【竹谷内康修】悩みNo.1「脊柱管狭窄症」間欠性跛行の原因と治療法、リハビリについて

【竹谷内康修】悩みNo.1「脊柱管狭窄症」間欠性跛行の原因と治療法、リハビリについて

脊柱管狭窄症の最も特徴的な症状は「間欠性跛行」です。多くの人が悩まされる症状です。それを踏まえたうえで、ふだんの生活において、注意すべきポイントがあります。ここでは、脊柱管狭窄症の症状を少しでも楽にさせるための「日常生活の裏ワザ」を紹介します。【解説】竹谷内康修(竹谷内医院院長・整形外科医・カイロプラクター)


痛みやしびれが出たら背を丸めて休憩 正しい杖(つえ)の選び方も大切

 脊柱管狭窄症で悩んでいる場合は、「脊柱管広げ体操」などを実践して、自力で症状を緩和させることは、非常に大切です。

 それを踏まえたうえで、ふだんの生活において、注意すべきポイントがあります。ここでは、脊柱管狭窄症の症状を少しでも楽にさせるための「日常生活の裏ワザ」をご紹介しましょう。

 第1に、外出時の注意です。
 脊柱管狭窄症の人は、ある程度の時間、歩いたり立っていたりすると、足や腰に痛みやしびれが出ます。そして、歩き続けたり、立ち続けることがつらくなるのです。 その後、しゃがみ込んだり座ったりして休めば、痛みやしびれが消え、また歩いたり立ったりできるようになります。
 これが、脊柱管狭窄症の最も特徴的な症状である「間欠性跛行」です。この病気にかかった人の多くが悩まされる症状です。

 脊柱管狭窄症が悪化してくると、50mも歩かないうちに、痛みやしびれが出てきてしまう人もいれば、5分間立っているだけでつらくなる人もいます。
 間欠性跛行が出たときは、まず休むことが肝心です。立ったり歩いたりしていることで背すじを伸ばしているため、狭まっていた脊柱管がよけいに狭まり、それが神経を圧迫し、痛みやしびれが出ているのです。

 座ったりしゃがみ込んだりすることで、背を丸めると狭まっていた脊柱管の空間が広がり、神経の圧迫を和らげることができます。
 具体的にいうと、10分歩くと足がしびれて歩けなくなる場合、5分歩いたところでいったん1分の休憩をはさむようにしましょう。

 休む際には、いすに座ることができれば問題ないのですが、座る場所が見当たらないときは、「1分休憩ポーズ」を取ることをお勧めします。
 立ったままひざを少し折って、両手を両ひざの上において背中を丸めます。この姿勢で少しでも休憩すれば、脊柱管の圧迫を和らげることができるでしょう。

 また、間欠性跛行を避けるために、歩くときや立っているとき、できるだけ前かがみの姿勢をとるようにしましょう。それから、つえやシルバーカートを使うと、腰にかかる負担を軽減できます。

 つえは、握りの部分が持ちやすく、体重をかけても手のひらに違和感のないものを選びましょう。つえの長さは、自分の身長の半分に3㎝くらい足した長さのものが合っています。例えば、身長150㎝のかたの場合は、150÷2=75ですから、それに3を足した78㎝のつえがいいでしょう。

 また、地面から手首までの高さも、つえの長さの目安となります。
足にしびれの出るかたは、しびれの出る反対側の手に持ち、足とつえが同時に出るようにつきます。

 シルバーカートは、その取っ手が、腰を曲げたときに楽に手がかけられる高さにあるものを選びます。車輪も小回りがきくと便利です。シルバーカートには、形を変えると、いすのように座れるタイプもあります。また、つえにも、座れる折り畳み式の円座がついているものがあります。こうしたタイプであれば、外出時に、その場で休むことができますから、便利です。

移動は、脊柱管に負担が少ない「自転車」がお勧め

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 ここで、ぜひとも強調しておきたいのは、脊柱管狭窄症の場合、自分の限界を超えて無理して歩いたり、長時間立ったり、がんばりすぎてはいけないという点です。

 そもそも脊柱管が狭められて、神経が圧迫された結果、痛みやしびれが出ています。歩いていて、痛みが出たところを我慢して歩き続けていると、もともと傷んでいた神経をさらに痛めつけることになります。

 つらい症状を軽減させるためには、神経を痛めつける時間をできるだけ少なくしてやるという配慮が欠かせません。神経が圧迫から解放されている時間が長くなればなるほど、それだけ神経も修復され、患部の状態がよくなるからです。

 残念なことに、脊柱管狭窄症に悩んでいる人は、痛みやしびれが出るとわかっているにもかかわらず、実際の自覚症状が出るまで歩き続け、立ち続けるケースが多いのです。くり返しになりますが、症状が出る前に休憩することが大切です。どれくらい歩いたら間欠性跛行が出るか、どれだけの時間立っていると出るか、確認しておきましょう。そのうえで、症状が出る前に必ず休むようにするのです。

