【外陰部の強い痛み】性病でなければ「外陰痛症候群」の可能性 原因と対策を専門医が解説

【外陰部の強い痛み】性病でなければ「外陰痛症候群」の可能性 原因と対策を専門医が解説

外陰部の強い痛みに困っています。一度婦人科で診察を受けましたが、膣炎ではないとのこと。生活に支障をきたすほどの強い痛みで、本当に悩んでいます。(50代女性)【回答・解説】関口由紀(女性医療クリニックLUNAグループ理事長、LUNA骨盤底トータルサポートクリニック院長)


関口由紀
1989年、山形大学医学部卒業。泌尿器科専門医、漢方専門医、医学博士、経営学修士。横浜市立大学大学院医学部泌尿器病態学非常勤教授。2005年、女性医療クリニック・LUNAを開設。中高年女性のトラブルに多方面から対応するとともに、女性泌尿器科、女性内科、婦人科、乳腺外科、皮膚科による総合的な女性の健康サポートを目指す。著書に『女性ホルモンの力でキレイをつくる本』(朝日新聞出版)など。

ナイフで刺されたような強い痛みを感じる

外陰部の痛みには、原因がはっきりしているものと、そうでないものがあります。
比較的多く見られる原因に、膣内や外陰部の常在菌が増殖して炎症を起こす細菌性膣炎や、クラミジアなどの性感染症があります。

また、閉経した女性の30〜40%に発症する萎縮性膣炎では、女性ホルモンの低下により、外陰部の皮膚が薄く弱くなって炎症が起こり、痛みが生じます。
以上の病気は、原因がはっきりしているため、薬物で治療することができます。

一方、これといった病気が認められず、はっきりした原因がわからない陰部の痛みを「外陰痛症候群」といいます。
外陰痛症候群は、日常的な膣の違和感や痛み、性交時に痛みがあるのが特徴です。

年齢は20〜80代と幅広く、当院では月平均4〜5人が受診されます。
痛みの感じ方は、人それぞれですが、ナイフで刺したような痛み、皮がむけたところに唐辛子と塩をすり込んだような痛み、粉々のガラスの破片が突き刺さったような痛みなどと表現される患者さんもおり、いかにつらい症状かがわかります。

座る、寝るなどの姿勢では痛みが弱く、立つと痛むという人が圧倒的に多く、外出もできなくなります。
そのため休職せざるを得ない人もいます。

日本では、この外陰痛症候群の認知度がまだ低く、病院で痛みを訴えても「気のせい」で済まされ、治療しないまま我慢している人が少なくありません。
原因ははっきりしないものの、外陰痛症候群には、知覚過敏や皮膚のアレルギーがかかわっていると考えられています。

生活習慣を見直して知覚過敏やアレルギーを抑えることが症状改善に有効です。

生活の見直しで症状が改善することも

具体的な生活面での見直し項目を、以下で紹介しましょう。

●外陰部のケア

外陰痛は膣粘膜が弱い人に起こりやすいので、陰部はぬるま湯でやさしく洗い、石けんやシャワーつきトイレを使うのをやめます。
陰部を洗うのは1日1〜2回。乾燥するとこすれて痛むことがあるので、洗ったあと、デリケートゾーン専用の保湿剤を使ってもいいでしょう。

●下着の選び方

綿100%のゆったりした下着を着用し、下着は石けんで洗います。
陰部のアレルギー性皮膚炎を招く恐れがあるので、おりものシートや尿漏れパッドは、低刺激タイプを選びます。

おりものシートはおりものが多いときだけ使いましょう。

●食生活にも気を付ける

痛みがあるときは、ピーナッツや酸っぱい果物、チョコレートなど避けたほうがいい食品があります。
下の表を参考にして、あまり大量に摂取しないようにしましょう。

●ストレスケア

人間関係の悩みや過労など心身にかかるストレスは痛みを悪化させます。
日頃からリラックスできる時間をもつ、しっかり睡眠を取るなど、ストレスをためない工夫が必要です。

●骨盤底筋トレーニング

陰部に痛みやかゆみなどの症状がないときに、骨盤底筋トレーニングを行いましょう。
膣と肛門を軽く締めた後、力を抜いて膣と肛門をゆるめます。

尿漏れの骨盤底筋トレーニングでは締めることを重視しますが、今回は「ゆるめる」ことを重視します。
キュッと締め、ゆっくりとゆるめてください。1日30〜40回行います。

生活の見直しを行っても、症状が改善しない場合、婦人科を受診します。
症状が改善しない場合、皮膚科で相談してください。

抗アレルギー剤を処方されたら、あっさり治ったというケースは珍しくありません。
皮膚科でも治療効果がなかったり、どこに行っても「気のせい」と言われたりしたら神経科で相談してみるのも一つの手です。

抗うつ剤には知覚過敏を抑える働きがあり、痛みが劇的に改善する人がいます。
痛みを誘発する知覚過敏を引き起こさないためには、日ごろから痛みが軽いうちに対処することが肝心です。

真面目な人、完璧主義の人は、薬も飲まず痛みに耐えて仕事や家事に励む傾向があります。
結果、知覚過敏を招いて症状をこじらせてしまうのです。

痛みを我慢し過ぎず、心身をいたわることが症状の改善につながります。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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