【前立腺肥大の最新治療】TURP手術は日帰り可能、薬による治療でも改善する

【前立腺肥大の最新治療】TURP手術は日帰り可能、薬による治療でも改善する

前立腺肥大症は、男性の高齢者はほぼ全員がかかる、といわれるほど有病率が高い病気です。尿の出が悪い、トイレの回数が増えたなどの不快症状がくり返されたら、専門医に相談しましょう。問診、検査、薬物療法、手術療法と、回復までの流れをご説明しましょう。【解説】古堅進亮(新都心クリニック東京前立腺センター院長)


前立腺肥大が軽症の場合は、生活習慣の改善でよくなる

 中年以降の男性が抱える症状で多いのが、前立腺肥大症による排尿障害です。
 前立腺肥大症は、男性の高齢者はほぼ全員がかかる、といわれるほど有病率(人口に対する疾病の頻度)が高い病気です。
 しかし、有病率が高いわりには敬遠されがちで、泌尿器科にかかることに抵抗がある男性が多く、前立腺肥大症の検査や治療についても、あまり知られていないのが現状です。

 だからこそ、「尿の出が悪い」「トイレの回数が増えた」など、排尿の不快症状がくり返されるようなら、早めに専門医の診断を受けて、適切な治療を受けることが大切なのです。
 前立腺肥大を放置して、つらい症状に生涯悩み続けないためにも、前立腺肥大症を治す正しい知識を持つことが必要です。

 今回は、私が院長を務めるクリニックで行っている問診、検査、薬物療法、手術療法と、回復までの流れをご説明しましょう。
 まず「問診」ですが、年齢や既往歴(心臓病、高血圧、糖尿病、緑内障の有無など)と、実際に排尿で困っている症状や進行状態を問診で確認します。
 事前に、患者さんに「国際前立腺症状スコア」を記入してもらい、それを確認することもあります。
 問診で症状を確認した後に、いくつかの「検査」を受けてもらいます。

 最初にエコー検査(超音波検査)を受けてもらい、前立腺の大きさ、結石の有無を調べます。この検査で、良性の前立腺肥大か、悪性の前立腺ガンかの判別もつきます。

 次に、尿流測定(排尿時の尿の勢いを測定する検査)と、残尿測定(排尿後の残尿量をエコーで見る検査)を行います。
 ここまでの一連の検査が終わったら、直腸診の「診察」を受けてもらいます。
 直腸診では、医師が肛門に指を入れて、直接、前立腺の大きさや硬さを確認します。最近は直腸診を省略する泌尿器科医も多いのですが、かなり正確な診断が下せるので当院では必須項目としています。

 さらに、必要に応じてMRI(磁気共鳴画像)検査や内視鏡検査で、尿道や膀胱への前立腺の圧迫を見る検査が行われます。
 以上の検査の結果、軽症の前立腺肥大症と判断される場合は、食生活や飲酒など生活習慣の改善を試みながらの「経過観察」となります。

前立腺肥大症の薬は、抗コリン剤、還元酵素阻害剤、受容体遮断剤、ザルティア錠がある

 検査をして、中等度と判断される場合や、経過観察をしても症状の改善が見られない場合は、「薬物療法」の治療を開始します。
 前立腺肥大症の薬は、膀胱の過敏症を抑える「抗コリン剤」、前立腺を小さくする「還元酵素阻害剤」、交感神経の緊張を取る「受容体遮断剤」が主なものです。今年度からは、EDの治療薬と同じ成分で前立腺の血流をよくする薬(ザルティア錠)も使えるようになりました。

 薬物療法でも効果が見られない場合や、重症の人には「手術療法」が検討されます。
 昔のような開腹手術は行われず、現代は、レーザーやラジオ波、内視鏡を使った手術が行われます。

