【医師解説】「朝立ち」がなくなるのは余命が短いサイン?元気で「現役」のカギは男性ホルモン

【医師解説】「朝立ち」がなくなるのは余命が短いサイン?元気で「現役」のカギは男性ホルモン

「セックスできれば元気で長生き」といわれていますが私から言わせるとまったく順序が逆です。「元気だからこそセックスができる」のです。女性同様男性にも男性ホルモン低下が原因で更年期障害が起こります。私は男性ホルモンの補充が絶対必要だと考えています。【解説】熊本悦明(札幌医科大学名誉教授・メンズヘルスクリニック東京名誉院長)


熊本悦明
1929年、東京都生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学講師(泌尿器科学講座)を務めた後、札幌医科大学医学部泌尿器科学講座主任教授として、男性医学・泌尿器科外科学などを中心に研究を進め、日本メンズヘルス医学会、および日本性感染症学会を創立するなど、日本における男性ホルモン研究者の先駆的存在となる。

今回の悩み「朝立ちよ、もう一度!」

 勃起障害で悩んでいます。
 高麗人参やニンニク、マカを飲んでいるが効きません。また、バイアグラもダメでした。どうしたら大きくピンピン朝立ちするようになりますか?(80代・男性)

元気なら何歳だってセックスはできる

「セックスできれば元気で長生き」という解説がここ数年よく見られますが、これは、私から言わせると、まったく順序が逆です。

 元気だからこそ、セックスができる。これに限ります。
 年を取ったら生活を活性化する意欲や性機能が衰えるのは、しかたないと思っているかたも多いでしょう。
 しかし、そうではありません。元気で健康ならばセックスができるし、精神的にも元気だし、駆け足だってできます。

 その元気のカギを握るのが「男性ホルモン」です。
 体力や生活面のやる気だけでなく、さらに性機能までが衰えるのは、男性ホルモンの分泌低下が原因なのです。
 男性ホルモンは、行動や考え方に大きな影響を及ぼす、いわば「外向き」のホルモンです。例えば、外へ出て行って食べ物を探してくるとか、外敵と戦って家族を守るといった、生活上の外向きの力にかかわります。
 それに対して、女性ホルモンは「内向き」のホルモンです。家族や仲間で協調して暮らしていくための環境作りや、子を育てるための愛情など、内向きの力にかかわります。

 私たちが生きて、その命を子孫につないでいくには、「外向き」と「内向き」の両方の力が必要です。そのため、男女ともに男性ホルモンと女性ホルモンの両方を有し、性差でその割合が違うだけです。
 女性は閉経すると女性ホルモンが一気に減少し、個人差はあれ、更年期障害が起こります。その改善に、女性ホルモンを投与する治療は以前から行われていましたが、最近では、男性ホルモンの有効性に着眼して、男性ホルモンを投与する治療も行われています。
 一方、男性も同様に、男性ホルモンの低下による更年期障害が起こります。これに対して、私は男性ホルモンの補充が絶対必要だと考えています。

朝立ちがなくなるのは余命が短いサイン!?

 男性ホルモンは、性機能の維持のためだけに必要なのではありません。意欲にかかわるドーパミンというホルモンの産生を促し、精神的な活力にもかかわっています。
 また、男性ホルモンには、血管を保護し、動脈硬化の進行を抑える働きもあります。

 男性の勃起力が衰えるのは、動脈硬化が進んで血管がうまく広がらなくなり、男性器の海綿体に血液が流入しにくくなることが大きくかかわっています。
 動脈硬化が進めば、心筋梗塞や脳卒中などの重篤な病気につながることはご存じでしょう。朝立ちしなくなったら、自分の命が短くなっているサインと考えてもいいのです。

 ご質問にあるバイアグラは、血管を拡張することで勃起を促す薬ですが、その効果が現れないということは、男性ホルモンの低下があると考えられます。
 バイアグラを処方した医師は、質問者さまの男性ホルモンのレベルを検査したでしょうか?男性ホルモンが減少していると、いくらバイアグラを飲んでも効きません。つまり、男性ホルモンレベルの検査をせず、薬だけを処方してもまったく意味がないのです。

男性ホルモンの原料になる脂質を食事でとるのも大事!

男性ホルモンのレベルを検査するのが先決

 セックスや体力の減退の悩みを解決するには、何はさておき男性ホルモンのレベルを検査するのが必須です。男性ホルモンは、自動車でいえば「エンジンオイル」のようなものです。

 男性ホルモンが満ち足りていると、女性がとても美しく見えるようになります。逆に言えば、男性ホルモンが減少していると、心も動きません。
 50歳を過ぎたら、男性ホルモンの量が低下していないかを検査し、必要に応じて補充療法を検討するのがいいでしょう。
 その際、男性更年期障害やEDが主訴の場合は、最近では、検査や治療に最小限の健康保険が適用されます。
 受診するなら、内科よりも男性ホルモンのことをよくわかっている泌尿器科、あるいは男性更年期の専門外来をお勧めします。

 私は88歳になりますが、今でも朝立ちがあります。男性ホルモンの補充療法や活力を維持するための生活習慣を行っているからです。
 例えば、私は運動をしたり、食事に気をつかったりしています。糖質(米やパンなどの穀物や甘い物)を控え、朝食から肉と卵を食べます。なぜなら、男性ホルモンの材料として、脂肪(コレステロール)やたんぱく質は絶対に必要だからです。

 最後になりますが、戦後間もなくの日本人の平均寿命は50代でしたが、今は80代まで延びました。でも、ただ長生きすればいいわけではなく、元気で「現役」人生を送ることこそが大事でしょう。
 そのためには、男性ホルモンが必須なのです。男性はセックスばかりにこだわりがちですが、生き物として、まずは元気があってこそのセックスです。
 そのために、男性ホルモンを検査することから始めるのが、攻めの健康医学なのです。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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