【眼科医解説】緑内障患者に勧める「目の温パック」とは?眼圧が下がり、手術回避も

【眼科医解説】緑内障患者に勧める「目の温パック」とは?眼圧が下がり、手術回避も

目の温パック後に、まぶたさすりを行うと、より涙の質がよくなり、リラックス効果も得られます。緑内障の発症原因の一つはストレスです。ストレスを解消することも、緑内障の進行を防ぐのに大いに役立ちます。【解説】平松類(彩の国東大宮メディカルセンター眼科部長)


入浴中に行うのが習慣化しやすくお勧め

さまざまな目の病気や不調を持つ患者さんに、私が必ず勧めているセルフケアが、「目の温パック」です。
特に、緑内障の患者さんには、点眼薬とともに、目の温パックを宿題にします。

現在、日本人の失明原因の第1位となっているのが、緑内障です。
緑内障は、ゆっくり進行するため、初期の段階では気づきにくい病気です。

症状が現れたときには、かなり進行していることが多いのです。
しかし、早期に発見できれば、点眼薬で進行を抑えることができます。

さらに、目の温パックを併用することで、目の状態が非常によくなるのです。
目の温パックは簡単です。

タオルを2本用意します。タオルを水に浸して軽くしぼり、電子レンジで約40秒温めます。
熱過ぎない温度(約40度)になったら、目を閉じてまぶたの上にのせるのです。

冷めてきたら、もう一つのタオルに替え、合計で5分ほど温めましょう。
これを、朝と夜の2回行ってください。

目の奥がジワーッと温かくなり、気持ちよく感じるはずです。
目の温パックは、いつ行ってもかまいませんが、入浴中がお勧めです。

40度前後のお風呂のお湯は、目を温めるのに最適な温度です。
湯船やシャワーのお湯でタオルをしぼれば簡単なので、習慣化しやすいでしょう。

物が見えやすくなり点眼薬の効果も高まる

なぜ目の温パックが、緑内障をはじめとした目の病気に有効なのでしょうか。
涙は水分だと思っている人が多いのですが、実は、油も混ざっています。

上下のまぶたの縁にあるマイボーム腺から油が分泌されて、目の表面に油の膜を張ります。
水分だけでは蒸発して、すぐに乾いてしまうところ、油の層が表面にあるため、目が乾きにくくなります。

しかし、目の周りの血流が悪いと、まぶたが冷えて、マイボーム腺から出る油が固まり、分泌されなくなってしまうのです。
現代人は、運動不足や睡眠不足、ストレス過多な生活などによって、内臓や血管を調整する自律神経の働きが乱れています。

そのため、体温を調整する力が弱く、低体温や冷え症の人が非常に多くなっています。
特に、緑内障の患者さんの多くは、まぶたが冷えていて、油が分泌されにくくなっています。

目の表面を覆う油の層が薄くなると、涙がどんどん蒸発して目が乾燥します。
その結果、目が痛くなったり、物が見えにくくなったり、頭痛が起こったりすることがあるのです。

目の温パックでまぶたを温めれば、マイボーム腺が開通して油が分泌され、涙の質がよくなります。
目の不快症状が改善して、見えやすくなるばかりでなく、点眼薬の効果も高まります。

薬が目にとどまって、吸収されやすくなるからです。
さらに、パックのあとに、まぶたを指でさする「まぶたさすり」を行うと、より効果的です。

マイボーム腺の走行に沿って、手の指で優しくさすると、油の分泌がよくなるのです。
目を閉じ、人差し指を横にして上まぶたに当て、まぶたの左・中央・右の3ヵ所を、上から下に3回ずつ軽くさすります。

次に下まぶたの左・中央・右の3ヵ所を下から上に3回ずつさすります。
これを左右の目に行いましょう。

目の温パック後に、まぶたさすりを行うと、より涙の質がよくなり、リラックス効果も得られます。
緑内障の発症原因の一つはストレスです。ストレスを解消することも、緑内障の進行を防ぐのに大いに役立ちます。

これらの方法を実践して、眼圧が下がったという患者さんがいらっしゃいます。
目薬の効きがよくなり、手術を回避できた人も少なくありません。

さらに、実用視力(後述)が回復し、「物が見えやすくなった」というかたもいました。
一般的な視力検査は、ランドルト環という「C」の切れめが一瞬でも見えれば、「見えた」ことになります。

「最大瞬間視力」といっていいでしょう。
一方、実用視力とは、日常生活でどの程度見えていて、その見え方をどのくらい持続できているか、を表します。

「平均視力」というイメージでしょうか。
一般的な視力検査では1・0でも、実用視力を測ると0・7しかない、というケースも多く見られます。

これはつまり、日常生活では、0・7の視力の範囲しか見えていないということです。
目の温パックを行うと、目の潤いが保たれるため、瞬間的な視力ではなく、持続的な視力が向上します。

「見えやすい状況が長続きする」のです。
最後に注意点ですが、目にかゆみや腫れがある場合や、目の手術をした直後は、目の温パックや、まぶたさすりは行わないでください。

それ以外のかたは、ぜひ、これらのセルフケアを実践し、視力回復と目の健康維持に役立てましょう。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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