【医師解説】糖尿病の合併症が改善!常識を覆す「低インスリン療法」症例報告

【医師解説】糖尿病の合併症が改善!常識を覆す「低インスリン療法」症例報告

低インスリン療法に切り換えると、動脈硬化も改善していきます。血管の状態がよくなると、全身の細胞に酸素と栄養が十分に届くようになります。すると、もともとそなわっている修復能力が発揮されやすくなり、さまざまな合併症が改善に向かいます。3つの症例をご紹介しましょう。【解説】新井圭輔(あさひ内科クリニック院長)


新井圭輔
1981年京都大学医学部卒業。あさひ内科クリニック院長。上中里医院特別顧問。臨床の中で多くの糖尿病患者の治療に携わり、「定説は真実とは限らない」として、定説を覆す「低インスリン療法」を提唱。インスリンを補わない、分泌させない治療で、糖尿病の合併症を防ぐ治療に効果を上げ、多くの医師の賛同を得ている。著書『糖尿病に勝ちたければ、インスリンに頼るのをやめなさい』(幻冬舎)が好評発売中。

血流がよくなり足の切断手術を免れた

 低インスリン療法に切り換えると、だいたい2~3週間ほどで、さまざまなよい変化が起こり、動脈硬化も改善していきます。
 血管の状態がよくなると、血流がスムーズになり、全身の細胞に酸素と栄養が十分に届くようになります。
 すると、体にもともとそなわっている修復能力が発揮されやすくなり、さまざまな合併症が改善に向かいます。

 ここで三つの驚くべき症例をご紹介しましょう。

 Kさん(60歳・男性)は、糖尿病による神経障害で壊疽(組織の一部が死ぬこと)を起こし、足の切断手術を控えていた患者さんです。
 ご本人は、「足を切ったつもりで始める」と、低インスリン療法に取り組み、厳格な糖質制限と、足指をラップでくるむ手当てを続けました。
 足の指には、しだいに新しく健康な肉が盛り上がり始め、1ヵ月ちょっとで壊疽が完治したのです。

 2人目のHさん(70代・男性)は、2014年11月末に、「両目がゴロゴロして痛い。ゴミが入ったかもしれない」と来院されました。
 当院では、コンタクトレンズの処方も行っており、Hさんは定期的に目の検査にだけ来ていたのです。
 診ると、Hさんの両目は重症の角膜びらんを起こしていました。角膜びらんは、黒目を覆う角膜の表面が部分的に取れてしまうもので、目のごろつき、痛み、白目の充血などを伴います。
 Hさんの話をよくよく聞くとHさんは、2型糖尿病で高インスリン療法を受けていました。

 私は、この治療を続けると、角膜移植が必要になるかもしれないと説明し、すぐに低インスリン療法(低インスリン療法のやり方は別記事参照)に切り換えるよう提案したのです。

体重は9kg減!血圧も正常値に

 目の状態が深刻だったことから、Hさんはすぐに低インスリン療法を開始し、糖質制限にも熱心に取り組んだのです。

 その後の回復ぶりは目をみはるものがありました。角膜びらんは、3週間ほどで完治。角膜は、再生力が強いのです。
 もちろん、糖尿病も改善しました。初診時のヘモグロビンA1cは7・9%(過去1~2カ月の血糖値を反映する数値で、正常値は6・5%未満)でしたが、翌年3月には6・6%になっています。

 また、Hさんは以前の治療で降圧剤を処方されていましたが、初診時は最大血圧192mmHg、最小血圧100mmHgと高い状態でした(正常値は最大血圧140mmHg未満、最小血圧90mmHg未満)。

 それが、翌年の3月には上が122mmHg、下が69mmHgになり、以後、ずっと正常値を維持しています
 さらに、Hさんは、身長167cmに対して体重は74kgのメタボ体形だったのですが、低インスリン療法に切り替えて、現在は65㎏になったのです。
 スッキリした体形になったHさんは、「健康になったうえに、やせられた!」と、たいへん喜んでいます。

認知症が3週間で改善

 最後の例は、認知症のAさん(80代・女性)です。あるときAさんの娘さんから、Aさんが認知症で話すこともできず、体を起こす気力もないため寝たきりになったと相談されました。

 寝たきりならば糖質制限がしやすいと思った私は、娘さんに協力してもらい、糖質をいっさい抜いた食事をAさんに食べてもらうことを提案したのです。

 すると3週間後、娘さんがニコニコ笑顔でやってきて、「うちの母が家族としゃべるようになったんです。今日はベッドから起き上がって、家の中を歩いていたんですよ」と報告してくれました。

 人間の持つ修復能力は本当にすごい! 私はいつも患者さんから教えてもらっています。
 Aさんは糖尿病だったわけではありませんが、糖質制限の食事にすることで、体内のインスリンの分泌を大幅に減らすことができたのがよかったのだと考えています。

 そして実は、高インスリン療法を受けている人には、認知症が多くみられます。
 これは、インスリンから発生する活性酸素が、脳の細胞を直撃するからです。

 今、高インスリン療法を見直す時期が来ている、と私は考えています。
 何度も言いますが、インスリンは猛毒なのです。使えば使うほど動脈硬化が進み、合併症の予防や改善などできません。
 こんな治療は、おかしいと思いませんか? 

 糖尿病の人は、本来、不老長寿のタイプだと、私は考えています。その長所を生かすためにも、ぜひ自分のできる範囲の糖質制限を行って、上手に血糖値をコントロールしていただきたいと思っています。

低インスリン療法はさまざまな病気の改善に役立つ!

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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