【専門医】糖尿病は3kgやせれば治る - 血糖値を下げるのではなく体重を少し落とすことを心掛けよ

【専門医】糖尿病は3kgやせれば治る - 血糖値を下げるのではなく体重を少し落とすことを心掛けよ

インスリンは、膵臓から分泌されるホルモンで、血液中の糖分を取り込み、エネルギー源として体に蓄積する役割を担っています。食べれば食べるほどインスリンがたくさん分泌され、血液中の糖分量が調整されると同時に、エネルギーが体にため込まれます。つまり、太っていくのです。【解説】吉田俊秀(島原病院 肥満・糖尿病センター長)


なぜ日本人には糖尿病が多いのか?

 私はこれまで、5000人以上の患者さんに、減量指導を行ってきました。そのうち糖尿病の人は、境界型を含めると約2000人はいたでしょう。

 日本人は、欧米人に比べてインスリンの分泌能力が弱いといわれます。インスリンは、膵臓から分泌されるホルモンで、血液中の糖分を取り込み、エネルギー源として体に蓄積する役割を担っています。

 食べれば食べるほどインスリンがたくさん分泌され、血液中の糖分量が調整されると同時に、エネルギーが体にため込まれます。つまり、太っていくのです。

 しかし、日本人の場合、インスリンを過剰分泌できるのは、10年程度です。「日本人はどんなに太っても、せいぜい100㎏止まり」といわれるのは、10年間しか太れないからです。

 がんばってインスリンを分泌し続けた膵臓は、10年で力尽き、糖分をエネルギーに変えることができなくなります。これが、糖尿病です。

 一方、欧米人の場合、インスリンの過剰分泌は30年続くといわれます。つまり、30年間太り続けられるのです。欧米に、200㎏級の巨漢が珍しくないのは、そのためです。

 インスリンを過剰分泌できる期間が短い日本人は、欧米人に比べ、糖尿病を発症しやすい民族といえるでしょう。

 加えて、日本人には、「肥満遺伝子」を持つ人が、欧米人に比べて3倍も多いことがわかっています。肥満遺伝子とは、摂取したエネルギーを最大限に吸収し、消費エネルギーを最小限におさえる遺伝子です。飢餓と闘っていた時代に、最小限のエネルギーで生き延びられるよう変異した遺伝子で、我々が祖先から受け継いだ遺伝的特性です。

 飽食の現代では、その遺伝子が肥満を招く結果になっています。肥満しやすいと、当然、糖尿病にもなりやすくなります。

 日本人に糖尿病が多いことには、こうした背景があるのです。

血糖値だけでなく全身を管理できる!

 とはいえ、あきらめる必要はありません。
糖尿病は、たった3〜5%体重を落とすだけで、改善する可能性があるのです。
なぜなら、エネルギーや糖分のとりすぎを改め、血糖値が下がってくると、糖尿病の初期の人なら、それだけでインスリンの分泌がよくなるからです。

 また、減量によって体脂肪がへると、脂肪細胞から分泌されるインスリン抵抗性ホルモン(インスリンの働きを悪くするホルモン)がへり、インスリンが正常に働くようになるのです。

 これらの効果を得るには、体重をたった3〜5%落とすだけでよいことがわかっています。
体重が100㎏の人なら3〜5㎏、80㎏の人なら2・5〜4㎏の減量でいいのです。

 いかがですか? これなら実現可能だと思いませんか?
ただし、減量によって糖尿病が改善するのは、次のタイプの人です。
●糖尿病を発症して2年以内
●肥満歴10年以内
●両親に糖尿病遺伝歴がない
●検査でインスリン分泌能力があると確認できている

 私は、この条件に当てはまる人を180人集め、減量指導を行いました。その結果、体重が3〜5%減少すると、過去1〜2ヵ月の血糖状態を示すヘモグロビンA1cが、2〜3%下がることがわかったのです。
ヘモグロビンA1cの基準値は、4・6〜6・2%です。例えば、ヘモグロビンA1cが9%の人なら、だいたい6〜7%まで下がります。

 ここまで下がれば、糖尿病の内科的症状はかなり改善されます。

 さらに、糖尿病であるかどうかを判定するブドウ糖負荷試験を行ったところ、180人中、体重が15%へった32名は「糖尿病でない」と判定されたのです。

 日本人の95%は、インスリン分泌能力があるにもかかわらず、その量が少なかったり、効きが悪くなっていることで糖尿病になっている「2型糖尿病」です。この初期段階の人であれば、減量によって糖尿病が治る可能性は、大いに期待できます。

 一方、日本人には少ないのですが、体内でインスリンが全く分泌されない「1型糖尿病」の人は、残念ながら減量では治りません。インスリン注射が必要です。

 また、2型糖尿病でも、発症してから長い年月がたっている場合は、膵臓がかなり疲弊し、インスリンの分泌能力が落ちているため、治癒は困難です。

 しかし、減量することで血管や神経の傷害リスクをへらし、心臓病、脳卒中、失明などの合併症を予防することは可能です。決して無意味ではないのです。
 にもかかわらず、多くの医師は、血糖値にばかり目を向けます。目的が、糖尿病の改善ではなく、血糖値の降下になっているため、すぐに薬やインスリン注射を勧めます。

 前述したように、インスリンは体にエネルギーを蓄えるホルモンです。肥満して糖尿病を発症している人にインスリンを打てば、血糖値は下がっても、肥満はさらに加速し、合併症のリスクは高まるいっぽうです。

 血糖値だけでなく、全身を管理できる治療でなければ意味がないと、私は考えています。そして、それは数パーセントの減量で可能なのです。

吉田俊秀先生
京都府立医科大学客員教授・医学博士。米国で、肥満治療の権威であるBray博士に師事。『日本人が一番やせるダイエット』『肥満専門医が教える成功率93%ダイエット』(ともにマキノ出版)など著書多数。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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