 当院では内視鏡を使う最新手術である「経尿道的前立腺切除術」、略して「TURP」を行います。
 TURPは、肥大した前立腺を内視鏡で見ながら、内視鏡の先端に取りつけた電気メスで、肥大した患部を切り取る手術です。麻酔をかけて行うため、痛みはほとんどありません。

 この手術のポイントは、肥大した内腺のみをきれいに切除することです。内腺に癒着している外腺を、傷つけず、ギリギリのところで切り離す技術が必要です。結石を発見すれば、それも取り除きます。

 その結果、完成度が高く、症状の再発も極めて少ない前立腺肥大症の手術が可能になるのです。出血が少なく、痛みもほとんどない、体への負担が少ない点も大きな利点でしょう。

TURP手術は日帰り手術 尿の出がよくなり勃起力もよみがえる

 当院で行うTURPは、入院をしないで済む「日帰り手術」です。手術の2時間後から、歩行も飲水も可能です。
 手術当日は尿道に管を入れたまま、クリニックの近くのホテルに宿泊していただき、翌朝、管を外して自力で排尿できることが確認できれば、その足で職場に戻ることもできるのです。

 手術から10日前後で、症状の改善を実感できるはずです。2~3ヵ月後には、排尿状態が完全に元に戻るでしょう。
 水道の蛇口をひねるやいなや勢いよく流れ出る水のように、おしっこが快適に出るようになったと喜ぶ、高齢の患者さんがたくさんおられます。

 排尿状態が若返るだけでなく、それに伴い体力が向上したり、勃起力が甦ったりすることも少なくありません。
 手術を受けて排尿トラブルから解放された患者さんたちは、生活の質が格段に上がり、実際に仕事に趣味に再び活躍の場を広げています。

 最後になりますが、そもそもTURPは難しい手術です。日帰り手術ともなると、医師に熟練が求められます。希望する場合は、臨床経験が豊富な、ベテランの医師がいる病院を選択することが望ましいでしょう。

TURP手術に力を入れている古堅先生

急増中【前立腺炎との違いは?】そもそも前立腺肥大とは?

これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに掲載しています。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

これらの記事にある情報は、効能や効果を保証するものではありません。専門家による監修のもと、安全性には十分に配慮していますが、万が一体調に合わないと感じた場合は、すぐに中止してください。

この健康情報のエディター

関連する投稿


【医師解説】夜間頻尿を自分で治す 寝る前の「ふくらはぎマッサージ」で改善

【医師解説】夜間頻尿を自分で治す 寝る前の「ふくらはぎマッサージ」で改善

夜間頻尿とは、夜の睡眠中に1回以上、排尿のために起きる症状です。夜間頻尿の原因は「足のむくみ」にあるケースが多いのです。夜間頻尿に悩んでいる人に、お勧めの方法があります。それは、夕食後のくつろいだ時間帯に、ふくらはぎをマッサージすることです。【解説】石井泰憲(石井クリニック院長)


 【医師解説】夜間頻尿の対策に お尻を温める「仙骨カイロ」がよく効く

【医師解説】夜間頻尿の対策に お尻を温める「仙骨カイロ」がよく効く

冷えや低体温の高齢者の患者さんに、私はお尻を温めることをお勧めしています。「夜間頻尿が解消」「腰痛が改善」「便秘が改善」などといった声が聞かれます。お尻を温める対策だけで、なぜこんなに幅広い効果が得られるのでしょうか。やり方を紹介しましょう。【解説】上田ゆき子(日本大学医学部附属板橋病院東洋医学科外来医長)


【女性の尿トラブル】原因は骨盤のゆがみ?「仙骨カイロ」で排尿障害を改善

【女性の尿トラブル】原因は骨盤のゆがみ?「仙骨カイロ」で排尿障害を改善

私は、女性専門の出張整体をしていますが、年齢を問わず多いのが、尿のトラブルです。その原因の一つに、骨盤のゆがみがあります。【解説】山本あやの(出張整体「ゆくり」代表・整体師)


