血液サラサラよりも血管の弾力が大切 名医が教える【血管病】前兆はこれだ

血液サラサラよりも血管の弾力が大切 名医が教える【血管病】前兆はこれだ

日本人の死因のうち、心筋梗塞と脳卒中で死因全体の30%。3人に1人は、血管の病気で亡くなっていることになります。心筋梗塞と脳卒中はいずれも、血管が硬く、もろくなる動脈硬化が原因で引き起こされる「血管病」です。【解説】島田和幸(地方独立行政法人新小山市民病院院長)


島田和幸
1973年、東京大学医学部卒業。同大学第三内科、米国タフツ大学、ニューイングランド・メディカルセンター、高知医科大学などを経て、2006年、自治医科大学附属病院院長。2012年より現職。血管病の予防と治療を専門とする循環器内科にて、長年、臨床と教育に携わる。著書に『一生切れない、詰まらない「強い血管」をつくる本』(永岡書店)がある。

1日10万回も拡張・収縮する

 日本人の死因のうち、心筋梗塞と脳卒中で死因全体の30%。3人に1人は、血管の病気で亡くなっていることになります。
 心筋梗塞と脳卒中はいずれも、血管が硬く、もろくなる動脈硬化が原因で引き起こされる「血管病」です。

 動脈硬化は、その名のとおり、動脈で生じます。1日に10万回もの鼓動をくり返す心臓に合わせ、動脈も拡張と収縮をくり返し、全身に血液を送っています。当然、動脈にかかる負担は多大です。年齢を重ねるうちに弾力を失い、硬く、もろくなってしまうのです。

 その動脈硬化に拍車をかけるのが、活性酸素(老化の元凶物質)による体内の酸化です。
 血液中には、脂質の一種であるコレステロールを、全身の細胞に運搬する「LDLコレステロール」が流れています。
 LDLコレステロールは、活性酸素の攻撃を受けると、時間の経過とともに、「酸化LDL」という物質に変化します。それらがプラーク(粥状の集塊)となって血管壁にたまり、血管の内腔を狭め、その結果、動脈硬化はさらに進むのです。
 プラークが血圧の上昇などによって破れると、これをふさぐために血栓(血の塊)ができ、それが血管の内腔に詰まり、血流が止まって、心筋梗塞や脳梗塞を発症させるのです。

 わかりやすくするために大づかみで説明しましたが、このような機序で、心筋梗塞や脳卒中は引き起こされるのです。
 こうしたことが広く知られるようになり、血管病の予防に取り組む人も増えました。
 そうしたなかで大流行になったのが、「血液をサラサラにする」という健康法です。

高血圧、高血糖、高脂血症でもあきらめない

 テレビや雑誌で頻繁に取り上げられたこともあって、「血液をサラサラにすれば血管病は防げる」と思っている人は少なくありません。しかし、それだけでは血管病を根本的に予防することはできません。

 血液を水道水、血管を水道管にたとえてみましょう。
 水質基準を満たしている水道水であっても、水道管が腐食していれば、そこを流れる水道水は汚染されてしまいます。血液と血管の関係も同じことがいえます。血液のケア以上に、血管のケアが必要なのです。

 もっとも、血管の健康度よりも、「血液サラサラ」のほうが先に注目されたのには理由があります。これまで、一般的な健康診断でわかるのは、血糖値やコレステロール値など、「血液の健康度」だったからです。
 それが、ここ数年で大きく変わりました。今、医学界では、血液よりも「血管全体の健康度」に注目が集まっています(さまざまな検査方法も出現しています)。まさにこれからは、血液だけでなく、血管全体をトータルで見ることが、血管病を防ぐ重要なカギなのです。

 すでに、高血圧、高血糖、高脂血症、動脈硬化を医療機関から指摘されている人も、あきらめることはありません。
 今からでも血管を若返らせ、血管病を防ぐことは可能です。

→【関連記事】疲れ果てた血管、こうすれば必ず再生できる!

血管病の発作サイン

以下のようなサインが出たら、家族や知人、救急車を呼ぶなどして、早急に病院で処置を受けることが必要です。

【心筋梗塞】
●運動中や睡眠中、胸をえぐられるような痛みが30分以上続く(数分で治まるときは狭心症が疑われる)。
●胸の中央部だけでなく、みずおち、肩や腕、首やあごにも痛みが及ぶ場合がある。

【脳卒中(脳出血・脳梗塞)】
●片側の顔や手足が動かない。
●片側の目が見えない。
●しゃべれなくなる。
●言葉が理解できない。
●激しい頭痛や吐き気が起こる。

→【関連記事】血管を強くする食べ物はコレだ!

