自己肯定感を高める【対人関係療法】とは?自信回復の近道は「相手を尊敬する」

自己肯定感を高める【対人関係療法】とは?自信回復の近道は「相手を尊敬する」

自信を回復するカギは、「自分」ではなく、「他人」に対する見方を変えることにあります。なぜなら、相手に目を向けて、相手をリスペクト(尊敬、尊重)していくと、そのリスペクト感が自分にも及んでくるからです。【解説】水島広子(精神科医・対人関係療法専門クリニック院長)


他人をリスペクトすれば自己肯定感が高まる

 自己肯定感を高めて自信を回復するカギは、「自分」ではなく、「他人」に対する見方を変えることにあります。

 なぜなら、自分に目を向けている限り、自己否定しか出てこないかもしれませんが、相手に目を向けて、相手をリスペクト(尊敬、尊重)していくと、そのリスペクト感が自分にも及んでくるからです。
 他人をリスペクトできれば、自分のこともリスペクトできるようになり、自己肯定感は高まります。

 ここでいうリスペクトとは、「あの人は○○が優れているから尊敬する」といった、「条件付きのリスペクト」ではありません。
 日本語でいえば、尊重、敬意という意味の「無条件のリスペクト」を相手に対して持つのです。
 相手の言動や生き方に評価を下そうとすれば、「とても尊敬できない」ということになるかもしれません。

 しかし、相手に対して評価を下さず、「今の状態にはきっとそれなりの事情があるのだな」と相手のありのままを受け入れ、「いろいろな事情がありながら、一生懸命生きている存在」としてリスペクトしてみてください。
「嫌な人」といった決めつけを手放して相手を見ると、多くの場合、その人のがんばっている姿が見えてきます。

 怒りや嫌悪感というネガティブな感情を持つのは、毒素を自分の心身にため込むようなもの。
 一方で、「相手にも事情がある」という見方をすると、毒素をため込まず、デトックスになり、自分をたいせつにできているという感覚を持つことができるようになります。

 相手をリスペクトしているときの私たちは寛大です。そんなときの自分は決して嫌な感じがしないでしょうし、相手に向けている優しさや温かさを、自分でもそのまま受け取っているはずです。
 こういった「リスペクトの空気」を吸い込みながら、生きていくことができると、自己肯定感は自然に高まります。

ダメな自分にも事情があるとありのままを受け入れる

 他人をリスペクトすると、自分自身のことも「いろいろと事情がある中で、がんばっている存在」として見ることができるようになります。
 自信を失うような体験をして、「自分はダメだ」と思っているとしても、「そう思うに至った事情がある」と考えましょう。

 傷ついた過去を否認して「自分はダメだ」と思うのではなく、「傷ついて大変だったね」と自分をいたわってあげてください。
 それこそが、ありのままを受けいれるということになるのです。

治療の現場ではこうしてサポートしています

 私のクリニックでは、心の病気で自己肯定感が低い患者さんに対して、対人関係療法を行っています。
 治療期間中は、治療者が「自己肯定感」のような役割を果たします。

 「人間なんだからあたりまえ」「病気なんだからあたりまえ」と、患者さんが現状を受け入れられるようにしながら、実生活によい変化を起こしていくのです。
 「よい変化」を感じられると、達成感が生まれますから、自己肯定感の芽が育っていきます。

 治療そのものは12〜16回で、治療の終結時には、まだ、ぐらぐらしながら自転車に乗っているような感じですが、治療終結後も自分で練習を続けると、しっかりした実力になっていきます。
 また、私は誰もが参加できる「アティテューディナル・ヒーリング(AH)」というワークショップも主宰しています。
 AHとは、自分の心の平和を唯一の目的とする生き方のことです。
 AHでは、怖れを否定するのではなく手放し、無条件の愛を感じながら生きることを理想としています。
 また、怒っている人を見たときには、「自分を攻撃しているのではなく、困っているから悲鳴をあげているんだ」というふうに、ものの見方を変えることも提案しています。
 そうすれば、自分は傷つかなくなりますし、相手に親切にしてあげられ、自分の人生も変わるのです。

 ワークショップでは、一切のアドバイスや評価は禁止で、この中で話したことは外部にはもらさないという決まりがあります。
 この安全な環境で話していくうちに、自己肯定感も高まっていくのですが、それはまさに「他人へのリスペクト」の姿勢でお互いが話を聞いているからにほかなりません。
 AHは、心の姿勢をみずから選ぶことによる癒しであり、温かい心が持てるようになって、対人関係も改善します。
 全国で行われているので、ご興味のある方はご参加ください。

みずしま ひろこ
慶應義塾大学医学部卒業、同大学院修了(医学博士)。摂食障害、気分障害、トラウマ関連障害、思春期前後の問題や家族の病理、漢方医学などが専門。2000年6月の衆議院選挙で栃木1区から初当選。2期5年間をつとめる。現在、アティテューディナル・ヒーリング・ジャパン(AHJ)代表、対人関係療法専門クリニック院長、慶應義塾大学医学部非常勤講師(精神神経科)。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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