【眼科医】蒸しタオルで目を温めると老眼や視力が改善―過矯正は眼精疲労の原因

【眼科医】蒸しタオルで目を温めると老眼や視力が改善―過矯正は眼精疲労の原因

見たいものにピントを合わせる「目の調節力」は25歳を過ぎる頃からどんどん低下し、30代後半から近くが見えづらくなる老眼になってきます。目の疲れや調節力の低下を改善するためにお勧めなのが、目の周囲を温める「温熱療法」です。私は、温熱療法の効果を多くの実験で確認しています。【解説】高橋洋子(みたにアイクリニック院長)


目を温めることの効果を多くの実験で確認

 見たいものにピントを合わせる「目の調節力」は25歳を過ぎる頃からどんどん低下し、30代後半から近くが見えづらくなる老眼になってきます。

 目の疲れや調節力の低下を改善するためにお勧めなのが、目の周囲を温める「温熱療法」です。私は、温熱療法の効果を多くの実験で確認しています。

 ある実験では、老眼の症状を自覚し始める30代後半から50代の20名に参加してもらい、市販の使い捨てカイロを水蒸気が出るように改良したアイマスクで、目の周りを10分間温めてもらいました。そして、ただ目を閉じただけの場合との比較を行いました。

 すると、目を温めることの効果が明らかに現れ、その効果は目を温めた直後はもちろん、90分後も持続していることがわかりました。

 具体的には、50歳代(平均年齢54・2歳)のグループでは、平均で0・4D(ジオプター)の調節力改善が見られました。ジオプターは屈折力を表す単位で、焦点の合う距離をmで表したものの逆数です。
 例えば、2・5Dから2・9Dへ0・4Dの改善をした人ならば、目から40㎝離さないと焦点が合わなかった老眼の状態が、約34㎝でピントが合うようになったということです。

 30〜40歳代(平均年齢39・3歳)のグループでは、平均で0・5Dの改善がみられました。こちらも、例えば2・5Dから3・0Dに変化したケースで考えると、40㎝の距離から約33㎝まで近づけても、ピントが合った状態で見えるようになったことを意味します。

 この実験で、0・5Dの調節力の改善が現れた人の割合は、30〜40歳代で約6割、50歳代でも約3割にのぼりました。

毎日就寝前に目を温めて目の調節力の低下を防止

 目を一度温めただけでも、先の実験のような効果が期待できますが、温熱療法を毎日の習慣にすると、目の調節力の改善にいっそう効果的です。

 40歳前後(平均年齢39・7歳)の10名に、毎晩寝る前にアイマスクで目を10分間温めてもらい、翌日の夕方4時に視力の調節力を測定する実験を行いました。その結果、開始後2週間目から夕方の調整力が改善し始め、その効果は8週間目まで継続しました。

 つまり、毎日目を温めていれば、その効果は翌日まで持続して、夕方の目の疲れや視力の低下を防ぐことができるのです。

 こうした目の温熱療法を皆さんがご自宅で行うには、蒸しタオルを利用するといいでしょう。誰でも簡単に実践できます。

 また、目の温熱療法は、眼精疲労やドライアイの改善にも有効です。
 温熱刺激によって副交感神経が優位になると、目の周囲もリラックスします。そのため、毛様体筋の血流が改善したり、〝緊張してこり固まった状態〟だった毛様体筋が働きやすくなったりします。すると、近くが見えやすくなるなどの調節力の回復がなされたり、目の疲労感が取れたりするわけです。
 また、蒸しタオルなどで目を温めると、まぶたの中にある脂腺(マイボーム腺)から脂が分泌されやすくなります。この脂分が、眼球の表面で涙の上を覆うように膜を形成し、涙の蒸発を防ぐので、ドライアイが改善するわけです。

 最後に、目の疲労感については、1つお伝えしたいことがあります。
 最近、メガネやコンタクトレンズの過矯正が原因で、目の疲れを訴える人が増えています。ひとことで言えば、「度が強すぎる」ということです。

 過矯正は、強制的にピントを遠方に合わせた状態にしていることになります。ですから、日常生活でよく見る近距離をはっきり見るためには必要以上の調節力を要することになり、目の負担が大きくなります。

 蒸しタオルの温熱療法とともに、メガネやコンタクトの度数のチェックも忘れないようにしましょう。

高橋洋子
1985年、東京女子医科大学卒業。86年、東京慈恵会医科大学眼科学講座に入局後、同助手、東急病院眼科医長、南青山アイクリニック勤務、米国ハーバード大留学、同志社大学アンチエイジングリサーチセンター准教授、品川近視クリニック勤務などを経て、みたにアイクリニックを2011年に開設。医学博士。日本眼科学会認定専門医。

これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに掲載しています。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

これらの記事にある情報は、効能や効果を保証するものではありません。専門家による監修のもと、安全性には十分に配慮していますが、万が一体調に合わないと感じた場合は、すぐに中止してください。

この健康情報のエディター

関連する投稿


【疲れ目】湯船のへりで「首の後ろ」を押すと…

【疲れ目】湯船のへりで「首の後ろ」を押すと…

皆さんは、仕事や読書などで、目が疲れてきたり、肩がこったりしたときに、首の後ろを押したりもんだりすることはありませんか。無意識に取っているそれらの行動は、実は非常に理にかなっていることなのです。【解説】本部千博(ほんべ眼科院長)


【新常識】スモークサーモン&レモンで眼精疲労を解消!ピント調節力もアップ!

