【医師解説】夜間頻尿を自分で治す 寝る前の「ふくらはぎマッサージ」で改善

【医師解説】夜間頻尿を自分で治す 寝る前の「ふくらはぎマッサージ」で改善

夜間頻尿とは、夜の睡眠中に1回以上、排尿のために起きる症状です。夜間頻尿の原因は「足のむくみ」にあるケースが多いのです。夜間頻尿に悩んでいる人に、お勧めの方法があります。それは、夕食後のくつろいだ時間帯に、ふくらはぎをマッサージすることです。【解説】石井泰憲(石井クリニック院長)


ふくらはぎのむくみが夜の多尿を引き起こす

 夜間頻尿とは、夜の睡眠中に1回以上、排尿のために起きる症状です。不快なだけでなく、睡眠不足を招いたり、体調をくずしたりするもとにもなります。
 特に高齢者の場合、暗い中トイレに行くことで、転倒によるケガや骨折のリスクも高まります。夜間頻尿は高齢になるほど増えるので、なおさらこうしたリスクが問題になります。

 夜間頻尿には、

①夜の尿量が多いタイプ

②膀胱の容量が小さいタイプ

③眠りが浅い(睡眠障害から頻尿になっている)タイプ

 以上の三つがあります。このうち最も多いのが、①の「夜の尿量が多いタイプ」です。

 このような夜間頻尿に悩んでいる人に、お勧めの方法があります。それは、夕食後のくつろいだ時間帯に、ふくらはぎをマッサージすることです。
「夜間頻尿とふくらはぎに、いったいどんな関係が?」と思われるかもしれませんが、実はこの両者には深い関係があります。

 私たちは、多くの場合、日中、立ち姿勢や座り姿勢で過ごします。すると、重力によって血液は下のほうにたまりがちになります。夕方になるとふくらはぎや足がむくむのは、そのためです。

 ところが、歩いたり運動したりしてふくらはぎを使うと、筋肉が収縮と弛緩をくり返すことで、血液の戻りがよくなる「筋力ポンプ」というしくみが働きます。
 静脈には、動脈のような弾力がない代わりに、逆流を防ぐ弁がついています。そのため、周囲の筋肉が収縮・弛緩をくり返すと、自然に心臓方向への血液の戻りが促されるのです。

 ふくらはぎには、腓腹筋とヒラメ筋という二つの大きな筋肉があるので、人体で最も重要な筋肉ポンプの役割を果たしているのです。「足は第二の心臓」といわれるのもそのためです。

 そもそも、血液の70%は下半身にあり、そのほとんどが足にあるので、ふくらはぎの筋肉ポンプは非常に大切なのです。
 ところが、この大切なふくらはぎの筋肉ポンプは、年齢とともに衰えます。年を取ると筋力と活動性が低下し、静脈の弁も弱るので、どうしても筋肉ポンプが衰えるのです。すると、足がむくみやすくなるとともに、夜間の尿量が増えてきます。

 尿は、血液をもとに腎臓で作られます。ですから、血流が悪かったり、足がむくんだりしているときは、尿が効率よく作られません。腎臓では血液を待っているのに、その多くが、ふくらはぎに停滞している状態です。

 この状態で、寝るために横になると、どうなるでしょうか。
 水が半分入っているペットボトルを思い浮かべてください。フタをしたまま横に倒すと、水は全体に平たく行き渡ります。

 これと同じで、私たちが体を横たえると、重力の影響がなくなって、血行がよくなります。その結果、腎臓への血流が増して尿が多く作られます。
 起きているときなら好ましい現象ですが、それが夜間に起こると夜間多尿となり、夜間頻尿を引き起こしてしまうのです。

足首から上に向かってマッサージをする

→お尻を温めて夜間頻尿を治す「仙骨カイロ」の記事はこちら

寝る前にむくみを尿に変えることが重要

 それを防ぐには、寝る2〜3時間前に、ふくらはぎのむくみを取って腎臓への血行を促し、しっかり尿を作ることが大事です。そうやって排尿してから寝れば、夜間に多尿にならず、夜間頻尿が防げるわけです。

 そのための最も手軽で効果的な方法が、夕食後にふくらはぎマッサージをすることです。
 夕食後に、足首から上に上にと水を流していくようなイメージで、適度な圧をかけながら、マッサージしましょう。気持ちよくもんだり、さすったりするのもよいでしょう。左右のふくらはぎで合計15〜30分ほど行うのが目安です。

 ただし、痛みを感じるほどの強さで行うと、筋肉や静脈の弁を傷めることがあるので要注意です。痛くない程度に、適度な圧をかけながら行いましょう。
 夕食後、横になり、座布団などを足の下に敷いて、足を高くして数十分過ごすのも、夜間頻尿対策としてお勧めです。

 寝る2〜3時間前にお風呂でゆっくり温まることも、同じ効果をもたらします。お風呂でふくらはぎのマッサージをすれば、さらによいでしょう。
 お風呂は寝る2〜3時間前に入るのがポイントで、寝る直前だと逆効果になるので気を付けましょう。夕方に軽くウオーキングするのも効果的です。

 なお、これらの対策法は、「夕方になるとふくらはぎがむくむ」という人に対してのものです。「朝起きたら、すでにむくんでいる」など、常にふくらはぎがむくんでいる人の夜間頻尿には効果がありません。
 こういう場合は、別の病気が隠れている恐れがありますので、医師の診察を受けてください。

夕食後に足を高くした状態で数十分横になるのもお勧め

石井クリニック院長
石井泰憲
1972年、長崎大学医学部を卒業し、東京大学医学部泌尿器科医局入局。埼玉社会保険病院泌尿器科部長、東京大学医学部非常勤講師(兼任)などを経て、2005年より現職。

これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに掲載しています。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

これらの記事にある情報は、効能や効果を保証するものではありません。専門家による監修のもと、安全性には十分に配慮していますが、万が一体調に合わないと感じた場合は、すぐに中止してください。

この健康情報のエディター

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