脊柱管狭窄症の痛みしびれを改善する「バタ足体操」 腰痛教室で効果続出!

脊柱管狭窄症の痛みしびれを改善する「バタ足体操」 腰痛教室で効果続出!

脊柱管狭窄症は、背骨の神経の通り道である脊柱管が、なんらかの原因で狭くなって神経を圧迫し、痛みやしびれの出る病気です。しかし、ただ脊柱管が狭くなっているだけではありません。脊柱管の中の静脈や神経がうっ血して(浮腫んで)いるのです。【解説】佐藤勝彦(一般財団法人大原記念財団大原綜合病院院長)


脊柱管内の血流が改善し背筋が鍛えられる!

脊柱管狭窄症は、背骨の神経の通り道である脊柱管が、なんらかの原因で狭くなって神経を圧迫し、痛みやしびれの出る病気です。
しかし、ただ脊柱管が狭くなっているだけではありません。
脊柱管の中の静脈や神経がうっ血しているのです。

私はこうしたことを、多くの脊柱管狭窄症患者さんの脊柱管内を画像検査して確認。
それを論文でも発表しています。

うっ血とは、血液の巡りが悪くなることで、浮腫(むくみ)を伴います。
脊柱管内の神経がむくむと、相対的に脊柱管の圧迫が強くなります。
さらに、それを増悪させるのが、脊柱管内で起こる炎症です。

そうしたさまざまな要因が重なって、脊柱管狭窄症の症状が起こっていると、私は考えています。
したがって、脊柱管狭窄症の症状を緩和するには、これらのうっ血を改善することが大事です。

そこで私が考案したのが、「バタ足体操」です(やり方は次項参照)。
バタ足体操は、うつぶせになって足を水泳のバタ足のようにバタバタ動かす体操です。
この体操のポイントは、うつぶせになって行うことです。

私たち人間は、地球上に生きている限り、常に重力の影響を受けています。
立った状態では、体を支えている腰部に体重の負荷がかかります。

そうしたストレスが、腰椎(背骨の腰の部分)やその周辺組織を傷つけます。
それに、体の末端から心臓に戻る、静脈の血液やリンパ液は下肢(下半身)にたまりやすくなります。

ところが、うつぶせになると、地球の重力から体が解放され、腰部にかかる負担が減ります。
それによって、脊柱管や椎間板(背骨と背骨の間にあるクッションの役割を果たす軟骨)の内圧が下がります。
すると、脊柱管内の神経が通りやすくなり、血液も流れやすくなります。
椎間板に、栄養が供給されやすくなり、腰周囲の靭帯や関節も重力から解放され、休ませることができます。

また、バタ足体操をすることで背筋が鍛えられます。
一般的に、腰痛は、腹筋を鍛えるとよいとされています。
しかし、腹筋より大事なのは背筋。
それは、背骨を支えるには背筋の力が必要になるからです。

それに、バタ足体操を行うと、体の深部にある腸腰筋がストレッチされて、骨盤の矯正も期待できます。

→「腸腰筋」の解説はこちら

さらに、太ももとふくらはぎの大きな筋肉を収縮させるので体幹部(胴体)や下肢の静脈の血流が促進されます。
しかも、脊柱管の内圧が下がっているので、脊柱管内の血流もよくなり、うっ血が取れやすくなります。

背筋力は7kgアップ!手術回避の例もある

私は2009年から腰痛教室を開き、「うつぶせ体操」を慢性腰痛の患者さんに指導しています。
バタ足体操は、うつぶせ体操のなかの脊柱管狭窄症に無理のない有効な体操です。

教室では、月に1回、腰痛全般についての講義、食事や薬、運動などの指導を行い、自宅でもうつぶせ体操を実践してもらいます。

この腰痛教室に参加した患者さん50名(65歳以上、女性44名、男性6名)について、うつぶせ体操の効果を調べたところ、その成果を確認することができました。

背筋力は、2ヵ月間の体操で、平均35kgだったのが42kgと約7kgアップし、腰の痛み、歩行機能、腰椎機能などにおいて、いずれも顕著な改善が見られたのです。

実際、バタ足体操で脊柱管狭窄症の症状が改善し、手術を回避できた患者さんもいます。

●Sさん(74歳・女性)
2年前、脊柱管狭窄症で足腰に痛みやしびれがあったSさんは、長く歩くことができませんでした。
手術は受けたくないというので、腰痛教室への参加を勧め、毎日、バタ足体操を行ってもらいました。

Sさんは、2ヵ月ほどバタ足体操を続けたころ、痛みやしびれはなくなり、普通に歩けるようになりました。
現在もSさんの腰の状態を観察していますが、バタ足体操を続けているおかげか、腰の調子はいいそうです。

脊柱管狭窄症は老化現象のようなもので、何もしなければ必ず悪化します。
しかし、Sさんのように、バタ足体操を続けていれば、なにかしらよい結果が得られると思います。

【腰痛の名医】脊柱管狭窄症は自分で治せる!症状別の治療法と簡単体操はコレ

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

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