【変形性膝関節症】安静第一は大間違い!注意が必要な「特発性骨壊死」との違いは

【変形性膝関節症】安静第一は大間違い!注意が必要な「特発性骨壊死」との違いは

運動不足になると体重も増加しがちです。体重が増えれば、ひざにかかる負担はより大きくなります。また、歩く際にバランスを調整する能力も低下します。これも、ひざへの負担を増大させることになります。【解説】渡辺淳也(東千葉メディカルセンターリハビリテーション科部長・千葉大学大学院医学研究院特任教授)


使わなければ体の機能は急速に低下する!

ひざ痛に悩んでいる皆さんは、できるだけ痛みがひどくならないよう「安静第一」とお考えになっていませんか?
もちろん、ひざが熱を持って腫はれていたり炎症があったりして、痛みが出ている場合は別です。

無理をして動かさず、安静を保つ必要があります。
しかし、当座の症状が落ち着いて、痛みや腫れが引いたあとも、ずっと安静第一でいることは、ひざ痛の解消にとって決してよくありません。

なぜ、安静第一ではいけないのでしょうか。
中高年以降のかたで、ひざの代表的な病気は「変形性ひざ関節症」です。

主に加齢によって起こる疾患で、ひざの軟骨がすり減って痛みが生じます。
初めは、ひざがこわばるような軽い不快感や違和感から始まり、しだいに痛みが増していきます。

さらに悪化すると痛みが増大し、正座ができなくなったり歩くのがつらくなったりします。
症状が悪化して以降も、その痛みはいつも一定ではなく、痛い日もあれば少し楽な日もあるのが特徴です。

この変形性ひざ関節症の場合、ひどく痛みが出る日に無理をする必要はありませんが、「きょうは少し楽だな」と感じるなら、じっとしているよりもむしろ体を動かしたほうがいいのです。
安静にし過ぎることのマイナス面は、なんといっても「廃用性萎縮」の危険性です。

筋肉や靭帯、骨といった体の組織は、すべて使っているうちはその機能が保たれますが、使われなくなると、急速に低下していきます。
これが廃用性萎縮です。

安静第一でひざを大事にし過ぎると、ひざ周辺の機能が低下し、筋力がどんどん落ちていきます。
その結果、太ももの大腿四頭筋やひざ周りの靭帯など、ひざ関節を支えて負荷を和らげてくれるはずの組織が弱くなってしまうのです。

すると、ひざ関節をきちんと支えることができなくなり、歩行時のひざへの衝撃が大きくなります。
その結果、変形した軟骨をさらに痛めつけてしまうことになります。

運動不足になると、体重も増加しがちです。体重が増えれば、ひざにかかる負担はより大きくなります。
また、歩く際にバランスを調整する能力も低下します。

これも、ひざへの負担を増大させることになります。
このようなさまざまな悪影響が重なると、軟骨の変形が進んでしまうのです。

変形をそれ以上進行させないためにも、できるだけ積極的に体を動かす必要があります。

太ももをできるだけ高く上げて歩くと効果大!

変形性ひざ関節症のかたに勧めたい運動としては、手軽で実践しやすい「ウォーキング」がいちばんでしょう。
私は患者さんに、少なくとも1日30分のウォーキングをお勧めしています。

まとめて時間を取れないというかたには、「1回10分のウォーキングを3回でもいいですよ」といっています。
歩くことは、ひざ周辺の筋力の衰えや機能低下を予防するうえで非常に有用です。

変形してしまった軟骨を元に戻すことはできませんが、運動することで筋肉を強化し、若返らせることは可能です。
ひざ周辺の筋肉が若返って強化されれば、ひざへの負担は減り、痛みも楽になってくるはずです。

歩くことによって、ひざ軟骨の衝撃を和らげる機能を保つ効果も期待できます。
軟骨をそれ以上すり減らさないために、適切な運動による刺激を与えて、軟骨のスポンジ機能を保つことも重要です。

ウォーキングといっても、無理に速く歩く必要はありません。
ご自分のペースでけっこうです。

その際、できるだけ太ももを高く上げて歩くようにしてください。
ひざを支える筋肉を強化する効果が高まります。

もし、歩いている最中や翌日に、ひざに痛みが出た場合、負荷が強過ぎたと考えられます。
炎症や軟骨損傷の原因になるので、歩く距離や時間を減らし、様子を見てください。

靴選びも重要です。ウォーキング用の靴でなくてもかまいませんが、クッション性の高い靴をはいたほうがよいでしょう。
靴底のクッションによって、歩く際にひざが受ける衝撃を和らげることができます。

ちなみに、「特発性骨壊死」という病気には注意が必要です。
変形性ひざ関節症と症状が似ているので間違えやすいのですが、この病気であることを知らずに我慢してウォーキングを実践すると、どんどん悪化してしまいます。

特発性骨壊死の特徴は、夜間痛があることです。
変形性ひざ関節症の場合は、横になっているときには、体重の負荷がかからないためあまり痛みません。

夜、床に就いているときにもひざに痛みがある場合は、特発性骨壊死の疑いがあります。
一度整形外科で診察を受けることをお勧めします。

重大なひざの疾患がなく、変形性ひざ関節症であると診断されたら、小まめに歩く機会を作ってください。
根気よく続ければ、ひざ痛を軽減することができるでしょう。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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