にして、飲み物は水や白湯、お茶などがお勧めです。

潰瘍性大腸炎の下痢が1ヵ月で止まった、アトピー性皮膚炎のアレルギー症状も治った

実際にパンや牛乳をやめて、症状がよくなった人の例をご紹介します。

●潰瘍性大腸炎(Aさん・30代・男性)
Aさんは、1日4~5回下痢があり、他院の内視鏡検査で潰瘍性大腸炎と診断されました。
服薬治療を始めて1週間後に当院へ来院。

その時点で薬を飲むのを中止し、朝食にパンを食べるのをやめて、昼食・夕食も麺類ではなく定食にするよう指導しました。
すると、1~2週間で症状が軽快し始め、1ヵ月後には下痢をしなくなりました。

その後、症状は現れていません。

●慢性関節リウマチ(Bさん・40代・女性)
Bさんは、5年ほど前に関節リウマチを発症。
自分で爪もみ(手の5本指の根もとにあるツボを、指ではさんでもむ刺激法)などをして、手足のこわばりは改善していましたが、痛みはある状態でした。
また、子宮筋腫、卵巣嚢腫の既往歴がありました。

これらの疾患がある人は、小麦製品や乳製品が好きなケースが多いものです。
尋ねてみると、やはりBさんも、お好み焼き、麺類、パン、チーズが大好きとのことでした。

そこで、パンなどの小麦製品と乳製品をやめてもらったところ、1ヵ月後にはリウマチの痛みがほぼなくなりました。
薬を飲んでいなかったのも、回復が早かった一因だと思います。

●過敏性腸症候群、抑うつ(Cさん・30代・男性)
Cさんは、当院へ来られる3ヵ月くらい前から、仕事に行こうとすると、下痢、動悸、吐き気、不安感などの症状が現れるようになりました。
仕事をいったん休んでもらい、2~3日に1回食べていたという、生クリーム系のパンをやめて、ご飯食にしてもらいました。

その結果、半年くらいで下痢などの症状が改善してきて、1年経つころには転職をして、いきいきと仕事に行けるようになりました。
今では結婚もして、幸せに過ごされています。

このほかにも、便秘改善のために食べていたヨーグルトをやめたら、便秘が改善した人もいます。
パン屋に勤めていて毎日パンを食べていた人は、ご飯食に替えたら、軟便・ガス腹が改善し、線維筋痛症による体中の痛みがなくなりました。

もちろん、アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状にも有効です。
8歳の女の子に乳製品をやめてもらったら、1年後、久しぶりに来院されたときには、キレイな肌になっていました。

不調に悩んでいる人は、まずパンと牛乳をやめてみてはいかがでしょうか。
それだけで症状が改善する可能性は十分にあります。

やめられない人は、中毒になっている可能性があります。
3週間がんばれば中毒は消えます。

とりあえず、1ヵ月続けてみましょう。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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