名療法【腰部脊柱管狭窄症】手術せず自分で治す よくある症状「間欠性跛行」とは?

名療法【腰部脊柱管狭窄症】手術せず自分で治す よくある症状「間欠性跛行」とは?

脊柱管とは、背骨の後ろ側を通っている神経の通り道のこと。脊柱管狭窄症とは、この管が主に加齢によって狭くなり、神経が圧迫されて、足腰に痛みやしびれが引き起こされる病気です。超高齢化社会が進行する現代では、脊柱管狭窄症に悩まされるかたが急増しています。【解説】竹谷内康修(竹谷内医院院長・整形外科医・カイロプラクター)


脊柱菅狭窄症とは?患者急増の原因は「高齢化」と「姿勢の悪さ」

 「脊柱管狭窄症」という言葉を、皆さんも、雑誌などでしばしば目にするようになっているでしょう。脊柱管狭窄症は、近年患者数がふえつつある病気です。このため、マスコミでも取り上げられることが大変多くなってきました。

 脊柱管狭窄症がふえている要因は、2つ考えられます。

 第1の要因は、高齢化社会の進行です。
 脊柱管狭窄症は、主に加齢によって生じる病気です。高齢者がふえれば、それだけこの病気で悩む人もふえることになります。

 もう1つの要因が、現代人の姿勢の悪さです。
 脊柱管狭窄症になった人に聞いてみると、若いころから姿勢が悪く、親にしばしば注意されていたというかたが非常に多いのです。

 ですから、脊柱管狭窄症の発症には、単なる加齢の要素だけではなく、ふだんの姿勢という要因も大きくかかわっているというのが、私の考えです。
 特に近年では、パソコンやスマートフォンなどを、毎日長時間使用することによって、現代人の姿勢は、いよいよ悪くなっています。それが、脊柱管狭窄症の増加に拍車をかける、隠された原因となっているといってもよいかもしれません。

【関連記事】脊柱管狭窄症の「前ぶれ」と「見分け方」

脊柱管狭窄症の原因と症状 脊柱管が狭くなり神経を圧迫

 そもそも脊柱管狭窄症とは、どんな病気でしょうか。

 まず、背骨の構造を簡単にお話ししておきましょう。
 背骨は、医学的には、「脊椎」と呼ばれています。首から腰にかけて、7個の頸椎、12個の胸椎、5個の腰椎、仙骨、尾骨で構成されています。

 背骨を構成している骨を総合して、「脊柱」といい、脊柱は、「椎骨」という1つ1つの骨が積み重なってできています。
 また、脊柱は、神経の通り道でもあります。頸椎から仙骨まで、脊髄(脳と体の各部を連結する神経組織)と、脊髄から連続した末端部分の馬尾が走っていますが、この神経の通り道が、「脊柱管」です。

 脊椎を構成する1つ1つの骨である椎骨は、腹側が椎体、背中側が椎弓と呼ばれる2つの部分からなっています。椎体と椎弓とに挟まれた中にある空間が、脊柱管です。その脊柱管の中を、脊髄が走っています。脊髄の神経は枝分かれして、椎骨と椎骨の間から伸び、全身へと広がっているのです。
 脊柱管狭窄症は、なんらかの原因によって、この脊柱管が変形、脊柱管が狭くなって、そこから出ている神経を圧迫し、足や腰に痛みやしびれが生じる病気です。

 脊柱管狭窄症が起こる原因としては、2つあります。
 1つは、先天的に脊柱管が狭くなっているために発症する場合。 もう1つが、最初にもふれたように、加齢によって脊柱管が狭くなり、発症する場合です。
 脊柱管は、年を取るとともに、しだいに細くなってきますが、日ごろの姿勢が悪いと、背骨にはさらに負担がかかることになります。

 加齢に加えて、この悪い姿勢が何十年と続いた結果として、脊柱管に変形が生じ、脊柱管狭窄症が起こってくると考えられます。この病気は、50代、60代から非常に多く見られるようになります

最も悩まされる、間欠性跛行とは?

