【医師解説】最大血圧の適正値は「年齢+90ミリ」で問題なし 200ミリ以下なら降圧剤は不要

【医師解説】最大血圧の適正値は「年齢+90ミリ」で問題なし 200ミリ以下なら降圧剤は不要

基準値を少し超えただけで高血圧の診断が下され、降圧剤を飲むとどうなるでしょう。これは、「本来下げる必要のない血圧を下げている」ことになります。その結果、めまい、しびれ、息切れ、倦怠感、肩こりなど、多くの体の不調が起こってきます。【解説】松本光正(サン松本クリニック院長)


最大血圧の適正値は「年齢+90ミリ」で問題なし

そもそも、血圧とは、さまざまな要因によって上下動するものです。
なぜなら、その人が最高の状態で活動できるようにするため、常時調節されているからです。

血圧を測定する際、病院まで走ってきたり、病気が見つかったらどうしようと緊張していたりしたら、血圧が上がるのはあたりまえ。
これは、運動やストレスに対して、体が自然に反応しているからです。

私自身、朝に血圧を測ると、最大血圧はいつも130mmHg台です。
ところが、クリニックへ行き、診療後にたまたま血圧を測ったところ、167mmHgだったことがありました。

すると、スタッフが「先生、血圧が少し高いんじゃありませんか」と心配してくれましたが、全く問題はありません。
これは、仕事をしたあとだからこそ、血圧が上がっているのです。

なんらかの事情により、血圧が一時的に上がるのは自然なことです。
したがって、その瞬間だけをとらえて「血圧が高い」と判定し、降圧剤を勧めるなどというのは、完全に間違っています。

さらに、誰でも年を重ねれば、血圧はしだいに上がっていくものなのです。
血管が老化して、動脈硬化が進行するのも同様です。

血管は、長年使われた結果、若いときのような柔軟性を失ってかたくなります。
そのかたい血管を使って、全身に酸素や栄養素を送り届けるには、若いときよりも大きな圧力が必要となります。

つまり、「生きていくために必要だからこそ、自然と血圧が上がっていく」のです。
現在は、若い人も高齢者も、一律に基準値を超えれば、たちまち「高血圧」と診断されてしまいます。

私にいわせれば、こうした基準値の判定法には、大きな問題があります。
以前、最大血圧の適正値は、「年齢+90mmHg以上」とされていました。

私は、現在でもこの考え方でいいと思っています。
例えば、50歳なら140mmHg、60歳なら150mmHg、70歳なら160mmHgというように、徐々に最大血圧が上がっていくのは自然なのです。

薬をやめたいときがまさにやめどき

基準値を少し超えただけで高血圧の診断が下され、降圧剤を飲むとどうなるでしょう。
これは、「本来下げる必要のない血圧を下げている」ことになります。

生きるために必要があって体が上げている血圧を、薬で無理やり下げるのです。
その結果、めまい、しびれ、息切れ、倦怠感、肩こりなど、多くの体の不調が起こってきます。

89歳の女性Aさんが、「めまいがしてフラフラする」と相談に見えました。
ほかの病院で処方された降圧剤を飲んでいるとのことでしたが、最大血圧は110mmHg程度だというので、なんの問題もありません。

それなのに、薬を飲んでいるのです。
これは、めまいに悩まされて当然といわざるをえません。

私が薬を飲むのを控えるよう勧めると、Aさんはそのとおりにしてくれました。
それが今から3年前のことです。
そして、現在どうなったかといえば、最大血圧は130mmHg、最小血圧は70mmHg台半ばですが、めまいはすっかりなくなり、お元気で過ごしているのです。

現在94歳の女性Bさんは、9年前に初診した際、降圧剤を飲んでいました。
最大血圧は148mmHg、最小血圧は80mmHgありました。
私の説明に納得してすぐに服用を中止しましたが、それ以降、なんの問題も生じていません。

最新の血圧は、最大血圧が134mmHg、最小血圧が86mmHgです。
このお年になっても、つえもつかずにスタスタ歩いて私の診療室にやって来ます。

私は、「降圧剤をやめたい」という患者さんに、「今すぐやめてけっこうです。やめたいときがやめどきです」といっています。

降圧剤を突然やめても、大半の人は全く血圧は上がりません。
なぜなら、飲む必要のない降圧剤を飲んでいたからです。

それをやめたからといって、リバウンドのような現象が起こることは、まずありえないのです。
ごく少数ですが、なかには、10~20mmHgくらい血圧が上がる人がいます。

しかし、それは、本来のあるべき血圧に戻っただけに過ぎません。
それが、その人にとって、生きていくために必要な血圧なのです。

私は、断薬した皆さんに「今までどおり、普通に暮らしていればいいですよ」といっています。
あとは、なるべくストレスをためず、明るく朗らかに過ごせばいいでしょう。

どんな人でも、ほんとうに正しい血圧は、安静時に測ったいちばん低い数値です。
それが飛びぬけて高くないかぎり、降圧剤を飲む必要はありません。

そんな私ですが、現在、降圧剤を処方している患者さんが、1人だけおられます。
50歳の女性Cさんは、いつ測っても、最大血圧が230mmHgほどあるのです。

Cさんのように、安静時に最大血圧が200mmHgを超えないかぎり、降圧剤は全く必要ないというのが私の考えです。
少し血圧が高いくらいなら、「ああ、おかげで元気なのだ」と考えておけばいいでしょう。

関連記事→血圧はあまり気にし過ぎてはダメ!

松本光正
サン松本クリニック院長。高校から大学時代にかけて、中村天風氏の最晩年の弟子として薫陶を受ける。以後、天風会の講師として活躍。外来医療をこよなく愛する内科医。著書に『血圧心配症ですよ!まだ「薬」で血圧を下げているあなたへ』(本の泉社)、『やってはいけない高血圧治療』(角川書店)などがある。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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