【認知症の予防】オキシトシンの分泌を高めるアニマルセラピーの効果 “猫”を思い描くだけでもよい

【認知症の予防】オキシトシンの分泌を高めるアニマルセラピーの効果 “猫”を思い描くだけでもよい

猫との交流を通じて、皆さんご自身にオキシトシンがよく分泌されるようになれば、それは、周囲にいる人たちへも波及していくはずです。人に優しくなれれば人間関係がスムーズになり、その輪にいる人たちすべてが、オキシトシンに満たされるでしょう。【解説】高橋徳(統合医療クリニック徳院長・ウィスコンシン医科大学教授)


高橋徳
統合医療クリニック徳院長。アメリカ・ウィスコンシン医科大学教授。アメリカで10年以上にわたりオキシトシンの研究を行い、論文を発表。2013年、郷里の岐阜県で統合医療クリニック「高橋医院」を開業。2016年、名古屋市内に分院「クリニック徳」を開業。著書に『8つのツボで30の病
気を治す本』(マキノ出版)などがある。

すばらしい健康効果を持つ脳内ホルモンに注目

近年、オキシトシンというホルモンが、医学や脳科学の世界で大きな注目を集めています。
オキシトシンは、脳の視床下部(自律神経の調節を行う器官)から分泌され、すばらしい健康効果を持っている脳内ホルモンです。

もともと、オキシトシンは、分娩の際の子宮収縮や、母乳の分泌を促す働きがあり、「お母さんのホルモン」として知られてきました。
ところが、研究が進み、妊娠・出産経験がない女性に加えて、男性でも、そして年齢を問わずどんな人でも、オキシトシンを分泌できることが判明したのです。

私は、医師としては外科がスタートでした。
その後、鍼灸についても学ぶうち、西洋医学だけの治療に限界を感じるようになりました。

そして、もっと自分で研究を重ねたいと思い、アメリカの大学でストレスの研究を行い、その過程で出合った物質こそ、オキシトシンだったのです。
複雑で多様な現代社会に生きる私たちは、常にさまざまなストレスと向き合っています。

心身にストレスが加わると、ストレスホルモンが分泌され、多くの不調や病気を引き起こします。
オキシトシンには、このストレスホルモンの分泌を抑え、ストレスから生じる諸症状を抑制する効果があります。

そして、研究が進めば進むほど、このオキシトシンには、多くの効能があることが明らかになっています。
オキシトシンが分泌されると、ストレスに強くなるだけでなく、自律神経のバランスが整うのです。

その結果、胃腸の状態がよくなる、高血圧や糖尿病になる危険性が軽減される、体の痛みが和らぐ、幸せな気分がもたらされるなど、実にさまざまな効果が発揮されます。
では、オキシトシンは、どのようにすれば、分泌されるのでしょうか。

まず、ご自身が気持ちいいと感じる刺激を与えることです。
おいしい物を食べる、豊かな自然を満喫する、美しい音楽を聴くなど、見たり聴いたりするなかで、喜びを感じる刺激が得られれば、オキシトシンの分泌が促されます。

また、肌と肌の触れ合いも有用なポイントです。
例えば、手をつないだりマッサージをしたりするなど、相手との直接的なスキンシップを図ると、多くのオキシトシンが分泌されるのです。

肌の触れ合いについては、相互作用が発揮されるので、ご自身だけでなく、スキンシップを共有する相手にも、オキシトシンが分泌されます。

認知症予防に役立てる取り組みも進む

さて、そこで今回のテーマである猫はどうか、ということになります。
もちろん、オキシトシンの分泌に大いに役立つといえます。

まず、テレビや雑誌などで、猫の愛らしい姿を見て楽しむだけでもいいですし、さらに、直接猫に触れ合うことができれば申し分ありません。
猫の毛並みのフワフワとした触り心地が、オキシトシン分泌を促すことは間違いないでしょう。

もっとも、猫を飼いたくても飼えない環境にあるかたもおられると思います。
しかし、猫に関心を持つことでも、オキシトシンの分泌は促されます。

例えば、好きな人と実際に触れ合うことができなくても、その人のことを想像するだけで、オキシトシンは分泌されることがわかっています。
ということは、同様にかわいい猫の姿を思い描くだけでもいいのです。

また、オキシトシンがメディアで騒がれるようになる以前から、お母さんと赤ちゃんが互いに見つめ合うことで、オキシトシンの分泌が促されることが知られていました。
最近では、愛犬と見つめ合うことでも、オキシトシンが分泌されるという報告もなされています。

したがって、猫と見つめ合うことでも、同様の効果が得られるでしょう。
また、猫に対して愛情を持ってかわいがれば、猫もそれを喜びと感じます。

こうした双方向で好意を交わし合うことは、オキシトシンを継続的に分泌させるのに役立つのです。
猫との交流を通じて、皆さんご自身にオキシトシンがよく分泌されるようになれば、それは、周囲にいる人たちへも波及していくはずです。

人に優しくなれれば人間関係がスムーズになり、その輪にいる人たちすべてが、オキシトシンに満たされるでしょう。
最近では、ペットとの触れ合いでオキシトシンが分泌されることを応用して、いわゆる「アニマルセラピー」を認知症の予防に役立てる取り組みが進んでいます。

ストレス社会に生きる私たちにとって、まさに、猫の存在は、さらなる健康効果をもたらす可能性を秘めています。

→【関連記事】病院や施設で大活躍「セラピーキャット」とは

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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