【慢性腎臓病】悪化原因は「便秘」と「カリウム制限」?腸内環境を整える食事の重要性

【慢性腎臓病】悪化原因は「便秘」と「カリウム制限」?腸内環境を整える食事の重要性

腎臓は、体内のさまざまなバランスを調整する役割を持ち、不要な物質を排出する働きがあります。しかし、腎臓の機能が低下した慢性腎臓病では、尿として排泄すべき毒素(尿毒素)を十分に排出できません。慢性腎臓病の患者さんは、治療とともに腸内環境を整える食生活がとても重要です。【解説】内山葉子(葉子クリニック院長)


便秘を治すと尿毒素の血中濃度が減少した!

最近、腸内環境が慢性腎臓病(CKD)に与える影響が、多くの論文でわかってきました。
腎臓は、体内のさまざまなバランスを調整する役割を持ち、不要な物質を排出する働きがあります。

しかし、腎臓の機能が低下した慢性腎臓病では、尿として排泄すべき毒素(尿毒素)を十分に排出できません。
実際、初期の慢性腎臓病の段階でも、血液中に尿毒素が増えていることがわかっています。

こうして蓄積した尿毒素は、腎臓に直接、悪影響を及ぼし、慢性腎臓病をさらに悪化させるのです。
この尿毒素は、腸内細菌叢(多種多様な腸内細菌の集まり)のバランスがくずれると増加する傾向にあります。

それは、尿毒素を作っている主犯が、腸内の悪玉菌だからです。
東北大学の実験では、腎不全の状態にした(腎機能を低下させた)マウスに便秘薬(ルビプロストン)を投与したところ、排便が促進され、腸内環境が改善。

腸内の善玉菌が増え、尿毒素の血中濃度が減少しました。
こうしたことから、慢性腎臓病の人は、便秘などを防ぎ、「腸内細菌叢をよい状態に保つことが、病気の進行を抑制するポイント」になると考えられます。

これは、慢性腎臓病が起こす炎症からもいえることです。
末期腎不全(腎機能が著しく低下している状態)の患者さんの血液を調べると、炎症を起こす物質の濃度が非常に高くなっていることがわかっています。

体内に炎症を起こす物質が増えると、活性酸素(病気や老化の元凶物質)の産生が促進され、病状がさらに悪化します。
では、なぜ慢性腎臓病に炎症が起こるのでしょうか。

その一因として、慢性腎臓病を招く糖尿病や高血圧、感染症などの基礎疾患(原因となる病気)が考えられます。
腸内細菌叢の影響はどうでしょう。

腸内細菌叢のバランスがくずれると、酸化や炎症を促進する物質が作られ、腸内で炎症を起こします。
すると、腸粘膜が本来体内に通すべきでないものを通してしまう「リーキーガット症候群」を招くようになります。

その結果、炎症を起こす物質がどんどん体内に入り込んで、腎臓など体の各所で炎症を引き起こすのです。
それに、前述した腸の悪玉菌がつくる尿毒素や、その代謝物も炎症を招くと考えられます。

ですから、腸内細菌叢の悪化も、慢性腎臓病の炎症に、大いに関係しているでしょう。

カリウム制限が腸内細菌叢を悪化させる

一方、慢性腎臓病になって腎機能が低下すると、腸内環境を悪化させることもわかっています。
腎臓でうまく処理できなくなった尿毒素はアンモニアや水酸化アンモニウムといったアルカリ性物質を産生し、腸内のpH(水素イオン指数・酸性<7<アルカリ性)を上昇させます。

本来、腸内は弱酸性ですから、アルカリ性に傾けば乳酸菌などの善玉菌が育ちにくくなります。
腸内細菌叢はさらにバランスをくずし、腸の炎症が進行します。

また、腎機能が低下すると、尿から排泄されるべきシュウ酸が出ていかず、腸管内に大量に分泌されます。
シュウ酸はミネラルやビタミンを吸着して便といっしょに排出してしまいます。

つまり、ミネラルやビタミン不足を招くことになります。
さらに、腎機能の低下によって水分の調節ができなくなると、腸の細胞(腸管上皮細胞)が、むくむようになります。

それが腸の機能障害の要因になります。
このように、慢性腎臓病は腸に悪影響を及ぼします。

それが慢性腎臓病自体を悪化させるという悪循環を生むのです。
なお、慢性腎臓病の治療にも、腸の状態を悪化させるものがあります。

その一つがカリウム制限です。
慢性腎臓病が進行し、体内のカリウム濃度が高くなると、その患者さんにはカリウムを多く含む食品を制限する指導が行われます。

カリウムは生の野菜に多く含まれるので、生野菜を控え、湯通しした野菜を食べることになります。
生野菜を控えることで、ふだんの食物繊維量が不足する人もいるでしょう。

すると、大腸の細胞のエネルギー源となる短鎖脂肪酸が減ります。
短鎖脂肪酸は、腸内細菌が食物繊維を発酵させてつくる脂肪酸です。

腸の免疫機能を高め、アレルギーやガンを防ぐ働きがあります。
ですから、食物繊維の不足は、大腸の状態の悪化につながるのです。

野菜は湯通しすると、水溶性のミネラルやビタミンが損なわれます。
慢性腎臓病の患者さんは、ただでさえ腸の機能が低下して栄養の吸収が悪くなっているのに、栄養の少ない野菜を食べることで、体の栄養状態はさらに悪くなります。

また、慢性腎臓病の患者さんは、水分調節がうまくできなくなり、水分制限が行われることもあります。
これも便秘を招き、腸の状態を悪化させます。

加えて、慢性腎臓病の治療には投薬も欠かせません。
しかし、薬は化学物質であり、腸内細菌を減少させる傾向にあります。

そして、腸の免疫機能も衰えさせてしまうのです。
以上のことから、慢性腎臓病の患者さんは、治療とともに腸内環境を整える食生活がとても重要です。

具体的な方法については、別記事でお話しします。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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