【関連記事】間欠性跛行の悩みが消える 日常の裏ワザ

 脊柱管狭窄症の症状として、代表的な症状が、「間欠性跛行」です。
脊柱管狭窄症を発症すると、ある程度の時間継続して歩いたり、立っていたりすると、足や腰に痛みやしびれが出てきます。そうなると、歩き続けたり、立ち続けることがつらくなります。

 その後、しゃがみ込んだり、座って休めば、足腰の痛みやしびれが消え、再び歩いたり、立ったりすることができるようになります。
 脊柱管狭窄症は、脊柱管が狭まって神経を圧迫して起こります。ですから、歩き続けたり立ち続けたりすることで、狭まっていた脊柱管がよけいに狭まり、痛みやしびれが出るのです。

 このとき、背を丸めたり、座ったりして休むと、狭まった脊柱管の空間が広がり、神経の圧迫が和らいで、また歩いたり立ったりできるようになります。もちろん、再度歩けるようになったにしても、そのまま歩き続ければ、また脊柱管が狭められていき、痛みやしびれが出てきます。
 これが間欠性跛行で、脊柱管狭窄症にかかった人が最も悩まされる症状といっていいでしょう。

脊柱管狭窄症のタイプは、「神経根型」「馬尾型」「混合型」

 ちなみに、脊柱管狭窄症は、3つのタイプに分けることができます。

 1つめは、体の左右のどちらかに症状が現れる「神経根型」です。
神経は、脊髄から左右に枝分かれてして伸びています。その左右の神経の根っこの部分(ここが神経根と呼ばれる)が圧迫されているのが神経根型です。
 神経根型では、圧迫されているどちらか一方の足や腰に、痛みやしびれ、間欠性跛行が生じます。

 2つめは、左右両側に症状が現れる「馬尾型」です。
 脊髄の末端の部分の馬尾という神経の束が圧迫されて生じます。この場合、両側の足腰に痛み、しびれが出て、間欠性跛行も生じます。足が冷たくなったり、熱くなったり、足の裏に感覚異常が出たり、脱力感が生じたりすることもあります。
 馬尾は、腸や膀胱の働きにも関係があるため、頻尿や便秘、生殖器と肛門のほてり、男性では歩くと勃起するといった症状が出ることがあります。

 3つめが、「混合型」です。
 これは、「神経根型」と「馬尾型」の両方を兼ねている場合で、神経根と馬尾の両方が圧迫されて、さまざまな症状が出ます。馬尾型や混合型は、外科的手術が必要となることが多く、治療の難しいケースとされています。

 いずれの場合でも、脊柱管狭窄症が悪化していくと、出ている症状も悪化します。
 例えば、間欠性跛行は、病状の進行に伴って、だんだんひどくなります。続けて歩いていられる時間、立っていられる時間が徐々に短くなっていくのです。重症化すると、50mの距離ですら歩けなくなったり、5分立っているだけでつらくなったりする人もいます。

 脊柱管狭窄症であることがわかったら、整形外科での診断を受け、状態をよく見極めながら、治療を進めていく必要があります。 脊柱管狭窄症は、老化によって進行していく病気ですから、手をこまねいていると、じりじりと悪くなっていきます。治療を続けても、なかなかよくならないことも少なくありません。

脊柱管狭窄症の手術について 安易に頼らず体操や姿勢の見直しで改善を

 状態によっては、手術も脊柱管狭窄症の手段の1つといえるでしょう。手術で、神経を圧迫している脊柱管の一部を削り取るなどの処置をすることで、神経の圧迫を和らげ、症状の改善を目指します。手術をするのであれば、症状が重症化する以前に行ったほうがよいとされています。

 ただ、手術をすれば、すべてが解決するかというと、そう簡単ではないところが、この病気のやっかいなところです。手術をした結果、長く歩けるようになったり、痛みはなくなったりしたものの、しびれが取れないというケースもあります。手術が無事終わっても、神経にダメージが残っていると、痛みやしびれが改善されないことがあるのです。

 症状が重症ではない場合、安易に手術に頼るべきではありません。症状の進行を防ぎ、少しでも状態を快方へ導くための方策をいろいろ考える必要があります。この点で、自分でできる体操や、日常生活での配慮などが大変重要になってきます。

 予防的な観点からいえば、前にもふれたとおり、悪い姿勢を長年取っていることが、脊柱管狭窄症を引き起こす有力な要因です。この意味では、予防のために、ふだんからよい姿勢を心がけることが大切です。
 しかし、いったん脊柱管狭窄症になってしまった場合は、予防時とは、また違った配慮が必要になってきます。詳しくは、脊柱管狭窄症の痛みや症状を改善する方法を紹介した記事をご覧ください。

竹谷内康修
 東京慈恵会医科大学医学部医学科卒後、福島県立医科大学整形外科学講座へ入局。福島県立医大附属病院等で整形外科診療に携わった後、米国へ留学。ナショナル健康科学大学を卒業し、Doctor of Chiropracticの称号を取得。2007年、東京駅の近くにカイロプラクティックの専門クリニックを開設。腰痛、肩こり、頭痛、関節痛、手足のしびれなどの治療に取り組む。日本整形外科学会会員、日本カイロプラクターズ協会(JAC)会員、日本統合医療学会(IMJ)会員。

【関連記事】脊柱管狭窄症の痛みを改善する「簡単体操」のやり方

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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