【膝の痛みの原因】変形性膝関節症には"タオル筋トレ" 手術も回避

【膝の痛みの原因】変形性膝関節症には"タオル筋トレ" 手術も回避

中高年のひざ痛の主な原因は半月板が割れることです。半月板自体には神経が通っていないので割れたことでは痛みはありません。割れた破片がはみ出して血管や神経の通っている靭帯や関節包に当たって傷つけ神経を刺激するために痛みが生じます。これが「変形性膝関節症」の最大原因です【解説】戸田佳孝(戸田リウマチ科クリニック院長)


戸田佳孝
1960年、大阪府生まれ。86年、関西医科大学卒業。91年、英国王立整形外科病院留学。92年、関西医科大学整形外科大学院修了、医学博士号を取得。97年、米国タフツ大学に招聘研究員として留学し、肥満と変形性ひざ関節症の関係について研究。98年、大阪府吹田市に戸田リウマチ科クリニックを開院。2004年、インソール(足底板)の研究で開業医としては史上ただ1人、日本整形外科学会奨励賞を受賞。15年、大和大学整形外科非常勤講師に就任。著書に『ひざ痛の97%は手術なしで治せる』『腰痛はヤンキー座りで治る』(ともにマキノ出版)などがある。

3重のクッションで支えられているひざ関節

中高年のひざ痛の主な原因は「半月板」が割れることです。

半月板は、太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)の先端を覆っている関節軟骨の間にある軟骨組織で、衝撃吸収と関節を安定させる役割を果たしています。つまり、ひざ関節は3枚重ねにしたクッションで、曲げ伸ばしやひねりなどさまざまな動きや衝撃に対応できるようになっているのです。

しかし、年齢を重ねるとともに半月板は弾力性が失われていき、ちょっとした衝撃で亀裂が入ったり割れたりしやすくなります。だいたい40歳を過ぎるころから半月板が割れ始め、60歳ごろには程度の差はあれ、ほとんどの人の半月板が損傷していると考えてよいでしょう。

半月板自体には神経が通っていないので、割れたことで痛みが生じるわけではありません。割れた破片がはみ出して、血管や神経の通っている靭帯や関節包に当たって傷つけ、神経を刺激するために痛みが生じるのです。これが「変形性ひざ関節症」の最大の原因です。

ただ、40歳以降のすべての人がひざ痛に悩まされるわけではありません。
痛みが出るか出ないかの違いは、ひざを伸ばす働きをする筋肉の強さによるところが大きいのです。

ひざを伸ばす筋力が衰えると、歩くときに地面から足に伝わる反発力を、股関節や骨盤に分散させることができなくなります。体重の衝撃をすべてひざ関節で受け止めるため、割れた半月板がはみ出しやすくなり、痛みが生じるのです。

最大筋力の80%の力で筋トレするのが効果的

ひざをしっかりと伸ばすために重要な筋肉が、太ももの前面にある大腿四頭筋です。

大腿四頭筋は、「天然のひざサポーター」と言ってもよいほど、ひざ痛の改善に重要な役割を果たしています。

大腿四頭筋を鍛えるために、私が患者さんにお勧めしているのがひざの「タオル押し」などの筋力トレーニングです。

「筋トレが大事ですよ」と患者さんに常々お伝えしていますが、「ラジオ体操をしています」とか「ウオーキングで鍛えています」とおっしゃる人がいます。
しかしこうした運動は、血行を改善させる効果はありますが、ひざを伸ばす筋肉を鍛えるのには適していません。逆に、筋肉が衰えた状態で行うとひざを痛める可能性もあります。ですから、ひざのタオル押しなどの筋トレを優先的に行ってほしいと思います。

しかし、鍛える目標や負荷の目安がない状態では、筋肉が効果的に鍛えられないうえ、長続きしにくいものです。
そこで、私のクリニックでは、ひざのタオル押しの効果を上げるコツとして、次の2点を意識することを勧めています。

①ひざを伸ばす最大筋力を知る
②最大筋力の80%の力で鍛える


ひざを伸ばす最大筋力は、トイレットペーパーと体重計で調べられます。トイレットペーパーの上に、力を入れずに足を乗せただけの状態と、ひざで思いきり押した状態での体重計の数値を測定してください。

トイレットペーパーを押したときの数値から足を乗せただけの数値を引き算すると、最大筋力が算出できます。ちなみにトイレットペーパーを使う理由は、太さと丸みがひざの裏に当てるのにちょうどよいためです。

ひざのタオル押しは、最大筋力の80%の力で行うと、最も効率的に鍛えることができます。

下記の「タオルを押すときの筋力の量り方」を参照して、ぜひご自分のトレーニングに最適な数値を出してみてください。

数値がわかったら、体重計がその数値を示すようにひざ裏で何度か押し付けてみます。力加減をつかんだら、実際にタオル押しをやってみましょう。

ひざのタオル押しで太ももの前面の筋肉が鍛えられると、最大筋力が上がっていきます。
男性は7kg、女性は6.5kg以上を目指して1ヵ月に1回の割合で最大筋力を確認し、トレーニングでかける力の加減も見直しましょう。

実際に、ひざのタオル押しでトレーニングする際には、バスタオルをトイレットペーパーと同じくらいの太さに巻いて輪ゴムなどで留めたものを用意してください。

その上にひざの裏を乗せ、「最大筋力の80%の力」で、ひざの裏でバスタオルを3秒間押しつぶします。
このとき、背すじを伸ばして体重をかけずに、伸ばしたひざでバスタオルを押さえることを意識してください。

すでに痛みが強く、ひざがしっかり伸ばせず押しつぶしにくい人は、ひざの曲がり具合に応じて、タオルを重ねたりたたみ方を変えるなどの工夫をして、太く巻くとよいでしょう。

片足ずつ20回を1セットとして、朝・昼・寝る前の1日3セット行い、翌日休むのをくり返してください。
筋肉はトレーニング後に休息を取ることで発達するので、1日おきのトレーニングをお勧めします。

また、最初は無理をせずにできる範囲で行って、徐々に回数を増やしていきましょう。

女性は女性ホルモンの分泌が減少する更年期に、脂肪が急激に増えて体の筋肉の割合が減っていきます。
今はひざ痛に悩んでいないというかたも、50歳を過ぎたら、予防のためにもひざのタオル押しを始めるといいでしょう。

ひざ伸ばし力を鍛える「タオル押し」のやり方

→3症例を解説「タオル押し」の効果とは

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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