【逆流性食道炎】は「禁煙」で治る!?タバコを吸う人はなりやすいと判明

【逆流性食道炎】は「禁煙」で治る!?タバコを吸う人はなりやすいと判明

「逆流性食道炎」は、胃に入ったはずの食物が食道へと逆流する症状をくり返す病気で、胸のムカムカ、胃の痛み、酸っぱいものがこみ上げてくるといった症状に苦しめられます。そのため、人と食事ができなくなる、熟睡できない、集中力の低下などを引き起こし生活の質が大きく下がります。【解説】藤原靖弘(大阪市立大学大学院医学研究科教授)


タバコを吸う人は逆流が起こりやすい

 肥満、飲酒、高脂肪食や刺激の強い食べ物、睡眠不足など、逆流性食道炎の要因には生活習慣が大きくかかわるとされています。

 喫煙も、その一つです。
 現在、様々なデータから、逆流性食道炎と喫煙の関係は明らかになっています。
 なかでも、過去にタバコを吸っていた人よりも、今現在、喫煙している人、また、喫煙本数が多い人ほど、逆流性食道炎にかかりやすいことがわかっています。

 理由は、喫煙を続けていると、食道の下部にある括約筋がゆるんで開きやすくなることが一つ。また、タバコを吸うときに息を深く吸い込んだり、煙の刺激でセキ込んだりすることでも、逆流が起こりやすくなると考えられます。

 では、タバコを吸っていた人が禁煙すると、逆流性食道炎は改善するのでしょうか。
 それを調べるため、私は禁煙外来で治療を受けた患者さんを対象に検証を行いました。
 対象者は、3ヵ月間の禁煙治療を受けた420人中、1年後の追跡調査に協力してくれた191人です。

 医療機関でも使用されているチェックリストで調べたところ、191人中、禁煙治療前に逆流性食道炎の症状が認められた人は73人でした。薬の服用など、すでに逆流性食道炎の治療を受けていた人は除外しています。
 191人中、禁煙を1年後も続けていたのは141人。そのうち、逆流性食道炎の人は51人です。
 一方、喫煙を再開してしまった人は50人いて、そのうち22人が逆流性食道炎でした。

倍以上の差がついた!

 この人たちの症状の変化を調査すると、1年間禁煙を続けていた人では、51人中22人が逆流性食道炎の症状がなくなっていました。割合にすると、約43%の人が逆流性食道炎が治っていたということです。

 一方、喫煙を再開した22人の中で、逆流性食道炎の症状がなくなったのはわずか4人、割合にして約18%でした。
 つまり、禁煙による逆流性食道炎の改善率に倍以上の差がついたということです。この結果から、禁煙をすると逆流性食道炎がよくなることが証明されたのです。

 現在、逆流性食道炎の治療法は、胃酸を抑える薬の服用が主流です。しかし、逆流そのものを抑えることはできないため、再発を防ぐには薬を服用し続ける必要があります。症状に応じて薬を減らすなど、医師の管理の下で服用を続けていけばさほど問題ないとはいえ、薬の長期使用はお勧めできません。
 薬を飲まなくても、禁煙するだけで逆流性食道炎が治るなら、実践する価値は大いにあるのではないでしょうか。

 ずっとタバコを吸ってきた人にとって、禁煙は決して簡単なことではないでしょう。実際、逆流性食道炎の患者さんに禁煙を勧めても、実行できる人は多くないのが現実です。

 また、逆流性食道炎の症状を訴える人の中には、ストレスで神経が過敏になって、胸やけやのどの痛みが現れている人もいます。
 喫煙がよくないとはいえ、禁煙が逆にストレスになってしまうタイプの人は、実践するのは難しいかもしれません。

 今回の調査は、禁煙外来に来られた人、つまり禁煙を希望する人を対象にしたことで実現しました。逆流性食道炎に対する禁煙の有効性がデータで示されたことで、「それなら禁煙してみようかな」という人が少しでも増えることを期待しています。

 自分の意志で禁煙するのが難しい人は、禁煙外来で医療のサポートを受けるのも一つの方法です。喫煙以外でストレスを上手に発散することも大切です。
 逆流性食道炎の苦しい症状に悩んでおられるなら、ぜひこの機会に禁煙にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

藤原靖弘
大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学教授。日本内科学会(指導医・総合内科専門医)、日本消化器病学会(指導医・専門医、評議員)、日本消化器内視鏡学会(指導医・専門医、評議員)、日本消化管学会、日本癌学会、米国消化器学会などに所属。1988年大阪市立大学医学部卒業。1995年同大学大学院医学研究科博士課程修了。日々の診療とともに、上部消化管疾患の病態解明や内視鏡診断、治療(特に胃食道逆流症、バレット食道)、睡眠と消化器疾患を研究テーマとして活躍中。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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