【新常識】スモークサーモン&レモンで眼精疲労を解消!ピント調節力もアップ!

人の目は、35歳くらいからピントを合わせる調節力が低下してきます。これが老眼の始まりです。老眼や眼精疲労を放っておくと、深刻な事態になることもあるのです。最近の研究で、「アスタキサンチン」の摂取で、眼精疲労が抑えられることがわかりました。目によい栄養素を積極的に取りましょう。【解説】梶田雅義(梶田眼科院長)


ガムをかむと目の機能が活性化!眼圧が下がり老眼も改善すると最新研究で判明

ガムをかむと目の機能が活性化!眼圧が下がり老眼も改善すると最新研究で判明

目の血流は、目の健康に深くかかわっています。白目の血流がよい状態に維持されていることは、ピントや明るさを調節する目の筋肉の機能も間接的に保たれていることを意味します。【解説】浅川 賢(北里大学医療衛生学部視覚機能療法学助教)


ドライアイの原因は『3大コン』―コンタクトを外した後「目」のケアしてる?

ドライアイの原因は『3大コン』―コンタクトを外した後「目」のケアしてる?

数ある目の病気の中で、近年、特に急増しているのがドライアイです。ドライアイの3大要因は、パソコン・エアコン・コンタクトレンズの「3大コン」といわれています。3大コンのとともに、ドライアイに悩む人が増え始めました。当院ではドライアイに悩む患者さんに「目を温める」ことを指導しています。【解説】松本拓也(松本眼科院長)


【湿布療法】老眼、かすみ目、飛蚊症、のどの痛み対策に効果!顎関節症、耳閉感も改善!

【湿布療法】老眼、かすみ目、飛蚊症、のどの痛み対策に効果!顎関節症、耳閉感も改善!

湿布療法は、七つあります。その中で、小指湿布とひじ・腕湿布は、首から上の症状に効きます。「小指湿布」は幅広い症状に効き、しかも強力な効果があります。しかし、その小指湿布をもってしても効果が得られないケースがあります。それは、小指の筋肉が、非常に硬くなっている人です。【解説】安田 譲(安田医院院長)


最新の投稿


股関節の“今ここにある”痛み ― その場で消失する刺激点はココ!

股関節の“今ここにある”痛み ― その場で消失する刺激点はココ!

左右のバランスの崩れは、腰、股関節、ひざなど、さまざまな関節に痛みを引き起こします。そうはいっても、一朝一夕には、足の不自然な動きを矯正することはできません。「今ここにある痛み」をどうにかしたい…!そんな時に痛みを和らげる「足の甲刺激」のやり方をご説明いたします。【解説】石橋輝美(大津接骨院院長)


酢ショウガのおかげで喘息の息苦しさが緩和され、高いコレステロール値も低下

酢ショウガのおかげで喘息の息苦しさが緩和され、高いコレステロール値も低下

私はもともと呼吸器系が弱く、60歳過ぎには、カゼをこじらせてぜんそくになりました。ぜんそくで入院したのは3回。平成23年以降は落ち着きましたが、それでも無理をしたり、疲れがたまったりすると、息苦しさを感じていました。【体験談】主婦・75歳 松本恵美子(仮名)


仕事を辞めなくては…と思うほどのひじや肩の痛みが「酢ショウガ」の常食で消えた

仕事を辞めなくては…と思うほどのひじや肩の痛みが「酢ショウガ」の常食で消えた

特につらかったのは、ひじです。湿布をはってしのいでいましたが、いよいよ耐えられなくなってきました。「仕事を辞めなければならないか」と悩んでいた今年の春頃、書店で「酢ショウガ」の本を見つけました。【解説】清掃業・65歳 羽柴幸子


原因不明の足のしびれが改善 「酢ショウガ」健康法でひざの痛みも解消

原因不明の足のしびれが改善 「酢ショウガ」健康法でひざの痛みも解消

ズンズンとした足のしびれに悩まされるようになったのは、2~3年前のことです。しびれは特に夜にひどくなり、体に響いて、よく眠れません。特に思い当たる原因もなく、困っていました。【体験談】主婦・68歳 村上れい子


【酢ショウガの作り方】私も10kgやせた冷え取り調味料 血管も骨も強くなる!

【酢ショウガの作り方】私も10kgやせた冷え取り調味料 血管も骨も強くなる!

体が冷えると血管が収縮し、全身の血流が悪くなります。その結果、内臓の働きが衰え、便秘、肌荒れ、頭痛、肩こりなどの不調や、高血圧、糖尿病などの病気を招きます。この、冷え→血流障害→冷えの悪化、という悪循環は、老化に拍車をかけることをご存じでしょうか。【解説】石原新菜(イシハラクリニック副院長)


ランキング


>>総合人気ランキング