 いすになるシルバーカートやつえは、こうした点で大変重宝するはずです。
 同様に、自転車に乗れるかたなら、自転車も大いに推奨できます。自転車に乗ると自然と前かがみの姿勢になりますから、脊柱管に負担をかけずに移動することができます。

長時間同じ姿勢はNG 30分に1度は体を動かす

 第2に、座り方にも配慮が必要です。

 和風の生活で、最も腰にいいのは正座ですが、長時間正座していると、足がしびれるので、どうしても姿勢がくずれてしまいます。そうなると、けっきょく正座をするより、あぐらをかいたり、女性なら横座りをすることが多くなります。

 しかし、あぐらも、横座りも、腰には決していい座り方ではありません。床にペタッと座るカエル座りや、足を組んだ座り方も、腰がよじれるので勧められません。掘りごたつはよいのですが、足を下におろせないこたつは腰の負担となります。

 現在では、畳のある和風の生活環境は少なくなっていますが、フローリングにいすの生活に変わったからといって、これからの若い人たちが脊柱管狭窄症にならないかといったら、決してそんなことはありません。
 いすの生活を送っていても、今の若いかたの座り方は、とてもいいとはいえないからです。特にパソコンなどに向かっているときの姿勢は非常に悪く、それを長年続けていれば、やはり、脊柱管狭窄症を引き起こすリスクは高くなるのです。

 では、いすの正しい座り方とは、どんな座り方でしょうか。「いすに座ったとき、背すじをピンと伸ばし、いすの背もたれに寄りかからないで座るのが正しい」と思っているのではないでしょうか。

 実は、背もたれによりかからないで座るのは、腰によくありません。背すじを伸ばして、背もたれに寄りかからずに座った姿勢では、背中や腰の筋肉が緊張状態になります。これが続けば腰に負担となりますし、疲れてくると、姿勢がくずれ、気づかないうちに背中が丸まってくるので、さらに腰に負担がかかってしまうのです。

 いすに座る際には、深く腰かけ、背もたれに寄りかかります。背中と腰の2点で支えるつもりで座ると、腰の負担をへらすことができます。いすに座るとき、腰まくらやクッションなどを当てて姿勢を助けるのも、楽に正しく座るテクニックの1つです。

 ただ、たとえどんなによい姿勢であっても、長時間同じ姿勢で座っていると、腰に負担が蓄積してきます。短時間であれば、足を組んだり、多少姿勢が悪くなったりしてもかまいませんから、ときどき姿勢を変えたり、30分に一度くらいはパソコンデスクから立ち上がって背すじを伸ばしたり、机のまわりを1周したりするなど、定期的に少しでも体を動かしてみましょう。

ベッドやソファは、やわらかいものを選ぶ

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 眠る際には、横向きになり、腰を丸めた姿勢で寝てください。あおむけで寝ると、足に痛みやしびれが出る人は、ひざの下にクッションや折り曲げた座布団を入れて、ひざを立てて寝ることをお勧めします。ベッドやソファは、かたすぎると腰に負担となりますから、少しやわらかいものを選ぶといいでしょう。

 歩くときや立っているとき以外でも、常に姿勢に気を配るようにしましょう。例えば、料理などをしているときも、前かがみの姿勢を心がけます。

 物干し台は、置き型の低いものにします。高いところに物干し竿を設置していると、洗濯物を干したときに、腰を反らせる姿勢になります。これが脊柱管狭窄症の人にとっては、狭まった脊柱管をより狭めることにつながり、痛みやしびれを引き起こすきっかけとなります。このため、物干し竿を低く設置できるような工夫が必要となるのです。

 布団を干すのも、できれば布団乾燥機を使い、布団の上げ下ろしをしないで済ませるようにしましょう。同様に、よく使うものを高いところにある納戸などに置かないようにするといいでしょう。 このようなちょっとした工夫の積み重ねで、痛みやしびれを軽減させることができます。まずはご自分の生活環境の改善から始めてみましょう。

竹谷内康修
 東京慈恵会医科大学医学部医学科卒後、福島県立医科大学整形外科学講座へ入局。福島県立医大附属病院等で整形外科診療に携わった後、米国へ留学。ナショナル健康科学大学を卒業し、Doctor of Chiropracticの称号を取得。2007年、東京駅の近くにカイロプラクティックの専門クリニックを開設。腰痛、肩こり、頭痛、関節痛、手足のしびれなどの治療に取り組む。日本整形外科学会会員、日本カイロプラクターズ協会(JAC)会員、日本統合医療学会(IMJ)会員。

【関連記事】脊柱管狭窄症を自分で治す 原因と症状、治療から手術まで

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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