【認知症】アルツハイマー病の予防に期待!ハーブ由来の「ロスマリン酸」とは

【認知症】アルツハイマー病の予防に期待!ハーブ由来の「ロスマリン酸」とは

緑茶を飲むほど、将来の認知機能低下のリスクが低いという調査結果を受け、私たち研究チームはポリフェノール類の作用に着目。結果、ハーブの一種であるレモンバームやローズマリーに多く含まれている「ロスマリン酸」が最も効果が高いことがわかりました。【解説】山田正仁(金沢大学附属病院神経内科長・金沢大学神経内科学教授)


→【関連記事】認知症・MCI予防には「緑茶」が最適!

認知症を引き起こす物質の脳内沈着を食い止める

緑茶を飲む頻度が多い人ほど、将来の認知機能低下のリスクが低いという調査結果は、別記事でご紹介しました。
この結果を受けて、私たち研究チームは、ポリフェノール類の作用に着目。

そして、どのポリフェノールが、最も認知機能低下を防ぐ効果があるのか、調べることにしました。
その結果、アルツハイマー病のモデルに対し、最も効果が高かったのが、「ロスマリン酸」と呼ばれるポリフェノールです。

先日、あるテレビ番組でも取り上げられたので、聞き覚えのあるかたもいるかもしれません。
ロスマリン酸は、ハーブの一種であるレモンバームやローズマリーに、多く含まれています。

では、私たちがどのようにしてロスマリン酸の効果を見出したか、順を追って説明しましょう。
まずは、試験管レベルでの実験です。

緑茶など、さまざまな食品・植物に含まれる数十種類のポリフェノールを集めて、アミロイドβたんぱくの凝集を防げるか、検証しました。
アミロイドβたんぱくとは、アルツハイマー病の脳内にたまる、異常たんぱく質です。

これが凝集・沈着し、老人斑という構造を作ることで、認知症の発病の中心的な役割を果たします。
アミロイドβたんぱくが長年蓄積されることで、アルツハイマー病による認知症の発症リスクが高まってしまうわけです。

アルツハイマー病による認知症は、次のような順序で発症に至ると考えられています。
❶脳内で、アミロイドβたんぱくが凝集・沈着する
❷脳の細胞内で、リン酸化タウたんぱくが凝集・沈着する
❸脳の神経細胞に障害が生じ、認知症を発症する

つまり、アルツハイマー病による認知症をなるべく早い段階で予防するには、①の段階で食い止める必要があるのです。
この実験により、いくつかのポリフェノールが高い効果を示しました。

緑茶に含まれる、ミリセチンと呼ばれるポリフェノールも、その一つです。
次は、マウスを用いた実験です。前の試験管内の実験で好成績を収めたポリフェノールを、アルツハイマー病モデルのマウスに投与し、効果を検証しました。

その結果、緑茶に含まれるミリセチンよりも、優れた予防効果を発揮したのが、ロスマリン酸だったのです。

安全性には問題なし!有用性を現在解析中!

私たちは、2016年7月から、地域住民を対象に、「ロスマリン酸認知症予防プロジェクト」と題する、認知症予防のための臨床試験を開始しました。
まず私たちは、レモンバームから抽出した、ロスマリン酸を豊富に含む粉末をカプセルに詰め、健常者に摂取してもらう臨床試験を行いました。

その結果、健常者に対する安全性は、全く問題ないと確認されました。
次に検証するのは、早期アルツハイマー病による認知症の患者さんへの、安全性や有用性です。

20人の患者さんを、無作為に二つのグループに分けて、一つのグループにはロスマリン酸を豊富に含むカプセルを、もう一つのグループにはそれが入っていないカプセル(偽薬)を飲んでもらい、安全性やアルツハイマー病に対する有用性を確認しました。
こちらも、安全性に問題なく投与が終了したところで、効果については、現在解析中です。

現在進行中のこの検証は、世界初の試みです。
ロスマリン酸を含む試験食品による、認知症予防の効果が確認できれば、安全かつコストがかからない認知症の予防法として、期待されます。

レモンバームやローズマリーを使った料理やお茶が、近い将来、予防食として広まる可能性があります。
私たちの今後の研究に、ご注目ください。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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