【医師解説】夜間頻尿・尿漏れの改善には、昼間に弾性ストッキングをはくこと―心臓病も予防できる

【医師解説】夜間頻尿・尿漏れの改善には、昼間に弾性ストッキングをはくこと―心臓病も予防できる

夜間頻尿の患者さんへのセルフケアとして、日中に着用する「弾性ストッキング」を勧めています。女性だけでなく、男性にもおすすめです。2週間もすると、多くの患者さんが、足のむくみが改善され、足が軽くなり、夜間の尿量も減少。体調がよくなり、手放せなくなるようです。【解説】曽根淳史(宮津康生会宮津武田病院院長)


尿の出が悪かったら【尿道狭窄症】を疑え!治療の現状は?どんな手術がある?

尿の出が悪かったら【尿道狭窄症】を疑え!治療の現状は?どんな手術がある?

尿道狭窄症は、ケガや炎症、手術の後遺症など、さまざまな原因によって尿道に狭くなった箇所ができてしまい排尿しにくくなる病気です。しかし、高い成功率で完治が期待できる「尿道形成術」が医療関係者にすらあまり知られていないのです。【取材】山本太郎(医療ジャーナリスト)、【解説】堀口明男(防衛医科大学校病院泌尿器科学講座講師)


最新の投稿


股関節の“今ここにある”痛み ― その場で消失する刺激点はココ!

股関節の“今ここにある”痛み ― その場で消失する刺激点はココ!

左右のバランスの崩れは、腰、股関節、ひざなど、さまざまな関節に痛みを引き起こします。そうはいっても、一朝一夕には、足の不自然な動きを矯正することはできません。「今ここにある痛み」をどうにかしたい…!そんな時に痛みを和らげる「足の甲刺激」のやり方をご説明いたします。【解説】石橋輝美(大津接骨院院長)


酢ショウガのおかげで喘息の息苦しさが緩和され、高いコレステロール値も低下

酢ショウガのおかげで喘息の息苦しさが緩和され、高いコレステロール値も低下

私はもともと呼吸器系が弱く、60歳過ぎには、カゼをこじらせてぜんそくになりました。ぜんそくで入院したのは3回。平成23年以降は落ち着きましたが、それでも無理をしたり、疲れがたまったりすると、息苦しさを感じていました。【体験談】主婦・75歳 松本恵美子(仮名)


仕事を辞めなくては…と思うほどのひじや肩の痛みが「酢ショウガ」の常食で消えた

仕事を辞めなくては…と思うほどのひじや肩の痛みが「酢ショウガ」の常食で消えた

特につらかったのは、ひじです。湿布をはってしのいでいましたが、いよいよ耐えられなくなってきました。「仕事を辞めなければならないか」と悩んでいた今年の春頃、書店で「酢ショウガ」の本を見つけました。【解説】清掃業・65歳 羽柴幸子


原因不明の足のしびれが改善 「酢ショウガ」健康法でひざの痛みも解消

原因不明の足のしびれが改善 「酢ショウガ」健康法でひざの痛みも解消

ズンズンとした足のしびれに悩まされるようになったのは、2~3年前のことです。しびれは特に夜にひどくなり、体に響いて、よく眠れません。特に思い当たる原因もなく、困っていました。【体験談】主婦・68歳 村上れい子


【酢ショウガの作り方】私も10kgやせた冷え取り調味料 血管も骨も強くなる!

【酢ショウガの作り方】私も10kgやせた冷え取り調味料 血管も骨も強くなる!

体が冷えると血管が収縮し、全身の血流が悪くなります。その結果、内臓の働きが衰え、便秘、肌荒れ、頭痛、肩こりなどの不調や、高血圧、糖尿病などの病気を招きます。この、冷え→血流障害→冷えの悪化、という悪循環は、老化に拍車をかけることをご存じでしょうか。【解説】石原新菜(イシハラクリニック副院長)


ランキング


>>総合人気ランキング