【名医が解説】カイロプラクティックとは?最も得意とするのは「首の痛み」

【名医が解説】カイロプラクティックとは?最も得意とするのは「首の痛み」

頸椎症は、カイロプラクティックが得意とする症状の一つです。整形外科とカイロプラクティックとの診断法は、共通している部分もありますが、一つ大きな違いがあります。それは、カイロプラクティックでは「触診」を非常に重視することです。【解説】竹谷内康修(竹谷内医院カイロプラクティックセンター院長)


頚椎症(首の痛み)の治療が最も得意

 こちらでは、カイロプラクティックとはどういうもので、頸椎症にどのように用いるのかについて、概要を紹介しましょう。

 カイロプラクティックは、1895年に、もともとは磁気治療家であったアメリカ人のD・D・パーマーによって創始されました。骨格、なかでも背骨の異常を調整(矯正)して、肩こり、首の痛み、頭痛、腰痛など、さまざまな症状を改善する治療法です。

 ギリシャ語でカイロは「手」、プラクティックは「技術」を意味するところから名づけられました。その名のとおり、カイロプラクティックの治療で用いるのはもっぱら施術者の手です。
 カイロプラクティックはWHO(世界保健機関)でも認められている国際的なヘルスケアで、現在では約80ヵ国に普及し、その約半数では法制化されています。法制化されている国でカイロプラクターになるには、専門の大学で勉強して資格を取得しなければなりません。

 米国のカイロプラクティック専門大学に入るには、大学卒業の資格を有するか、少なくとも大学で90単位を取得していなければなりません。したがって、米国のカイロプラクティック専門大学は大学院と同等のレベルといえます。専門大学では4200時間の授業が行われますが、これは医学部の教育時間数にほぼ匹敵します。資格を取得したカイロプラクターが、米国ではドクター・オブ・カイロプラクティックと呼ばれ、医師に近い立場で治療を行っていることは、「はじめに」で述べたとおりです。

 カイロプラクティックでは、背骨を中心とした骨格を調整しますが、その目的は、背骨の中を通っている脊髄や、そこから枝分かれした神経の働きを回復させることです。背骨の中のトンネル、つまり、脊柱管を通っている脊髄をメインストリートにたとえました。カイロプラクティックは、この体の神経のメインストリート、ひいてはそこから分かれる枝道の機能を回復させることで、全身のさまざまな症状に効果を発揮するのです。

 なかでも頸椎症は、カイロプラクティックが得意とする症状の一つです。
 整形外科とカイロプラクティックとの診断法は、共通している部分もありますが、一つ大きな違いがあります。それは、カイロプラクティックでは「触診」を非常に重視することです。

 カイロプラクティックの触診には、静止した患者さんの体を診る静的触診と、体を動かしながら診る動的触診があります。前者は、背骨の全体的な形や椎骨の配列、筋肉の硬さ、押したときの痛み(圧痛)、皮膚温などを調べます。
 後者は、背骨を前後左右に動かしながら、全体の動きのしなやかさ、硬さ、一つひとつの椎骨の動きなどを診ていきます。こうした触診で得られる情報は多大です。

 その情報をもとに、動きの悪いところを治療したり、ゆがみやズレを矯正したりします。首の痛みについては、頸椎そのもののゆがみを矯正するのはもちろんですが、頸椎に影響を与えている背骨のほかの部分も調整します。
 ただし、背骨のズレやゆがみは、多くの場合、筋肉のバランスが悪くなって起こっているものなので、治療は背骨を矯正するだけではありません。固まった筋肉をゆるめたり、弱くなっている筋肉を強くなるように調整したりして、徐々に本来のバランスに近づけていきます。

 カイロプラクティックというと、背骨をボキボキ鳴らして痛いというイメージを持つ人もいるかもしれませんが、熟練した技で施術すれば痛みを伴うことはまずありません。矯正は、本来の背骨の動きを回復させる動作なので、決して無理に動かすわけではないからです。

整形外科は対症療法、カイロプラクティックは根本療法

 適切にカイロプラクティックの診断・治療を行うと、首の痛みに悩んでいた患者さんのほとんどはよくなっていきます。

 カイロプラクティックの治療で首の痛みが改善する理由は、第一に首を矯正することで、頸椎の状態が改善するからです。第二に姿勢が改善し、首にかかる負担が軽くなるからです。もちろん、頸椎の変形や骨のトゲ、靱帯の肥厚(分厚くなること)、椎間板の突出などが、カイロプラクティックでなくなるわけではありません。しかし、それらを起こしてきた原因を取り除くので、痛みを軽減・解消できるのです。

 整形外科で行う薬物療法やそのほかの保存療法は、首の痛みのもとになっている頸椎の状態をそのままにしておいて、痛みを起こす物質ができないようにしたり、痛みを感じる神経が働かないようにしたりする方法が中心です。

 たとえていえば、起こっている火事に対して、バケツで水をかけたり、消火器を噴射したり、あるいは吹き消したりしているだけで、火のもとになっている油が供給され続けているような状態です。ですから、一時的にはよくなっても、けっきょくは痛みがぶり返したり、じわじわと悪化していったりします。

 それに対してカイロプラクティックは、油の供給源である背骨の状態を正すので、根本療法といえます。

 整形外科で行う手術は、一見、根本療法に見えます。しかし、結果的に悪くなったところを取り除くだけなので、バケツの水や消火器よりもはるかに強力な消防車が出動して消火しているようなものです。この場合も、油の供給源は断てていないために、手術をした部分の隣接部位で再発することが少なくないのです。

 私が「カイロプラクターになってよかった」と思うのは、首の痛みなどを根本から治せるからです。多くの患者さんの痛みを取り去って、喜んでいただけるからです。
 ただし、そのためには、カイロプラクティックを受けに来ていただくだけではふじゅうぶんです。日ごろの生活の中で、頸椎に負担をかけていた姿勢を改善し、できる範囲でセルフケアをやっていただくことが重要です。

 そこで、私は治療の一環として、そういった指導やアドバイスにも力を入れています。もちろん、人により環境によって、できることとできないことがありますので、無理な指導はしません。無理なくできる範囲で、「どうすれば首を痛めにくい姿勢を保ち、日常的にご自分でも頸椎が調整できるだろうか」と、常に考えてアドバイスしています。

 その主な内容を、首の痛みの「頸椎エクササイズ」および「生活処方箋」として、できるだけわかりやすく紹介したいと思います。

竹谷内康修
 竹谷内医院カイロプラクティックセンター院長。整形外科医・カイロプラクター。東京都生まれ。東京慈恵会医科大学卒業後、福島県立医科大学整形外科へ入局。3年間整形外科診療を行う。その後、米国ナショナル健康科学大学へ留学し、カイロプラクティックを学ぶ。同大学を首席で卒業後、都内にカイロプラクティックを主体とした手技療法専門のクリニックを開設。腰痛、腰部脊柱管狭窄症、肩こり、頭痛、首の痛み、関節痛などの治療に取り組む。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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