【うつや不安症状を改善】集中力が高まりアイデアが浮かぶ「マインドフルネス」の効果とは

【うつや不安症状を改善】集中力が高まりアイデアが浮かぶ「マインドフルネス」の効果とは

マインドフルネスは、自分の体の状態や気持ち、思考に気づく力を育む「心のエクササイズ」です。マインドフルネスを行い、「今、ここ」に集中し、体の感覚や気持ち、思考に注意を向ける訓練を続けると、さまざまな気づきが生まれてきます。【解説】石井朝子(ヒューマンウェルネスインスティテュート代表・心理学博士)


毎朝のコーヒーで「今、ここ」を感じる

マインドフルネスは、自分の体の状態や気持ち、思考に気づく力を育む「心のエクササイズ」です。
マインドフルネスを行い、「今、ここ」に集中し、体の感覚や気持ち、思考に注意を向ける訓練を続けると、さまざまな気づきが生まれてきます。

例えば、私は毎朝5時に起きて、コーヒーを煎れます。
使うのは、いつも同じコーヒー豆であり、同じ水であり、同じコーヒーメーカーです。
そして、毎朝、コーヒーの味や香りが同じかといえば、これが毎日違うのです。

この私の毎朝の習慣も、マインドフルネスの実践の一つといっていいでしょう。

なぜ同じコーヒー豆や水、コーヒーメーカーなのに、日々、味や香りが変わるのか。

考えられるのは、私自身が日々、変化しているということでしょう。
私の体調や心の状態が、コーヒーの味や香りに影響を与えているかもしれません。

「今、ここ」にあるコーヒーの味に集中し、それをマインドフルに味わっていると、「今日はとてもおいしい」「今日は香りが全然しない」などと違いがわかってきます。

その気づきから、
「疲れがたまっているみたいだから、今日は休みを取りながらやろう」
「今日は元気だから、ずっと棚上げになっていた仕事を一気に片づけてしまおう」
などといった、その日の方針を決めることができるのです。

このようにマインドフルネスは、日常生活にただちに活かすことができるのも、優れたポイントです。

心が軽くなりうつや不安症状を軽減

欧米では、マインドフルネスは心のトレーニング法として、医療や教育機関、企業などのさまざまの現場で採用されています。
マインドフルネスが欧米で広く普及し、日本でも関心を集めつつある理由は、多くの実践者たちに成果をもたらしているからです。

マインドフルネスを体験した人たちから、以下のような声を聞きました。

●ご主人の介護をする70歳の女性
介護は大変な重労働で、疲れがたまると、気持ちが沈んでしまいがち。
しかし、マインドフルネスを行うと、心が軽くなり、明日への希望につながる。

●40代のビジネスマン
過去にプレゼン(計画提案)で失敗した経験があり、それがトラウマになっている。
何度も練習をしたのに、現場では緊張しすぎて頭の中が真っ白になり、パニックになって大失敗した。
以来、プレゼンが怖い。
数カ月前に、社運をかけた大きなプロジェクトのプレゼンを任される。
今回は失敗のないように、毎日、マインドフルネスの実践練習を積んだ。会場に入る前にも行った。
今回はパニックに陥らず、堂々と発表でき、プレゼンに成功した。


今回、別記事でご紹介するのは、「マインドフルネス呼吸法」です。
シンプルな呼吸法がベースになっている入門編になります。

→「マインドフルネス呼吸法」のやり方はコチラ

多くの気づきや新しいアイデアを生む

マインドフルネスの大きな効果の1つに、ストレスの軽減があります。

人は、大きなストレスにさらされると、そのことにとらわれて身動きが取れなくなります。
がんじがらめになって心が硬くなると、他人に心を閉ざすようになり、次第に心身ともに弱くなっていきます。

こうした状態では、対人関係がスムーズにいきませんし、仕事の能率は落ち、自由な発想もなくなります。
さらに自分を追い込めば、「自分はダメな人間だ」と自己評価が低くなり、うつっぽくなってしまう人も出てくることでしょう。

マインドフルネスを実践すると、冷静に今の自分を観察できるようになります。

マイナスの感情を引きずらず、その場でストレスを軽減できるのです。
すると、他人の目を必要以上に意識しなくなり、過剰な気負いが消えます。
人との摩擦も減り、今までできなかったことなどもスムーズにできるようになります。

「いつも通りの自分、シンプルな自分に戻れる」といってもいいかもしれません。
思考がシンプルになれば、自分が今、何を感じて、何を考えているのかを具体的に絞り込めるようになります。
それがさらに多くの気づきを引き出し、自分なりの着想や新しいアイデアをもたらすのです。

また、マインドフルネスの継続的な実践で、試験やプレゼンなど、大事な場面で能力を発揮できるようになります。
集中力が高まり、仕事の効率や学力もアップするでしょう。

また、うつや不安症状、過度の緊張を和らげる効果も期待できます。
うつの人は、一度、怒りや悲しみなどの否定的な感情が湧くと、マイナスの思考や感情にとらわれる傾向があると言われています。
マイナス感情にとらわれ続け、症状が悪化する場合も少なくありません。

マインドフルネスを行うと、マイナス感情にとらわれなくなり、その感情を観察できるようになります。
つらい感情でも、逃げずに見守っていけば、それはやがて自然に小さくなっていきます。
継続していけば、否定的な感情の嵐の中にいる自分を静かに見つめられるようになるのです。
それが、マイナスの思考の連鎖を断ち切り、うつや不安症状の軽減へとつながっていきます。

マインドフルネスは、あなたの生活を大きく変化させるきっかけとなるはずです。
ぜひお試しください。

石井朝子
心理学博士。日本認知療法学会理事、日本不安障害学会評議員。欧米では多くの実証的研究報告のある、ストレス軽減法の1つ「マインドフルネス」を、米国の精神療法家のマーシャ・リネハン博士から直接指導を受ける。DV被害親子のためのマインドフルネスを活用したケア介入プログラムや、子育て中の母親に対するストレス対処法の確立にも取り組んでいる。監訳書に『家庭と学校ですぐに役立つ感情を爆発させる子どもへの接し方』『パートナー間のこじれた関係を修復する11のステップ』(ともに明石書店)などがある。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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