【原因不明の耳鳴り、難聴】噛み癖が原因かも!顎のズレを直す「ティッシュ噛み」のやり方

【原因不明の耳鳴り、難聴】噛み癖が原因かも!顎のズレを直す「ティッシュ噛み」のやり方

耳鳴り、めまい、難聴といった症状は、耳鼻科で治療を受けても、なかなか改善しないことがあります。検査をしても原因が特定できなかったり、特に異常がないといわれたり……。実は、こうしたケースに、「噛みグセ」が関係していることが多いのです。【解説】長坂斉(長坂歯科院長)


長坂 斉
長坂歯科院長。日本咬合聴力研究所所長。日本全身咬合学会指導医・認定医。国際歯科学士会会員。「噛み合わせと全身の健康」をテーマに活動している。著書に『難聴・耳鳴り・めまいは「噛みグセ」を正せばよくなる』(青春出版社)などがある。詳細は、長坂歯科(東京都港区)のホームページを参照。

噛みグセを直せば聴力が復活する!

耳鳴り、めまい、難聴といった症状は、耳鼻科で治療を受けても、なかなか改善しないことがあります。
検査をしても原因が特定できなかったり、特に異常がないといわれたり……。

実は、こうしたケースに、「噛みグセ」が関係していることが多いのです。
物を食べるとき、本来であれば、すべての歯をまんべんなく使って、バランスよく噛むべきです。

これこそが正しい噛み方ですが、実践できている人は多くありません。
たいていの人に、特定の歯ばかりを使う噛みグセがあるのです。

特に日本人の場合、「奥歯でよく噛みましょう」「大口を開けて食べるのはみっともない」などといわれて育っているので、奥歯で物を噛む習慣の人が多いのです。
こうした噛みグセこそ、耳の症状と密接に関連しています。

私が最初に、歯と耳の関係に気づいたのは、20年近く前のことでした。
あるとき、私は一人の患者さんの歯の治療を行いました。

そのかたは、難聴で左耳がほぼ聴こえなかったのです。
ところが、歯の治療が終わったとき、その患者さんの聴力が、若者並みに劇的に回復したのです。

それから私は、聴力測定器を購入しました。
歯の治療に来られた患者さんたちの聴力を計測し、歯と耳の研究を続けてきました。
そして、これまでに集めた1万件を超えるデータの解析から、「歯を治療して噛みグセを直せば、耳鳴り、めまい、難聴といった耳の症状が改善する」という結論に至りました。

では、なぜ、噛みグセを直すと、耳の症状がよくなるのでしょうか。
下あごの関節である顎関節と耳は、隣接しています。

このため、下あごの動きによって発生する物理的な刺激は、耳に直接伝わります。
きちんと噛んでいてさえ刺激は伝わるのに、もし、「左の奥歯で多く噛む」という噛みグセがあると、左の下あごが顎関節を突き上げる力が増します。

そうなると、顎関節と隣接する耳は、この強烈な物理的刺激を受け続けることになります。
耳は、極めてデリケートで精密な器官ですから、強過ぎる物理的刺激を受け続ければ、左耳の機能は低下します。

左耳の聴力が低下するだけでなく、左右の聴力差が生じることで、耳鳴りやめまいが生じるのです。
また、噛みグセの悪さは、物理的な刺激だけではなく、耳の周辺や脳への血流に変化を起こします。

具体的には、噛みグセがあると、その歯を動かす咀嚼筋の血流が過剰に高まります。
すると、咀嚼筋に隣接する耳周辺の血流が高まり、その過剰な血流が、内耳や鼓膜を圧迫することになるのです。

そもそも、下あごの骨と耳の骨とは、成り立ちからいえば同じ物です。
胎児のとき、あごの骨は耳の骨から分かれて作られるものですし、あごの動きにかかわる神経と、耳の神経とはつながっています。

ですから、噛みグセを直してあごのズレを改善すれば、偏っていた耳への物理的刺激を減らすことができるのです。
同時に、血流の乱れが改善されるため、耳の状態をよりよい方向へと導くことができます。

左右の歯でバランスよく噛んであごのズレを直せ

私のクリニックでは、歯の治療を行うと同時に、噛みグセを直すセルフケアを行ってもらいます。
その結果、多くの患者さんが耳鳴りやめまい、難聴といった治りにくい症状を改善しているのです。

私が患者さんにお勧めしているのが、「ティッシュ噛み」トレーニングです(詳しくは、下の写真図解をご覧ください)。

【注意事項】
※噛むと痛みが出る場合、歯に欠損がある場合は、必ず歯科で治療を受けてから行うこと。
※1点に集中して噛み過ぎると、かえって歯のバランスがくずれる恐れがあるので、できるだけまんべんなく噛む。
※本格的な噛み合わせ治療は、専門の歯科医師に相談することが望ましい。

噛みグセを確実に矯正するためには、いくつかポイントがあります。
一つは、ティッシュ棒が上下の歯の噛み合わせ部分にしっかり当たるように噛むことです。

その際、ティッシュ棒をギュッと力を入れずに、軽く噛むことがコツです。
噛む回数はそれぞれ、10回ずつにとどめてください。

たくさん行ったほうが効果的と考えて、やり過ぎる人が多いのですが、やり過ぎは禁物です。
1日1回、朝起きたときの習慣にするといいでしょう。
毎日根気よく続けてください。

ティッシュ噛みのほかにも、食事の際の意識を変えることが極めて重要です。
今まで身についた噛みグセを直すことを意識しながら、左右の歯でバランスよく食事をしましょう。

もともと奥歯で物を噛むクセのある人は、ふだんの食事では、「前歯噛み」を意識して行ってください。
治りにくいとされる老人性難聴や突発性難聴、メニエール病についても、耳鼻科での治療で効果が出ていないときには、ティッシュ噛みを試してみる価値があります。

噛みグセがそれらの難治症状を引き起こしている可能性があるからです。
また、噛みグセを矯正することでよくなるのは、耳の症状だけに限りません。

頭痛、肩こり、腰痛、ひざ痛、手のしびれなど、多くの症状が治る可能性があります。
長年の噛みグセによって、噛む歯がすり減ると、前後、左右の歯に高低差が生じます。

その差に応じて、頭の位置が傾きます。
頭が傾けば、バランスを取るため、首や肩の筋肉が異常に緊張します。

すると、背中や腰、ひざなどによけいな負荷がかかり、全身の不調を招きます。
もし、「整形外科に通っても、腰痛などがいっこうによくならない」というかたは、噛みグセが原因かもしれません。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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