【ゴースト血管とは】老化が進み、お酒が弱くなる、がんリスクも高まる 毛細血管は再生するのか?

【ゴースト血管とは】老化が進み、お酒が弱くなる、がんリスクも高まる 毛細血管は再生するのか?

動脈や静脈は、簡単に消えたりしません。しかし、毛細血管は、老化現象の一つとして消えていく血管なのです。平均的に、毛細血管は40 代半ばから減り始め、80代になるまでに4割も減ってしまいます。ゴースト血管が多くなるとさまざまな老化現象や病気を進める一因となります。【解説】高倉伸幸(大阪大学微生物病研究所教授)


酸素や栄養を届ける血管が消えてしまう

「血管」は、いうまでもなく体にとってとてもたいせつなものです。
その血管の中に、加齢とともに消えていくものがあることをご存じでしょうか。

消えていく血管とは「毛細血管」です。
毛細血管は、名前の通り毛のように細い血管で、太さは5~8μm(1000分の5~8mm)。

動脈や静脈などに比べると、毛細血管は話題になりにくく、血管として意識されにくいかもしれません。
しかし、じつは血管の中で圧倒的に多くを占めているのが毛細血管なのです。
長さにすると、血管のうち99%は毛細血管が占めています。
仮に、体にあるすべての毛細血管をつなぐと、その長さは地球2周半にも及びます。

長いだけでなく、毛細血管は、体にとってたいへん重要な役割をしています。
私たちの体内では、心臓に連結した動脈が、しだいに細くなって細動脈になり、毛細血管につながります。
そして、皮膚や臓器、筋肉といったさまざまな組織に、網の目のように入り込んだ毛細血管から、酸素や栄養素が届けられるのです。
酸素や栄養素は、毛細血管からしか組織に届けられません。

毛細血管がじゅうぶんに張り巡らされていなければ、組織はたちまち酸素不足、栄養不足に陥ってしまうわけです。
毛細血管は、酸素や栄養素を届ける一方、二酸化炭素や不要な老廃物、余分な水分などを、リンパ管と協力して回収します。

毛細血管の働きが低下すると、こうした不要物の回収率も落ち、組織に「ゴミ」がたまりやすくなるのです。
酸素や栄養素をしっかり届けるためにも、体で生じた「ゴミ」をためないためにも、重要な毛細血管。

その毛細血管が消えてしまうとはどういうことでしょうか。

「ゴースト血管」は心がけしだいで防げる

ある程度以上の太さがある動脈や静脈は、簡単に消えたりしません。
しかし、毛細血管は、老化現象の一つとして消えていく血管なのです。

平均的に、毛細血管は40 代半ばから減り始め、80代になるまでに4割も減ってしまいます。
突然に消えるわけではなく、血管壁がしだいに弱くなり、血液成分がもれ出し、血流が乏しくなってきます。

この状態の毛細血管を特殊な装置で観察すると、本来はしっかり画像に写っている毛細血管が、いまにも消えそうに薄くなり、ところどころ切れているのがわかります。

その様子が、まるで幽霊のようなので、私は一般の人にわかりやすいよう、「ゴースト(幽霊)血管」と名づけました。
健全だった毛細血管がこのように変化することを「毛細血管のゴースト化」と呼んでいます。

ゴースト血管が多くなるほど、組織に必要な酸素や栄養素が届かなくなり、老廃物はたまりやすくなります。
そのことが、さまざまな老化現象や病気を進める一因となります。

特に、新陳代謝の速い皮膚は、毛細血管のゴースト化が起こりやすく、影響しやすいのです。
ゴースト血管が増えるほど、肌のくすみやシミ、たるみ、シワが増加してきます。

皮膚に限らず末端の毛細血管がゴースト化することで、冷えやむくみも悪化します。
白髪や抜け毛が増えたり、爪が欠けやすくなったりと、髪や爪の老化も助長されます。

皮膚と同じく新陳代謝が速い肝臓も、毛細血管のゴースト化が起こりやすい臓器です。
加齢とともにお酒が弱くなることにも、ゴースト血管が関係していると考えられます。
ほかの臓器や器官も、加齢につれて毛細血管がゴースト化します。

その結果、腎臓や呼吸器の機能低下、アレルギー症状、認知症などが進みやすくなります。

もともと私の専門は、がんと毛細血管の研究ですが、ゴースト血管が増えるほど、長期的にはがんのリスクも高まります。

ゴースト血管の割合は、同じ年齢でも大きな個人差があります。
例えば下の写真のように、同じ50代でもこのように違います。

しかし、毛細血管のゴースト化は、食事や運動など日常生活のちょっとした心がけで防げます。
さらに、ゴースト化した毛細血管を再生させることも可能です。

別記事では、毛細血管のゴースト化の進み具合がわかるチェックリストをご紹介しています。

高倉伸幸
三重県生まれ。87年、三重大学医学部卒業後、血液内科医として臨床に5年間従事。その後、画期的ながん治療薬および組織再生療法の開発をめざして基礎研究に入る。97年、京都大学大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。熊本大学医学部助教授を経て、2001年、金沢大学がん研究所教授。2006年より現職。日本血管生物医学会理事長、大阪大学大学院医学系研究科・組織再構築学講座、金沢大学がん研究所客員教授を兼ねる。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

