【下肢静脈瘤とは?】足の血管がボコッと浮き出る病気 初期症状は?何科に行けばよい?

【下肢静脈瘤とは?】足の血管がボコッと浮き出る病気 初期症状は?何科に行けばよい?

下肢静脈瘤とは、足の静脈が浮き出て、ふくらはぎ、ひざ裏、すねなどにこぶ状のものがボコボコとできる、足の血管の病気です。下肢静脈瘤を専門に治療する私のクリニックでは、セルフケアとしてゴキブリ体操を勧めることがあります。【解説】広川雅之(お茶の水血管外科クリニック院長・東京医科歯科大学血管外科講師)


軽度から中度の患者さんにお勧め

 あおむけに寝て、手足を上げてブラブラと揺する「ゴキブリ体操」は、自分で手軽に下肢(足)の血流をよくできる体操です。下肢静脈瘤を専門に治療する私のクリニックでも、患者さんに勧めることがあります。

 下肢静脈瘤とは、足の静脈が浮き出て、ふくらはぎ、ひざ裏、すねなどにこぶ状のものがボコボコとできる、足の血管の病気です。

 下肢静脈瘤の治療は、①静脈に硬化剤を注射する硬化療法、②静脈をワイヤーを使って引き抜くストリッピング手術などの手術療法、③レーザーで静脈を中から焼いて塞ぐ血管内治療、④生活習慣の改善や体操、弾性ストッキングの使用といった保存的治療、の四つです。

 ゴキブリ体操は、保存的治療に含まれるものです。特に、むくみの症状が出ている、軽度から中度の下肢静脈瘤の患者さんに勧めるようにしています。
 それにしても、このユニークな名前の体操が、なぜ下肢静脈瘤の保存的治療になるのか。その理由を、順を追って説明しましょう。

静脈血がスムーズに心臓へ戻るようになる

 下肢静脈瘤が足の血管の病気だということは前述しました。
 足の血管には、心臓から足に血液を送る動脈と、全身を巡って使い終わった血液を心臓に戻す静脈があります。
 足の静脈は、就寝中以外のほとんどの時間を、重力に逆らって上向きに流れています。
 その流れを逆流させないために、足の付け根のそけい部に
は、逆流を防ぐ弁がついているのです。

 残念なことに、遺伝や体質によって、この弁の強度がもともと弱い人がいて、そこに長時間の立ち仕事が続いたり、運動不足によって足の筋肉量が落ちたり、妊娠や出産を経験したりすることで、もろかった弁が壊れて機能しなくなります。
 すると、それまで弁によって上向きに流れていた静脈の血液が、下向きに逆流。足の随所に血液がうっ滞し、静脈が膨れてしまいます。膨らんで、それがこぶ状になると、特に女性の場合は、足の見た目がとても気になるわけです。

 一つ、誤解しないでいただきたいのは、この静脈瘤がほかの血管障害に波及したり、歩けないといった運動障害にまで進行したりすることはありません。

 ただ、心臓に戻れない血液が足にたまることで、強い不快症状が出ることがあります。
 足が重くなる、だるくなる、熱感が出る、就寝中に足がつるといった症状のほか、足の血流障害から、皮膚炎や湿疹などを起こし、かゆみを感じることもあるのです。
 ゴキブリ体操は、このような症状を改善に導きます。

 あおむけに寝て足を上げることで、足が心臓より高い位置になります。静脈がスムーズに流れるようになり、心臓への血液の戻りがよくなるのです。
 その状態のまま、天井に向かって上げた手足を小刻みに揺らすことで、その刺激が末梢の毛細血管の負担を減らし、心臓への血液の戻りをよりよくするのです。

 午後から、夜の就寝前までの時間は、足が最もむくみやすい時間帯です。この時間帯にゴキブリ体操を行うことで、下肢静脈瘤の症状の解消につながります。
 もちろん、ゴキブリ体操は、下肢静脈瘤の予防にも効果的でしょう。今はまだ症状が出ていなくても、加齢や生活習慣によって、いつ症状が現れるかわかりません。予備軍には、ぜひゴキブリ体操をお勧めします。

 そして、このゴキブリ体操は、下肢静脈瘤以外の「足のむくみ全般」の解消にも効果を発揮します。最近では、足に滞った血流を促し、むくみを改善する市販薬も販売されています。
 何年間も、人知れず、下肢静脈瘤や足のむくみに悩んできた人は多いはず、ぜひ、このゴキブリ体操をその改善に役立ててください。

→ゴキブリ体操のやり方はコチラ

広川雅之
1987年、高知医科大学卒業後、同大学第二外科入局。以降、ジョーンズホプキンス大学医学部、東京医科歯科大学血管外科助手を経て、2005年より現職。静脈の病気を専門とし、内視鏡的筋膜下穿通枝切離術(1999年)、日帰りストリッピング手術(2000年)、血管内レーザー治療(2002年)など、下肢静脈瘤の新しい治療法の研究・開発を行っている。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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