慢性腎臓病(CKD)は早期発見・早期治療が重要!検査では「シスタチンC」にも注目!

慢性腎臓病(CKD)は早期発見・早期治療が重要!検査では「シスタチンC」にも注目!

慢性腎臓病(CKD)はなかなか自覚症状が現れません。「色」「におい」「泡立ち」「頻尿(特に夜)」などの異常があれば、早めに検査を受けたほうがいいでしょう。代表的な検査項目(アルブミン、クレアチニン等)の数値の見方について解説します。【解説】川嶋朗(東洋医学研究所附属クリニック自然医療部門医師・東京有明医療大学教授)


腎臓病はなかなか自覚症状が現れない

腎臓は多くの仕事をこなす働き者のうえに、非常に我慢強い臓器です。
慢性腎臓病(CKD)になっても、なかなか自覚症状が現れません。

「尿の色が茶色っぽい、または赤っぽい」「尿に甘いにおいがする」「尿が泡立ちやすい」「頻尿(特に夜)」などがあれば、医療機関で早めに検査を受けたほうがいいでしょう。

慢性腎臓病の診断は、もととなる病気にかかわらず、次の二つの条件のいずれか、または両方が3ヵ月以上続いている場合となります。

①尿検査やその他の検査で、明らかに腎障害が認められる(尿たんぱくや尿アルブミンの検出)。
②腎臓の働きを示す糸球体ろ過量(GFR )が60mL/分/1・73m²未満。

では、慢性腎臓病かどうかを調べる代表的な検査を紹介しましょう。

◆尿検査でわかる項目
・尿たんぱく
腎臓が正常であれば、たんぱくが尿中に出てくることはありません。

ところが、糸球体が障害されていると、そこからたんぱくが漏れ出てきます。
尿に含まれるたんぱく質の総量を、「-」「+-」「1+」「2+」「3+」「4+」で示します。

「-」「+-」が正常で、+の数値が大きいと、腎臓のろ過機能が低下していることを示します。

・尿アルブミン値
アルブミンは、血中に最も多いたんぱく質で、分子量が大きいので、通常は尿から1%くらいしか出ません。

しかし、腎臓が障害され始めると、尿中に出始めます。
アルブミンは尿たんぱくより早く尿から出てくるため、糖尿病性腎症の早期発見に役立つ指標です。

◆血液検査でわかる項目
・クレアチニン値
尿検査と並んで、最も一般的な腎機能の検査とされるのがクレアチニンの検査です。

クレアチニンは、筋肉が壊れて生じる老廃物で、本来、血液によって腎臓に運ばれ、こし採られて尿中に排出されます。
ところが、腎臓のろ過機能が低下すると、血中にとどまる量が増えます。

血液1㎗中に、それが何㎎ あるかを示すのがクレアチニン値です。
そこで、腎機能がどれくらい残っているかは、クレアチニン値と年齢、性別をもとに、糸球体ろ過量(GFR)いう数値を推算します。

GFRが60(mL/分/1・73m²)未満だと、少なくとも軽度の慢性腎臓病が疑われます。
GFRは、クレアチニン値がわかれば、日本慢性腎臓病対策協議会のホームページで自動計算することができます。

腎機能低下を早期に発見できるシスタチンC

上の表をご覧ください。
慢性腎臓病の進行度は、尿たんぱくや尿アルブミンの検査結果と、GFRの値から、四つに分類されます。

自分の腎機能値がどの段階か、参考にするといいでしょう。
例えば、GFRが60だと正常になります。

しかし、糖尿病以外の人で尿たんぱくが微量(1+)だと、軽度の慢性腎臓病になります。
糖尿病の人なら尿アルブミンが微量(30~299)なら、やはり軽度の慢性腎臓病になります。

・シスタチンC
近年、腎機能を知る新しい指標として使われているものが、シスタチンCです。

これは細胞内で作られるたんぱくで、腎機能が低下すると血中に増加します。
シスタチンCは、食事の影響や炎症の有無、年齢、性差などの影響を受けず、正確に腎機能を測定できるという特徴があります。

しかも、早期の段階から、腎機能の低下を発見することが可能です。
クレアチニン値は、かなり腎機能が悪化してからでないと異常値が出ないため、クレアチニン値が正常でも、尿検査で、たんぱくが検出されるというケースがあります。

こうした場合、シスタチンCを測ってみるとよいでしょう(同様に、尿アルブミン値も確認に利用できます)。
いずれにしても、慢性腎臓病は、早期発見、早期治療が治癒への近道となります。

慢性腎臓病と診断されたら、まず、その原因をきちんと把握してください。
そして、その原因に応じた対策を講じるべきです。

例えば、生活習慣病が原因なら、薬に頼るだけでなく、悪い生活習慣を改善することが重要です。

川嶋 朗
1983年、北海道大学医学部卒業。東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所自然医療部門准教授などを経て現職。日本腎臓学会学術評議員、日本東方医学会理事、日本抗加齢医学会評議員、日本統合医療学会理事。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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