【ひざ痛をタオルで治す】変形性膝関節症を筋トレで改善 最新治療

【ひざ痛をタオルで治す】変形性膝関節症を筋トレで改善 最新治療

私は開業してからの18年間、手術をせずにひざの痛みを治す方法(保存療法)を研究しながら診療を行ってきました。タオルを使用した「ひざのタオル押し」といった筋力トレーニング方法を患者さんに実践してもらい、ほとんどの人が日常生活に支障のないレベルまで痛みを改善できています。【解説】戸田佳孝(戸田リウマチ科クリニック院長)


戸田佳孝
1960年、大阪府生まれ。86年、関西医科大学卒業。91年、英国王立整形外科病院留学。92年、関西医科大学整形外科大学院修了、医学博士号を取得。97年、米国タフツ大学に招聘研究員として留学し、肥満と変形性ひざ関節症の関係について研究。98年、大阪府吹田市に戸田リウマチ科クリニックを開院。2004年、インソール(足底板)の研究で開業医としては史上ただ1人、日本整形外科学会奨励賞を受賞。15年、大和大学整形外科非常勤講師に就任。著書に『ひざ痛の97%は手術なしで治せる』『腰痛はヤンキー座りで治る』(ともにマキノ出版)などがある。

私は開業してからの18年間、手術をせずにひざ痛を治す方法(保存療法)を研究しながら診療を行ってきました。

「ひざのタオル押し」などの筋力トレーニングを患者さんに実践してもらい、ほとんどの人が日常生活に支障のないレベルまで痛みを改善できています。

その中から、3名の例をご紹介したいと思います。

→「ひざのタオル押し」のやり方はコチラ

(症例1)ひざの下に枕を置いて寝るとひざ痛が悪化

I・Mさん(57歳・女性)は、昨年3月に私のクリニックに来院されました。Iさんは、寝ている間に、ひざの痛みで目を覚ましてしまうことがしばしばあったそうです。

このように、夜中にひざ裏が痛くなるケースは珍しくありません。

これは歩いたり立ったりしているときにひざが伸びておらず、ひざの周囲の筋肉が硬くなってしまっている証拠です。
 
ひざを伸ばすと痛むのでひざの下に枕を置いて寝る人がいますが、これはやめましょう。
ひざを曲げた状態を長く続けるとさらにひざが伸びにくくなり、ひざ痛を悪化させることにつながるからです。

実際に計測すると、Iさんのひざはまっすぐ180度まで伸ばせず、太ももとふくらはぎの角度が150度くらいで曲がっていました。ひざを伸ばす最大筋力も6.5kg(床上測定では10kgが目安)で、かなり筋力が落ちている状態でした。

Iさんは、ひざのタオル押しなどのトレーニングに非常にまじめに取り組まれた結果、現在ではひざを170度まで伸ばせるようになり、最大筋力は16kgまで向上しました。
日常生活でも、痛みなく歩ける距離が10mから20mに延びていて、階段を手すりなしで上り下りできるようになっています。

(症例2)筋トレをしっかり行えば年齢を問わずひざ痛は改善できた

K・Sさん(88歳・男性)は、15年ほど前から右ひざが痛み、5年前には左ひざにも痛みが現れました。何軒もの整形外科を受診されたそうですが、飲み薬や注射の痛み止め、湿布などで治療を受けても痛みはまったく改善しなかったとのこと。やがて数十m歩くことすら困難になり、電動車イスの購入も検討されていたそうです。

そんな状態で、昨年10月に私のクリニックにいらっしゃったKさんは、朝と寝る前に20回ずつひざのタオル押しを実行。3ヵ月後には歩くのが苦にならないほどひざ痛が軽減しました。

特に、会合で2時間ほど立っていなければならないときに、途中で休むことなくずっと立ち続けられたことで、ひざの回復を強く実感できたとお話しになっています。

たとえご高齢であっても、筋力トレーニングをしっかりと行うことで、ひざ痛を改善できた、よい見本だと思います。

(症例3)注射で痛みを和らげてから筋トレするのも手

J・Wさん(72歳・女性)は3年ほど前に急に右ひざが痛みだし、足の指先まで腫れたそうです。いくつか病院に通った後、2年半前に来院されました。

初診で、軟骨の成分であるヒアルロン酸の注射を打ち、ひざのタオル押しを指導しました。翌日には腫れが引いたので、Jさんはそれから毎日ふろ上がりにひざのタオル押しを行って、右ひざの痛みが和らいだと実感されているとのこと。

ひざを動かせないほど痛みが強い場合は、Jさんのように、ヒアルロン酸の注射で痛みが和らいでいるときにひざのタオル押しを行ってください。
ひざを伸ばす筋肉が強くなることで痛みも減るので、悪循環を断ち切ることができるのです。

ひざ痛が改善して速く歩けるようになったJさんは、今では「ほんとうにひざが痛いの?」とご友人に驚かれているそうです。

Jさんはよく「息子に介護の迷惑をかけたくない」とお話しになっていました。高齢化が進む日本で、自分の足で歩ける人が増えれば、家族だけでなく保険制度への負担も減らせるはずです。

ひざ痛から解放されて、自分のやりたいことを思う存分できることは、大きな喜びにつながります。

患者さんには趣味の登山を再開したり、新しく仕事を始めたり、友人と旅行に出かけたりして人生を楽しんでいる人がたくさんいらっしゃって、すばらしいことだと思います。

→「ひざのタオル押し」の解説はコチラ

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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