【なぜ猫に癒されるのか】猫と暮らせば心筋梗塞の死亡率が下がる!脳が活性化すると実験で判明

【なぜ猫に癒されるのか】猫と暮らせば心筋梗塞の死亡率が下がる!脳が活性化すると実験で判明

ヒトは、猫と触れ合うと、脳に大きな変化が現れます。猫と暮らすことは、かわいがることで癒し効果が得られるのと同時に、さまざまな作業が必要となります。食事や飲み水の用意をするなど、こうした一連の作業はすべて、脳をよく使うことにつながります。【解説】内山秀彦(東京農業大学農学部バイオセラピー学科動物介在療法学研究室准教授)


脳を若返らせ認知機能を高めるのに役立つ

なぜ、猫を見たり、なでたりすると、私たちは癒されたと感じるのでしょう。
その疑問を解消するために私が行った、一つの実験についてご紹介しましょう。

ヒトは、猫と触れ合うと、脳に大きな変化が現れます。
そこで、私たちの研究グループは、「光イメージング脳機能測定装置」を使って、そのときの脳内の活動状態を調べました。

すると、犬と猫に触れ合ったときをそれぞれ比べたところ、猫と触れ合ったときのほうが、2倍近く脳の活動が高まることがわかりました。
また、猫に関しては、ただ猫の姿を見るだけのケース、実際になでるケース、猫といっしょに遊んでいるケースなど、いずれも脳の活動状態が向上したのです。

特に興味深いことは、最も脳が活発に動くのは、猫が命令を聞いたときではなく、命令を聞かなかったときだったという点です。
猫は、いわゆる「ツンデレ」な動物です。

命令しても、すなおに従ってくれることはまれ。
自由気ままにふるまい、こちらに全く興味がないように見えたかと思えば、近寄って甘えてきたり……。

猫のツンデレのふるまいこそ、私たちの脳を最も賦活させるのです。
脳の血流が増えたと確認されたのが、脳の前頭前野という部分です。

前頭前野は、脳の司令塔であり、人間を人間たらしめている部分です。
脳で神経細胞が活発に動くと、多くの酸素が必要となります。

すると、酸素を多く含んだ血流量が増えるのです。
このように、動物との触れ合いは前頭前野の活性化につながると考えられます。

高齢のかたの場合、脳を若返らせ、認知機能を高めるのに役立ちます。
また、認知症の予防という観点からいえば、高齢のかたが猫と暮らすことは、大いに勧められます。

脳活性の手段としては、申し分ないでしょう。
猫と暮らすことは、かわいがることで癒し効果が得られるのと同時に、さまざまな作業が必要となります。

食事や飲み水の用意をする、トイレの始末をする、フードが足りなくなれば買いに出かけるなど、こうした一連の作業はすべて、脳をよく使うことにつながるからです。

ドイツの医療費削減効果は約7500億円!

さらに、猫を飼うことは、脳を活性化させる以外にも、さまざまな健康効果が得られることがいくつかの研究で確かめられています。
アメリカのミネソタ大学は、4000名を超える男女を13 年にわたって追跡調査し、猫と暮らしている2435名と、猫と暮らしていない約2000名を比較しました。

その結果、猫と暮らしているグループは、心筋梗塞などで亡くなる確率が40%も低くなるとわかったのです。
なぜ、そうなるのでしょうか。

その理由については、以下のような推測ができます。
心血管系疾患の発症には、ストレスが大きなウエイトを占めています。

さまざまなストレスに満ちた社会で生きている私たちは、日々、不安や緊張を感じることが多くなっています。
脳の大脳辺縁系には、感情をコントロールしている扁桃体という部分があります。

不安や緊張が強まると、扁桃体が過剰に反応します。
こうした強く持続的なストレス反応は、最終的に、心筋梗塞や脳卒中などの引き金となるのです。

扁桃体の興奮を抑えるのが前頭前野であり、両者は密接に関係しています。
つまり、猫と触れ合い、前頭前野の活動が活発になることは、猫によって癒される以上の健康効果をもたらすのです。

また、オーストラリア・メルボルン大学のハーディー博士は、ドイツ、オーストラリア、中国である調査を行いました。
それによると、ペットと暮らしている人は、ペットのいない人に比べて、病院への通院回数が15~20%も少なかったと報告しています。

ハーディー博士の試算によると、ペットのおかげで病院に行かずに済んだ結果、ドイツでは約7500億円、オーストラリアでは約3000億円の医療費削減効果があったといいます。
超高齢化社会に突入し、医療費が増大しつつある我が国においても、こうした結果は軽視できないでしょう。

猫と暮らすことで健康になり、病院に行く必要がなくなれば、医療費を削減する一助となることはいうまでもありません。
猫の場合、実際に飼うことができなくても、テレビで猫の番組を見たり、猫の写真集を見たりして、「かわいい!」と感じるだけでも、脳活性に効果があります。

また、最近増えている「猫カフェ」に行けば、気軽に触れ合うこともできます。
ご自分に合った、猫とのつきあい方を見つけてください。

内山秀彦
1978年、神奈川県出身。麻布大学大学院博士課程修了。2011年より現職。ヒトと動物の関係学会常任理事。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

関連するキーワード


ストレス 心筋梗塞

関連する投稿


【高血圧】脳梗塞は熱中症と間違えやすい! 原則「喉が渇いたら水を飲む。汗をかいたら塩も取る」

【高血圧】脳梗塞は熱中症と間違えやすい! 原則「喉が渇いたら水を飲む。汗をかいたら塩も取る」

心臓病や脳卒中は、心臓や脳が悪化したために起こるのではありません。血液がドロドロになり、動脈硬化が進行した末に起こります。つまり、血管の状態が悪化した結果として、これらの病気は起こるのです。そして、これらの血管病の最大の原因は高血圧です。【解説】高沢謙二(東京医科大学病院健診予防医学センター長、東京医科大学教授)