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

関連する投稿


【いきむな危険!】循環器医師が「スムーズに排便する方法」を紹介する理由

【いきむな危険!】循環器医師が「スムーズに排便する方法」を紹介する理由

循環器の医師である私が「スムーズに排便する方法」を紹介するには理由があるのです。高齢者だけでなく若い人でもトイレで倒れることがあり、トイレでの事故は 非常に多いのです。便が出ずにいきむと、血圧が上がります。ここではトイレで行う快便のツボをご紹介します。【解説】小谷嘉一(小谷クリニック院長・医学博士)


【血圧を下げる】ポイントは「ふくらはぎを温める」こと 生理痛が緩和され腰痛も改善

【血圧を下げる】ポイントは「ふくらはぎを温める」こと 生理痛が緩和され腰痛も改善

昔からよく「足を冷やすな」といわれますが、あなたはこの「足」がどこを指すか、おわかりになりますか?足の裏、足の指先と考える人が多いかもしれませんが、本当に冷やしてはいけない場所は、「ふくらはぎ」なのです。【解説】関 博和(せき接骨院院長)


「冬の第1月曜日の朝」が退職しても危険な理由!

「冬の第1月曜日の朝」が退職しても危険な理由!

心筋梗塞などの心臓病が最も起こりやすいのは「冬の第1月曜日の朝」といわれています。体の中で24時間の時を刻む時計遺伝子があることが知られています。最新の研究で高血圧にも、この遺伝子が深く関わっているとわかってきました。時計遺伝子に関する新しい知識をぜひ生かしてみてください。【解説】大塚邦明(東京女子医科大学名誉教授 )


【新常識】名医が考案!血管を若返らせるウォーキング法はこれ

【新常識】名医が考案!血管を若返らせるウォーキング法はこれ

運動によって血流がよくなると、血流そのものが刺激になって、血管の内皮細胞が活性化します。私がお勧めする運動法を3つご紹介しましょう。【解説】島田和幸(地方独立行政法人新小山市民病院院長)


【専門医】糖尿病は3kgやせれば治る - 血糖値を下げるのではなく体重を少し落とすことを心掛けよ

【専門医】糖尿病は3kgやせれば治る - 血糖値を下げるのではなく体重を少し落とすことを心掛けよ

インスリンは、膵臓から分泌されるホルモンで、血液中の糖分を取り込み、エネルギー源として体に蓄積する役割を担っています。食べれば食べるほどインスリンがたくさん分泌され、血液中の糖分量が調整されると同時に、エネルギーが体にため込まれます。つまり、太っていくのです。【解説】吉田俊秀(島原病院 肥満・糖尿病センター長)


最新の投稿


【医師】私はコレで糖尿病を克服した! ― 46kgの減量に成功した辛くない食事法

【医師】私はコレで糖尿病を克服した! ― 46kgの減量に成功した辛くない食事法

私は幼少時から、おいしいものが大好きで、物心がついたころから太っていました。大人になってお酒を覚え、ますます肥満に拍車がかかって、ピーク時には、身長が181㎝で体重が146㎏もあったのです。当然ながら糖尿病になり、血糖値を下げるインスリン注射をしないといけない毎日でした。【解説】内場 廉(長野市国保大岡診療所所長)


【奥で響くサイレン音】耳もみで耳鳴りとふらつきを解消

【奥で響くサイレン音】耳もみで耳鳴りとふらつきを解消

朝早く布団から起き上がったその瞬間、頭がふらついて倒れそうになりました。めまいとも立ちくらみとも違う、初めての経験で、「これはおかしい」と思いました。【体験談】福島県◎86歳◎主婦 佐藤トヨ子


ストレスを取り耳鳴り、めまい、難聴の症状に効果「耳の3点もみ」公開

ストレスを取り耳鳴り、めまい、難聴の症状に効果「耳の3点もみ」公開

首や肩のコリは、耳の後ろと鎖骨を結ぶ、胸鎖乳突筋がこることで血流が悪化し、発症しやすくなります。胸鎖乳突筋がこると、耳がついている側頭骨周辺の筋肉もかたくなります。その結果、側頭骨と後頭骨の間を通る神経や血液の流れが悪化し、耳鳴りやめまいが起こりやすくなるのです。【解説】村山哲郎(戸塚鍼灸院院長)


【キーン、ジージー】幼少期からの耳鳴りが「耳たぶさすり」で改善

【キーン、ジージー】幼少期からの耳鳴りが「耳たぶさすり」で改善

私は幼いころから、耳鳴りの症状がありました。今思えば、そのきっかけとなったのは小学生のときに発症した中耳炎でしょう。【体験談】愛知県◎41歳◎主婦 金田やすえ(仮名)


【実験で判明】ココアは強力な温めドリンク ― 不眠やうつ症状改善にも有効

【実験で判明】ココアは強力な温めドリンク ― 不眠やうつ症状改善にも有効

ココア豆乳は、体の冷えや自律神経の乱れに悩んでいるかたにお勧めしたい飲み物です。冷えは今や女性特有の症状ではなく、子どもや男性まで、年齢や性別を問わず見られる症状になりました。東洋医学では、「冷えは万病の元」とも言われ、体の不調を知らせるシグナルだと捉えられています。【解説】南雲久美子(目黒西口クリニック院長) 


ランキング


>>総合人気ランキング