関連する投稿


【野菜スープの効果】シミ(老人斑)が薄くなった!老眼もなく、白内障も進行しない

【野菜スープの効果】シミ(老人斑)が薄くなった!老眼もなく、白内障も進行しない

野菜スープをとり始めてしばらくたったころ、妻が私の顔をまじまじと見て、こう言いました。「あなた、シミが薄くなったわねえ」私は現在79歳で、10年ほど前から老人斑と呼ばれるシミが増えていました。ところが、野菜スープを飲むうちに、そのシミが非常に薄くなっていたのです。【解説】富永祐民(愛知県がんセンター名誉総長)


原因不明の視力低下が改善した!指のツボを“洗濯ばさみ”で刺激する健康法

原因不明の視力低下が改善した!指のツボを“洗濯ばさみ”で刺激する健康法

「指を洗濯バサミで挟む」と血と気の巡りがよくなり糖尿病・視力低下・痛みに著効!手と指には6本の経絡が走っており、その流れに沿って全身の臓器に対応するツボが多く存在しています。つまり手や指を刺激するだけで全身のあらゆる部位の痛みや不調を改善できるというわけです。【解説】松岡佳余子(アジアンハンドセラピー協会理事・鍼灸師)


【糖尿病が改善】全身の血流が良くなるツボ刺激「指バサミ」のやり方

【糖尿病が改善】全身の血流が良くなるツボ刺激「指バサミ」のやり方

手と指には6本の経絡が走っており、その流れに沿って全身の臓器に対応するツボが多く存在しています。手や指を刺激するだけで全身のあらゆる部位の痛みや不調を改善できるというわけです。ここでは「洗濯ばさみ」を使ったツボの刺激方法をご紹介します。【解説】松岡佳余子(アジアンハンドセラピー協会理事・鍼灸師)


【高血圧】手のツボ「合谷」を押すだけで、なぜ血圧が20~30ミリ下がるのか?

【高血圧】手のツボ「合谷」を押すだけで、なぜ血圧が20~30ミリ下がるのか?

高血圧は、自覚症状がほとんどありません。しかし放っておけばやがて動脈硬化を起こし、脳卒中や心筋梗塞といった重大な合併症の引き金になりかねない。まさに、”見えない敵”なのです。そんな〝見えない敵〟とは、どのように戦ったらいいのでしょうか。【解説】渡辺尚彦(東京女子医科大学医学部教授(東医療センター内科))


【高血圧を予防】腸内環境を整え 血圧を下げる「大根おろし」の効果とは

【高血圧を予防】腸内環境を整え 血圧を下げる「大根おろし」の効果とは

私は、「腸を整えることが健康の要」と考えていますが、その腸を整える食事として「大根おろし」ほど優れた食べ物はないからです。私たちが病気になるのは、今まで日本人が食べてこなかった、体質に合わない食事をするようになったからです。【解説】森下敬一(お茶の水クリニック院長)


最新の投稿


【視力回復】近視や緑内障の改善には“自律神経の乱れ”を正す「爪もみ」がお勧め

【視力回復】近視や緑内障の改善には“自律神経の乱れ”を正す「爪もみ」がお勧め

目が疲れてショボショボすると、私たちは自然にまぶたに手をやり、こすったり、もんだりします。このように、目に不快感が現れるのは、自律神経のバランスが乱れている証拠です。自律神経をバランスよく働かせることが、目の健康を守る基本なのです。そこでお勧めしたいのが、「爪もみ」です。【解説】本部千博(ほんべ眼科院長)


【野菜スープの効果】シミ(老人斑)が薄くなった!老眼もなく、白内障も進行しない

【野菜スープの効果】シミ(老人斑)が薄くなった!老眼もなく、白内障も進行しない

野菜スープをとり始めてしばらくたったころ、妻が私の顔をまじまじと見て、こう言いました。「あなた、シミが薄くなったわねえ」私は現在79歳で、10年ほど前から老人斑と呼ばれるシミが増えていました。ところが、野菜スープを飲むうちに、そのシミが非常に薄くなっていたのです。【解説】富永祐民(愛知県がんセンター名誉総長)


原因不明の視力低下が改善した!指のツボを“洗濯ばさみ”で刺激する健康法

原因不明の視力低下が改善した!指のツボを“洗濯ばさみ”で刺激する健康法

「指を洗濯バサミで挟む」と血と気の巡りがよくなり糖尿病・視力低下・痛みに著効!手と指には6本の経絡が走っており、その流れに沿って全身の臓器に対応するツボが多く存在しています。つまり手や指を刺激するだけで全身のあらゆる部位の痛みや不調を改善できるというわけです。【解説】松岡佳余子(アジアンハンドセラピー協会理事・鍼灸師)


【糖尿病が改善】全身の血流が良くなるツボ刺激「指バサミ」のやり方

【糖尿病が改善】全身の血流が良くなるツボ刺激「指バサミ」のやり方

手と指には6本の経絡が走っており、その流れに沿って全身の臓器に対応するツボが多く存在しています。手や指を刺激するだけで全身のあらゆる部位の痛みや不調を改善できるというわけです。ここでは「洗濯ばさみ」を使ったツボの刺激方法をご紹介します。【解説】松岡佳余子(アジアンハンドセラピー協会理事・鍼灸師)


【脳梗塞・心筋梗塞】発症予防には起床後の“水分摂取”と肉を食べる前の“○○○”

【脳梗塞・心筋梗塞】発症予防には起床後の“水分摂取”と肉を食べる前の“○○○”

動脈硬化が進むとともに血栓ができると、その結果として、脳梗塞や心筋梗塞といった怖い病気を招いてしまいます。命に関わるこれらの病気を防ぐために習慣にしてほしいのが、起床後に十分な水分を取ることです。【解説】南和友(北関東循環器病院院長、ドイツ・ボッフム大学永代教授)