ニンニクを熟成させて作る「黒ニンニク」 免疫力を高め、抗がん作用が強いと判明

ニンニクを熟成させて作る「黒ニンニク」 免疫力を高め、抗がん作用が強いと判明

黒いニンニクを一口食べたときの驚き!鼻を突くようなにおいはなく、甘みと適度な酸味があって、まるでフルーツのよう。ニンニクとはとても思えませんでした。ニンニクを長年研究してきた私にとっても、それは衝撃的な出合いでした。【解説】佐々木甚一(弘前医療福祉大学教授)


熟成によってアミノ酸も糖質も大幅に増加

 私のもとに、青森のニンニク生産業者が真っ黒いニンニクを持って訪れたのは、2005年12月のことでした。そのとき私が発した第一声は、「どうやって染めたんですか?」。白いニンニクが黒くなるとは、染める以外考えられなかったのです。
 ところが、その答えは意外なものでした。染めたのでも、なにかを添加したのでもない。温度と湿度の条件さえ合えば、どんなニンニクでもこうなると言うのです。

 黒いニンニクを一口食べたときの驚き! 鼻を突くようなにおいはなく、甘みと適度な酸味があって、まるでフルーツのよう。ニンニクとはとても思えませんでした。ニンニクを長年研究してきた私にとっても、それは衝撃的な出合いでした。

 白いニンニクが黒くなるのならば、成分も変化しているはずだ。そんな疑問から、黒ニンニクの研究は始まりました。
 黒ニンニクは、ニンニクを一定期間、管理された温度と湿度のもとで熟成させたものです。その熟成の間に、白いニンニクが徐々に茶色になり、やがて黒くなっていきます。この反応を、メイラード反応と言います。アミノ酸が糖質と化学反応を起こして、メラノイリジンという褐色物質を生み出すのです。

 この反応によって成分も変化します。私が調べたところ、ニンニクに含まれる18種類のアミノ酸のうち、13種類の量が増えていました。なかには倍増したものもあります。グルタミン酸や炭水化物は1.7倍に増えており、それが黒ニンニクのうまみや甘みを醸し出していました。

半数のマウスのガンが完全に消えた

 ニンニクといえば、やはり注目したいのはその薬効。ニンニクは健康食材の頂点に立つ野菜です。米国立がん研究所が発表した、「デザイナーフーズ計画」と呼ばれる、ガン抑制効果のある農産物の中では、最もガン予防効果が期待できる食材として位置づけられています。

 しかし、私が行った抗ガン作用を調べる実験では、黒ニンニクには、生ニンニクをはるかにしのぐ効能がありました。実験は、ガン細胞を移植したマウスにニンニクを投与し、3週間後にガンの大きさを調べるというものです。

 その結果、生ニンニクでは、ガンの大きさは対照群(生ニンニクを投与しなかったもの)に比べて64%に抑えられていたものの、ガンが消えたマウスは1匹もいませんでした。
 一方、黒ニンニクでは、10匹中5匹のマウスのガンが消失しており、残りの5匹も、ガンの大きさが対照群に比べて半分以下(47.5%)に抑えられていたのです。

 生ニンニクをはるかにしのぐ抗ガン作用の結果に、私は驚きを禁じ得ませんでした。
 これは動物実験ですが、私たちが黒ニンニクを食べることにより、ガンの予防が将来的に可能になるのではと考えたほどです。
 では、この強い抗ガン作用は、どこから生まれるのでしょうか。

【実験の内容】 ガン細胞をマウスに移植して3回治療し、3週間後のガンの大きさを調べる。黒ニンニクと生ニンニクを与えた場合と、なにも与えないマウス(対照)を比較し、増殖したガンの大きさを調べた。その結果、黒ニンニクの治療群では、10匹のうち5匹で腫瘍が消えていた。腫瘍が治らなかった場合にも、腫瘍の大きさは対照と比べて47.5%に抑えられていた。

N‌K細胞を活性化する成分が4倍に増強

 そこで、黒ニンニクにガン細胞を直接殺す作用があるかを調べたところ、それは認められませんでした。黒ニンニクがガン細胞を殺さないということは、正常細胞にも害を与えないことを意味します。つまり副作用がないということです。
 次に考えられるのは、免疫の活性化作用です。人間の体には免疫という、ガンや感染症などの病気から自分の体を守るシステムが備わっています。そこで、マウスに黒ニンニクを投与して免疫が活性化するかどうかを調べたところ、ナチュラルキラー(NK)細胞が活性化したのです。

 NK細胞は、ガン細胞やウイルスと戦う最前線の細胞です。これまでの研究で、NK細胞はガン細胞にとりつくと、酵素を出してガン細胞に穴をあけたり、アポトーシスといってガン細胞を自殺するように誘導したりして、ガン細胞を死に至らしめることがわかっています。では、NK活性を高めているのは黒ニンニクのどんな成分でしょうか。

 それは、水溶性のアミノ酸であるS—アリルシステインです。血中に吸収されやすいS—アリルシステインは、ニンニクの免疫機能を高める最も重要な成分です(表2)。その量を調べると、黒ニンニクは、生に比べて約4倍に増えていました。
 さらに、黒ニンニクは、サイトカインという成分(たんぱく質)を増やすこともわかりました。サイトカインは免疫細胞を活性化する物質です。

免疫の活性化には1日1片を就寝前に食べる

 私たちがマウスに投与した黒ニンニクの量は、1㎎(マウスの体重は約30g)です。人間に換算すると、体重60㎏の人なら2gに相当します。これは、黒ニンニク1〜2片に相当し、そんなに多い量ではありません。

 ガン細胞は夜間に活発に増殖しますが、それを抑える免疫は、逆に夜間に低下してしまいます。ですから、黒ニンニクを夜寝る前に食べればNK活性が上がり、黒ニンニクの効果がより高まります。

ささき じんいち
1940年、岩手県生まれ。弘前医療福祉大学教授、医学博士。アメリカ国立衛生研究所(NIH)やベルギーパスツール研究所などに招聘され研究に従事する。専門分野は免疫学、微生物学、食品機能学。黒ニンニクの抗腫瘍活性(2007年)、黒ニンニクのNK細胞の活性化(2009年)を英国学術誌に発表。これらは黒ニンニクの生理活性作用の最初の研究報告となる。協同組合青森ニンニク協会顧問。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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