【はと麦研究最前線】インフルエンザウイルスが減少すると判明!ガン予防にも期待!

【はと麦研究最前線】インフルエンザウイルスが減少すると判明!ガン予防にも期待!

ハトムギを栽培したとされる馬援将軍は、ハトムギを食べていたおかげで、70歳を超える老齢でも、遠征から問題なく帰還できたと伝えられています。また、不妊症に効果があったという伝承もあります。【解説】鈴木信孝(金沢大学大学院医薬保健学総合研究科・臨床研究開発補完代替医療学講座特任教授)


手術予定だった外陰部のイボが消えた!

ハトムギは、実に多くの働きを持った、私たちの健康に有用な食品です。
産婦人科を専門にしてきた私が、ハトムギの研究を始めたのは、今から20数年前に経験したある症例がきっかけでした。

外陰部に「尖圭コンジローマ」というウイルス性のイボがたくさんでき、手術予定の患者さんがいました。
ところが、いざ手術をしようとしたら、イボがキレイに治っていたのです。

話を聞くと、「おばあちゃんが作ってくれた、ハトムギを食べたおかげかもしれない」というではありませんか。
そこで、患者さんの祖母に話を聞き、ハトムギをほかの患者さんにも食べてもらいました。

すると、尖圭コンジローマが次々と治っていったのです。
この効果に興味を持った私は、そこからハトムギの研究を開始しました。

ハトムギは、イネ科の1年草で、麦ではなく、トウモロコシの近縁にあたります。
原産地はインドシナ半島と推定され、中国では古くから食用として栽培されてきました。

後漢(西暦約100〜200年)のころ、ハトムギを栽培したとされる馬援将軍は、ハトムギを食べていたおかげで、70歳を超える老齢でも、遠征から問題なく帰還できたと伝えられています。
また、不妊症に効果があったという伝承もあります。

日本では、江戸時代に小石川薬園において、徳川八代将軍・宗によって栽培が奨励されたとする見方が有力です。
ハトムギの構造は、外側から外殻、薄皮、渋皮、子実の4層になっています。

このうち最も内側の子実は、「ヨクイニン」という漢方薬の生薬としても利用されています。
中国最古の医学書『神農本草経』では、ヨクイニンは上薬(身体を快調にして、不老長寿に効果がある薬)に分類されています。

そして現代、ハトムギについては美容から病気の予防・改善まで、多岐にわたる薬理作用が報告されているのです。
これまでに報告されてきたハトムギの機能性は、子実に関するものがほとんどでした。

しかし、私たちは殻や皮の食効に注目し、調べています。
その結果、近年、子実以外の殻や皮の部分にも、多くの有用成分があることがわかってきました。

もともと植物は、外敵から身を守るため、外側に多くの防御物質を備えているものです。
ただ、ハトムギの外側、特に外殻は非常にかたくて、食用には向きません。

そのため、私たちはハトムギの殻、皮、子実の成分をまるごと抽出し、食品用酵素で吸収されやすいように分解した、ハトムギエキス(ハトムギCRDエキス)を使って、各種研究を行っています。

インフルエンザのウイルスが減ると判明

ハトムギが持つ機能のなかでも、最近、特に注目が集まってきているのが、抗腫瘍作用です。
中国ではハトムギの子実から抗ガン剤が作られていて、肺ガンをはじめとする進行ガンの患者、約百万人に使われています。

ロシアでも、この薬がすでに認可されていると聞いています。
また、アメリカでもいくつかの臨床試験が進行中です。

実は、ハトムギの殻や皮にも同様の働きが隠れています。
例えば、リンパ球(免疫細胞)が活性化することによる抗ウイルス作用や抗腫瘍作用は、子実だけより、殻や皮も利用したほうが、約17倍も高いという研究報告もあります。

抗ウイルス作用や抗腫瘍作用があるということは、先述した尖圭コンジローマや子宮頸ガンなどのウイルス感染による病気にも確かに効く可能性があります。
加えて、ハトムギには抗紫外線作用があるという分子メカニズムが報告され、近年増えつつある皮膚ガンの予防にも期待が持てるようになりました。

抗腫瘍成分の存在も明らかになってきています。
私たちは、発ガン予防や早期ガンの抑制に向けて、今、ハトムギの研究を進めているところです。

最近では、インフルエンザへの効果を明らかにしました。
細胞実験で、ハトムギエキスがヒトH1N1型インフルエンザウイルスを減少させることが確認できたのです。

予防のみならず感染してからでもウイルスを減らす可能性が出てきました。
私たちのこの抗ウイルス作用についての研究成果は、まもなく論文として掲載されます。

 また、ハトムギは、昔からさまざまな痛みに効くといわれていて、神経痛や生理痛、リウマチの症状にも効果が期待できます。

これは、おそらくハトムギの抗炎症作用によるものでしょう。
事実、抗炎症物質については、すでに数種類を発見しました。

リウマチの患者さんが、ハトムギご飯を毎日茶碗1杯食べていたら、症状が軽減した例もあります。
補助療法としてハトムギを利用することは、とても意義のあることだといえます。

ハトムギには抗アレルギー作用もあり、軽症のアトピー性皮膚炎にも有効です。
食事にハトムギを積極的にとり入れることで、肌質の改善効果が期待できます。

細胞実験では、ハトムギは脂肪細胞の増殖を抑え、抗肥満作用をもたらすという報告があります。
ハトムギは、もち性なので、少量でも満腹感が得られます。

過食を防げるので、そういう意味でも、ダイエット食品として、今後、注目されるでしょう。
糖尿病にも、ハトムギは有効であるという動物研究報告があります。

しかし、ヒトでの臨床試験はまだなされていません。
ハトムギは、食後の血糖値を急上昇させにくい食品(低GI食品)です。

つまり、膵臓への負担が少なく、糖尿病の人にお勧めの食品の一つであることは、間違いありません。
そのほか、ハトムギの有効成分の一つであるコイキソールには、筋肉の緊張を抑え、痛みを緩和する筋弛緩作用があります。

ですから、肩・首のコリや五十肩などを和らげる効果が期待できます。
ところで、古くからハトムギの子実には、体を冷やす作用があるといわれています。

しかし、外皮には血管を拡張させて血流を改善する作用があるため、外皮成分を含むハトムギCRDエキスは、冷え症を改善することがわかってきました。
したがって、子実だけでなく、外皮も含むハトムギ茶をいっしょにとるのがお勧めです。
このように、ハトムギは私たちの健康維持・増進に役立つ非常に優れた食品なのです。

鈴木信孝
1981年、防衛医科大学卒業後、金沢大学産科婦人科医局に入局。2004年から同大学大学院医薬保健学総合研究科 臨床研究開発補完代替医療学講座特任教授。2001年から日本補完代替医療学会理事長。2012年、NPO法人日中健康科学会学術顧問、世界中医薬学会連合会体質研究専門委員会常務理事。2014年、未病体質研究会理事長。ハトムギなどの各種機能性食品・植物性医薬品の臨床研究が専門。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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