【腸の専門家】自身の腸年齢を20歳若返らせ、14kgやせに成功した極意

【腸の専門家】自身の腸年齢を20歳若返らせ、14kgやせに成功した極意

太りやすい体質は腸からきている─。腸内細菌を研究している私にはあたりまえのことですが、ほとんどの人はこうした認識を持っていません。そのため、便秘にむとんじゃくで、何日も排便がないまま放置しています。【解説】辨野義己(理化学研究所インキュベーション推進センター特別招聘研究員)


腸内環境がよくなり太りにくい体質に一変

 太りやすい体質は腸からきている─。腸内細菌を研究している私にはあたりまえのことですが、ほとんどの人はこうした認識を持っていません。そのため、便秘にむとんじゃくで、何日も排便がないまま放置しています。すると、腸内環境が悪くなって、太りやすくなります。腸内環境と肥満の関係を、私は自分の体験で実証しました。

 50歳のころの私は、身長が168㎝で体重が86㎏、ウェストは90㎝を超え、体脂肪率は33%もありました。体調も最悪で、コレステロール値が高くて要治療。ひざや腰も痛み、春になると、20代から続く花粉症で目も鼻もぐじゃぐじゃでした。

 決定的だったのは、腸内環境の悪さでした。腸内細菌を調べると、クロストリジウムという悪玉菌が異様にふえていたのです。これは年を取るとふえる菌で、このままいけば大腸ガン間違いなし。
 恩師から「大腸ガンを制御する腸内細菌の研究」を託されてこの道に入った私が、大腸ガンでは冗談にもなりません。そこで、一念発起、私はダイエットを始めました。

 そのとき知人からアドバイスされたのが、「嫌いなものを食べなさい」でした。私の嫌いなものといえば、ヨーグルトと野菜です。反対に大好きなのが肉。肉なら毎日食べても飽きません。思えば、肉中心の食事と運動不足の日々が、この肥満をもたらしたのです。

 私は泣く泣く、毎日ヨーグルトと野菜を食べました。ヨーグルトは50gから始め、やがて2年後には500g食べられるようになりました。野菜も朝からスープなどにしてたっぷりとりました。同時に、毎朝1時間のウォーキングと筋トレにも励みました。
 2年後、体重は72㎏に落ち、体脂肪率も20%前後。コレステロール値は正常域に入り、腰やひざの痛みもなくなりました。驚いたのは、花粉症が劇的によくなったことです。それが、嫌いなものを食べ続ける強いモチベーションになりました。

 肥満の解消とともに、便通は大改善。朝起きて1本、朝食後に2本、夕方1本と、決まった時間にバナナ状の便がするするっと気持ちよく出るのです。腸内細菌を調べると、異様にふえていた悪玉菌はすっかり姿を消し、腸年齢が20歳も若返っていました。

 このように、毎日大量の便を出して腸内環境がよくなったことが、私の体質を変えました。
それ以来、太りにくくなり、66歳になる今も、体形はほとんど変わっていません。

300gのヨーグルトが善玉菌の増殖を助ける

 腸内環境が腸の病気に関与することはよく知られていますが、最近、全身的な疾患にも大きな影響を与えていることがわかってきました。アレルギー、乳ガン、肥満、アルツハイマー病などは、腸内環境と深い関係があります。

 とりわけ注目されているのが、肥満です。米国で肥満の人の腸内細菌の解析をしたところ、「やせ」と「肥満」で腸内細菌の型が違うことや、太っている人がやせると、やせた人の腸内細菌に近づくことなどがわかってきました。
 肥満は、糖尿病やメタボリックシンドロームとも深い関係がありますから、腸内環境で肥満を解消できれば、画期的です。

 私の体験でもわかるように、腸内環境を変えられるのは食べ物だけです。つまり、腸内細菌にどんなえさを与えるかです。もうおわかりでしょうが、それは次の二つです。

❶ 食物繊維をしっかりとる
 一般に大便の成分は8割が水で、2割が固形分です。その固形分の3分の1が食べカス、3分の2がはがれた腸の粘膜や腸内細菌です。食べカスの材料は食物繊維ですから、便を作るには食物繊維が必要です。
 食物繊維をとって便のかさがふえると、腸内の有害物質が吸着・排出されて、腸の中がきれいになります。また、食物繊維は善玉菌のえさになり、善玉菌をふやして腸内環境をよくします。
 食物繊維は野菜に豊富ですので、肉に偏った食事では必然的に野菜不足になります。それが腸内環境を悪化させます。さらに、動物性脂肪は悪玉菌のえさになり、悪玉菌をのさばらせる結果になります。この悪玉菌が出す毒性物質がふえると、エネルギー代謝が影響を受けて、太りやすくなるのです。

❷ ヨーグルトを1日300g食べる
 ヨーグルトを食べても、残念ながらヨーグルトの中の乳酸菌やビフィズス菌は、腸の中に棲み着きません。腸にいたとしても、1〜2日くらいです。しかし、腸の中で発酵して有機酸を作り、腸内を酸性にしてくれます。それがもともと棲んでいる善玉菌の増殖を助け、悪玉菌の活動を抑制します。ですから、結果的に善玉菌がふえて、腸内環境がよくなるのです。

 こうして食生活を改善し、さらに運動をすると、排便が驚くほどよくなります。ウォーキングや階段の上り下りをすると、骨盤と腸の間にある腸腰筋が鍛えられ、便を押し出す力が強くなるのです。
 やせるために、食事をとらない人、ヨーグルトだけを食べる人がいます。これは全くの逆効果です。ご飯や野菜、特に根菜類、豆類、イモ類、キノコ類、海藻類などを食べなければ、便が作られません。むしろ便秘の原因になり、腸内環境を悪化させてしまうのです。

辨野義己先生
1948年、大阪府生まれ。酪農学園大学獣医学科卒業。農学博士。専門は、腸内環境学、微生物分類学。腸内細菌と病気の関係を研究し、DNA解析により多数の腸内細菌を発見。著書に『腸を鍛えれば頭がよくなる』(マキノ出版)など多数。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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