【ED(勃起不全症候群)セルフチェック】受診の流れと治療薬 早期治療で80%が改善

【ED(勃起不全症候群)セルフチェック】受診の流れと治療薬 早期治療で80%が改善

ED(勃起不全症候群)は、まったく勃起しない状態だけを指すのではありません。勃起を保つ自信や、性交の満足度などがないと感じる場合も該当します。少しでも不安がある人は、表のセルフチェックを試してください。セルフチェックの結果が21点以下の場合は、EDの疑いがあります。【解説】小堀善友(獨協医科大学越谷病院泌尿器科講師)


血圧が下がり、子宮筋腫が改善した「中指ねじり」のやり方

血圧が下がり、子宮筋腫が改善した「中指ねじり」のやり方

基本的なやり方として中指のもみ方を紹介します。体の軸になる中指だけでもしっかりもむと、体調面、心理面がガラリと変わると思います。時間のある人は、中指と同様にすべての指をもむとさらに効果的です。行うときは、全身のヨガと同様に呼吸がたいせつです。【解説】宮本よしか(龍村式指ヨガマスターインストラクター・看護師)


【血栓症とは】“止血血栓”と“病的血栓”の違い 突然死を招く「強いストレス」と「座りっぱなしの姿勢」

【血栓症とは】“止血血栓”と“病的血栓”の違い 突然死を招く「強いストレス」と「座りっぱなしの姿勢」

強いストレス状態に置かれると、体を守ろうとして血栓ができやすくなります。 血栓症とは、血管の中に血のかたまり(血栓)ができ、血管を詰まらせる病気のことです。血のかたまりが血流に乗って脳の血管を詰まらせると脳梗塞、心臓の栄養血管を詰まらせると心筋梗塞になります。【解説】浦野哲盟(浜松医科大学副学長、医生理学講座教授)


【脳梗塞・心筋梗塞】発症予防には起床後の“水分摂取”と肉を食べる前の“○○○”

【脳梗塞・心筋梗塞】発症予防には起床後の“水分摂取”と肉を食べる前の“○○○”

動脈硬化が進むとともに血栓ができると、その結果として、脳梗塞や心筋梗塞といった怖い病気を招いてしまいます。命に関わるこれらの病気を防ぐために習慣にしてほしいのが、起床後に十分な水分を取ることです。【解説】南和友(北関東循環器病院院長、ドイツ・ボッフム大学永代教授)


最新の投稿


【沖ヨガの効果】“足”への刺激は自分で「治る力」を高める 「足裏たたき」を医師が推奨

【沖ヨガの効果】“足”への刺激は自分で「治る力」を高める 「足裏たたき」を医師が推奨

人間は、よほどのことがない限り、自分で自分の体を治す力を持っています。足の刺激法などのほうが、薬よりはるかに上であって、まず試すべきものです。足を刺激することによって、その人が本来持っている、治る力を活性化させることができるからです。【解説】樋田和彦(ヒダ耳鼻咽喉科院長)


【沖ヨガの特徴とは】心身をケアするヨガ "足裏たたき" で心も体もリラックス

【沖ヨガの特徴とは】心身をケアするヨガ "足裏たたき" で心も体もリラックス

足裏たたきを続けていると、胃腸や肝臓や膵臓の不調、肺をはじめとした呼吸器の不調、心臓の不調、血管の問題、腎臓や泌尿器の不調、腰痛や首の痛み・こりなどが、次々によくなっていきます。同時に、肌もきれいになり、姿勢もよくなって若々しく生まれ変われるのです。【解説】佐藤松義(イタリア政府公認 沖道密教ヨガ総合自由大学教授)


不調の5大原因を取り除く【沖ヨガ】「足裏たたき」の効果 腰痛が改善、ストレスが解消した

不調の5大原因を取り除く【沖ヨガ】「足裏たたき」の効果 腰痛が改善、ストレスが解消した

病気になる前に、その原因を遠ざける。もし病気になったとしても、自然の回復を促す。それが足裏たたきのすぐれた効能です。やり方を身につければ、あなたにとって、必ず一生の宝になります。【解説】佐藤松義(イタリア政府公認 沖道密教ヨガ総合自由大学教授)


【沖ヨガ】詰まりが取れて全身に血が巡る「足裏たたき」のやり方

【沖ヨガ】詰まりが取れて全身に血が巡る「足裏たたき」のやり方

刺激して痛みを感じる部位があれば、そこは体の巡りが悪く詰まっている証拠です。重点的にたたいたり、もんだりしてください。詰まりが取れて全身の血の巡りが一気によくなり、目も頭もスカッとします。【解説】佐藤松義(イタリア政府公認 沖道密教ヨガ総合自由大学教授)


【胃腸の健康】ピロリ菌を撃退し善玉菌を増やす効果 “乳酸菌”が豊富な「水キムチ」

【胃腸の健康】ピロリ菌を撃退し善玉菌を増やす効果 “乳酸菌”が豊富な「水キムチ」

生野菜は、胃の粘膜を荒らすため、胃が疲れているときにサラダを食べるのはよくありません。しかし、同じ野菜でも、発酵させた水キムチなら、胃に優しく作用するので安心です。【解説】丁宗鐵(日本薬科大学学長)