【使うのはタオルだけ】従来に比べ格段に簡単!看護師が考案した骨盤ケア

【使うのはタオルだけ】従来に比べ格段に簡単!看護師が考案した骨盤ケア

骨盤底筋を鍛えるための体操は、現在、多くの医療機関で推奨されています。しかし、やり方をプリントされた紙を渡されるだけという場合がほとんどです。そこでお勧めしたいのが、おしぼり状に巻いたタオルを使った、「骨盤タオル体操」です。【解説】成島雅博(名鉄病院泌尿器科部長)


加齢や出産で骨盤底筋はゆるみ、頻尿・尿もれ・残尿感につながる

 年齢が高くなると「急にトイレが近くなった」「尿もれが気になる」という人が増えてきます。このような人にお勧めしたいのが、骨盤底筋体操です。

 骨盤底筋とは字のとおり、骨盤の底にある筋肉です。骨盤の底には骨がなく、ハンモック状のこの筋肉が子宮や膀胱を支えていて、ここがゆるむと骨盤内の臓器が下がってしまうのです。
 このような状態を「骨盤臓器脱」といいます。骨盤臓器脱の6割が、膀胱が下がってくる膀胱瘤です。

 膀胱が下がってくると、膀胱の壁が引き伸ばされたり、尿道が下垂したりするので、頻尿や尿もれといった症状が現れます。悪化すると尿道が折れ曲がってきて尿が出にくくなり、残尿感が強くなります。

 また、セキやくしゃみ、大声で笑う、走る、跳ねるなどの動作をして腹圧がかかるともれてしまう尿失禁も、骨盤底筋のゆるみが原因です。

 骨盤底筋がゆるむ主な原因には、加齢と出産が挙げられます。妊娠中の胎児の重みや出産による負担、また、閉経後は女性ホルモンの分泌が減少することで筋肉の弾力がなくなり、骨盤底筋はゆるんできます。
 そのほか、遺伝的な要素で骨盤底筋がゆるいこともあります。この場合は、若年時から尿もれなどの症状が現れます。

医師、看護師、理学療法士が経験をもとに考案した「骨盤タオル」

 骨盤底筋を鍛えるための骨盤底筋体操は、現在、多くの医療機関で推奨されています。しかし、やり方をプリントされた紙を渡されるだけという場合がほとんどです。

 女性の場合、解剖学的に尿道や膣、肛門を意識して締めることが難しく、コントロールできる人はおそらく、3割くらいでしょう。ですから、自宅などで一人で骨盤底筋体操をしても、尿道や膣、肛門を十分に締めることができないため、継続されにくいのが現実です。

 そこでお勧めしたいのが、おしぼり状に巻いたタオルを使った、「骨盤タオル体操」です。

 私が勤務する名鉄病院泌尿器科では、骨盤臓器脱・腹圧性尿失禁を専門に診療する「ウロギネセンター」を併設し、月に一度、泌尿器科を受診された患者さんを対象に「骨盤底筋体操教室」を開催しています。
ウロギネとは、泌尿器科(ウロロジー)と婦人科(ギネコロジー)を合わせた造語です。 

 骨盤底筋体操教室で行う体操は、私を含め、看護師、理学療法士が知識と経験を基に話し合い、考案したものです。わかりやすく、患者さんが自宅でも積極的に継続して行えるような体操になっています。

骨盤タオル体操のやり方はこちら

トイレの回数が 15回から5回に減った

 例えば、1日15回もトイレに行っていた患者さんの頻尿が、5〜6回に改善したとか、骨盤臓器脱が現れなくなった患者さんもいます。個人差はありますが、だいたい3ヵ月くらいで効果が現れてくるようです。

 また、この骨盤タオル体操は、前立腺ガンの術後の男性にもお勧めできます。術後の尿失禁を改善するとともに、回復を早めます。男性の場合、解剖学上、女性よりも尿道や肛門を意識して締めやすいので、効果も得やすいと考えられます。

 ただし、骨盤内の臓器が膣の入り口から1㎝以上下がり、股間に物がはさまったような違和感や、座ると何かが押し戻されるような不快感があるような骨盤臓器脱には、骨盤タオル体操の効果は、あまり期待できません。生活に支障がある場合は、手術による根本治療が必要です。

 頻尿や尿もれなどの最も大きな問題は、「年のせい」と考えてほうっておいたり、恥ずかしいと考えて医療機関を訪れず、悪化させたりしてしまうことだといえます。
 重症の場合は医療機関の受診が必要ですが、それほどではないが気になるという人は、まず骨盤タオル体操を試してみてください。

 尿の悩みが解決すれば、皆さんの生活の質は、きっと向上するはずです。

成島雅博
1984年、産業医科大学医学部医学科卒業。中部労災病院等を経て、1993年より現職。名古屋大学医学部臨床准教授。2012年に骨盤臓器脱、尿失禁に対応するウロギネセンターを開設。骨盤底筋体操教室の開催にも力を入れている。

これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに掲載しています。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

これらの記事にある情報は、効能や効果を保証するものではありません。専門家による監修のもと、安全性には十分に配慮していますが、万が一体調に合わないと感じた場合は、すぐに中止してください。

この健康情報のエディター

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