【みその降圧効果】本当は血圧を下げる「味噌汁」 夏の水分と塩分補給に最適な飲み物

【みその降圧効果】本当は血圧を下げる「味噌汁」 夏の水分と塩分補給に最適な飲み物

みそには、老化の元凶である活性酸素の発生を抑制する効果があります。血管や内臓、肌を若く保つためにも、みそ汁を中心とした和食をとることで、健康になれるのです。特に夏場は汗をかくので、水分と塩分を補給できるみそ汁は、最適な飲み物です。【解説】上原誉志夫(共立女子大学教授)


みそには塩分を排出し血圧を下げる作用がある

「みそ汁は塩分が多いので血圧を上げる」と思っている人は多いでしょう。
私も長年、高血圧の患者さんに「みそ汁を控えましょう」といい続けてきました。

「食塩感受性」という言葉をご存じでしょうか。
これは、食塩の摂取量を増やすと血圧が上がる性質をいいます。
日本人には食塩感受性の高い人が多く、そのため、しょっぱいみそ汁が敬遠されていたのです。

私は、医師になってからの40年間、「食塩と高血圧」について研究してきました。
そこで知ったのが、アメリカの「DASH食」という高血圧治療食です。

DASH食は、野菜を中心とした食事で、日本食とよく似ています。
DASH食をとっていると、欧米型の食事と同じ量の食塩を摂取しても、血圧が上がりません。
なぜでしょうか。

食塩感受性の高い人は、腎臓で食塩の排出がうまくいかず、体内に塩をため込みます。
そして、血液の塩分濃度を保つために水分を取り込むので、血圧が上昇するのです。

DASH食は、野菜のカリウムが食塩排出を促すので、血圧が上がりません。
同様に、野菜を多く含む日本食も、食塩感受性の高い人の高血圧を改善する力があると考えられます。

さらに最近は、日本の発酵食品も健康面で注目されています。
そこで私は、日本の代表的食材である、みその降圧効果について調べました。

食塩感受性の高いラットを二つのグループに分け、片方には食塩水を、もう片方には塩分濃度が同じみそ汁を飲ませ、血圧の変化を見たのです。
すると、みそ汁群のラットは、途中から飲む量が増えたため、食塩水群のラットよりも食塩摂取量が多かったにもかかわらず、食塩水群よりも血圧が上がりませんでした。

例えば、みそ汁群は、摂取した塩分量が48gになったときに、最大血圧が171mmHgになりました。
一方、食塩水群は塩分を32gとった時点で、最大血圧が171mmHgに達しています。
つまり、みそ汁には約30%の減塩効果があるといえるのです。

みその成分を分析をしたところ、腎臓から食塩を排出しやすくする成分と、血圧を下げる成分が含まれていました。
おそらく、ダイズたんぱくや麹に由来する成分だと考えられます。

さらに私たちは、人間ドック受診者を対象に、5年間の追跡調査を行いました。
高血圧や糖尿病の治療をしていない人たちに、みそ汁を1日1~3杯飲んでもらったところ、血圧には全く影響しなかったのです。
さらに、1日2杯のみそ汁を3ヵ月摂取してもらい、血圧への影響を見ました。
すると、ステージⅠの高血圧患者(最大血圧140~159mmHg、最小血圧90~99mmHg)においても、1日2杯のみそ汁摂取は、血圧に影響しないという結果でした。

前述したように、みそには塩分を排出する作用と血圧を下げる作用があります。
高血圧の治療を受けていない人は、1日3杯までのみそ汁なら気にせず飲んでください。
ふだん、スープや吸い物を飲む習慣のある人は、そのうちの1杯をみそ汁に替えましょう。

きっと血圧にいい変化が出てくるはずです。

1日の食塩摂取量は7〜10gがちょうどいい

そもそも、減塩一辺倒の傾向にも疑問があります。

現在、日本人の食塩の平均摂取量は約10g。

厚生労働省が定める平均摂取基準は、男性8g、女性7g。
それに対し、日本高血圧学会では6gを推奨しています。

もちろん、心不全や腎不全などの患者さんに対しては、6g以下の塩分制限が必要です。
しかし、そうでない人に対して、6gの食塩摂取量が適切なのかは、はなはだ疑問です。

実際、気になる研究が相次いで発表されています。
一つは2014年に発表されたもので、食塩摂取量と心臓血管事故との関連についての調査です。
1日の食塩摂取量が10~14.975gの人は、7.5g未満や17.5g以上の人よりも、心臓病死や心臓疾患の発症頻度が低いという報告でした。

また、元・アメリカ高血圧学会長のアルダーマン博士の研究班は、低塩食(~6.613g)、通常食(6.613~12.363g)、高塩食(12.363g~)に分け、心臓疾患と死の頻度を調査しました。
すると、通常量が最も低かったのです。

つまり、1日の食塩摂取量は約7~10gがちょうどいい、ということです。

逆に、減塩するあまり食が進まず、栄養失調になる高齢者の増加が問題となっています。

みそには、老化の元凶である活性酸素の発生を抑制する効果があります。
血管や内臓、肌を若く保つためにも、みそ汁を中心とした和食をとることで、健康になれるのです。

特に夏場は汗をかくので、水分と塩分を補給できるみそ汁は、最適な飲み物です。
夏に食欲不振になりがちな高齢者のかたがたには、積極的にみそ汁を飲んでほしいと思います。

その場合、みそ汁の具にした野菜の健康エキスは、汁に溶け出していますので、汁は必ず飲んでください。
「減塩のために具だけ食べて、汁を残す」のは、愚の骨頂です。

上原誉志夫
1976年、東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院腎臓内分泌内科保健センター副所長、保健センター駒込・本郷支所長を経て、2009年より現職。著書に『高血圧ならみそ汁を飲みなさい!』(実業之日本社)などがある。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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