市販のカゼ薬や便秘薬で「尿の出」が悪くなることも 特に前立腺肥大の男性は要注意

市販のカゼ薬や便秘薬で「尿の出」が悪くなることも 特に前立腺肥大の男性は要注意

排尿のトラブルは、思わぬ原因から起こることもあります。特に男性の場合、気を付けたいのが「カゼ薬」と「便秘」です。それぞれ、どのように排尿トラブルにつながるかをお話ししましょう。【解説】石井泰憲(石井クリニック院長)


最悪の場合は尿が出ない尿閉になることもある

 排尿のトラブルは、思わぬ原因から起こることもあります。特に男性の場合、気を付けたいのが「カゼ薬」と「便秘」です。それぞれ、どのように排尿トラブルにつながるかをお話ししましょう。

 まずカゼ薬ですが、カゼの諸症状に効く、いわゆる総合感冒薬には、エフェドリン(アドレナリン)という成分が入っています。
 エフェドリンには、α作用とβ作用という二つの系統の作用があります。このうちのβ作用が気管支を広げるので、タンなどの分泌物が出やすくなり、カゼの症状に効くのです。
 ところが、同時に発揮されるα作用によって、尿道が締まり、尿の出も抑えられてしまいます。

 中高年男性には、尿道の周囲にある前立腺(男性生殖器の一種)が肥大し、尿の出が悪くなる「前立腺肥大症」を起こしている人が少なくありません。

 前立腺肥大症を起こしている人が、不用意に総合感冒薬を飲むと、ただでさえ悪くなっている尿の出が、さらに悪くなることがあります。
 前立腺肥大症の治療には、α作用をブロックする薬が使われますが、カゼ薬はまったく逆の作用で悪化させてしまうのです。

 さらに悪いことに、β作用の一部であるβ3作用は、膀胱を広げる働きをします。その作用によっても、尿の出が悪くなります。
 エフェドリンのこれらの作用で尿の出が悪くなると、つらいのはもちろん、最悪の場合は、尿がまったく出ない「尿閉」になることもあります。

 尿閉を放置すると、急性腎不全などの重大な病気を起こすので、ただちに病院に行く必要があります。
 前立腺肥大症の人は、カゼをひいたら、市販の総合感冒薬を飲む前に、医療機関を受診しましょう。前立腺肥大症であることを告げて、セキ、のど、鼻水・鼻づまり、発熱など、症状に応じた薬を処方してもらえば、薬による排尿トラブルを避けられます。

 市販薬を買うなら、薬剤師のいる薬局で、前立腺肥大症であることを告げて相談し、総合感冒薬以外の症状別の薬を求めましょう。
 ちなみに、飲酒で尿量が急に増すことも、尿閉の危険を高めます。排尿をがまんするほど、その危険性が高まるので、宴会などのときは、こまめにトイレに行きましょう。

 前立腺肥大症の人は、冬場に尿閉を起こすことが多いのですが、その大きな原因は、カゼ薬(総合感冒薬)と、宴会での飲み過ぎです。特にこの季節は注意しましょう。

市販のカゼ薬が尿トラブルの一因となることも!

便秘も排尿トラブルは併発しやすい。便秘の人は直腸(肛門の手前にある腸)の動きが悪く、うまく排便が起こらないことが多い

 一方、便秘も排尿トラブルに影響します。その理由の一つは、膀胱と直腸が同じ「骨盤神経」の支配を受けていることです。

 便秘の人は、骨盤神経の働きが鈍くなっているため、直腸(肛門の手前にある腸)の動きが悪く、うまく排便が起こらないことが多いのです。
 同じ神経が膀胱も支配していますので、この場合、膀胱の動きも悪くなりがちです。そのため、便秘と尿の出が悪いこととは、併発しやすいといえます。
 同時に、便秘で直腸に便がたまっていると、膀胱が圧迫されて、その働きが低下するということもあります。

 特に、前立腺肥大症の男性は、便がたまった直腸によって、膀胱とともに前立腺も圧迫されます。すると、前立腺の充血から、尿道がさらに狭くなって尿の出が悪くなり、膀胱に尿がたまりやすくなります。

 つまり、便秘と前立腺肥大と排尿トラブルとが、三つどもえになって、互いに悪化を招いてしまうのです。
 便秘そのものも、体へのさまざまな弊害がありますが、排尿トラブルを悪化させないためにも、日ごろから便通を整えておきたいものです。
 それには、食物繊維や水分をしっかり取り、適度な運動を心がけましょう。

 また、最近は、1日のうち長時間、イスに座ってパソコン作業をし、ほとんど動かないという人が多くなっています。これは、便秘を招く以外に、直接的に排尿トラブルを招く行為でもあります。

 というのは、特に男性の場合、長時間イスに座ると、前立腺の充血を招きやすくなります。膀胱の下に位置する前立腺は、イスに座ったとき、最も座面に近い位置なので、圧迫を受けやすいからです。

 これを長時間、毎日続けていると、もともと前立腺肥大症のある人は、症状が悪化して、尿の出がますます悪くなります。また、前立腺肥大のない若い男性でも、慢性前立腺炎を起こしやすくなります。

 慢性前立腺炎は、前立腺の慢性的な炎症により、会陰部(肛門と陰嚢の間)や下腹部の鈍痛、不快感、陰茎の先の痛み、頻尿や残尿感などが起こる病気です。
 パソコン作業や運転などで、長時間座った姿勢を続けることが、大きな引き金になります。円座(ドーナツ形の座布団)などを使って前立腺への圧迫をやわらげるとともに、一定時間おきに軽い運動をすることが、効果的な対策となります。
 排尿トラブルを防ぐため、これらの対策を、ぜひ心がけてください。

これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに掲載しています。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

これらの記事にある情報は、効能や効果を保証するものではありません。専門家による監修のもと、安全性には十分に配慮していますが、万が一体調に合わないと感じた場合は、すぐに中止してください。

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