【めまい専門医】めまいを治す「ふくらはぎマッサージ」―ちょっとしたコツ

【めまい専門医】めまいを治す「ふくらはぎマッサージ」―ちょっとしたコツ

めまいは、どうして起こるのでしょうか。原因はいろいろありますが、いちばん大きな要因は「血流の悪さ」だと、私は考えています。【解説】坂田英明(川越耳科学研究所クリニック院長)


めまいの要因は血流障害

 めまいは、どうして起こるのでしょうか。原因はいろいろありますが、いちばん大きな要因は「血流の悪さ」だと、私は考えています。
 めまいは、耳(内耳)に起因するめまいと、脳に起因するめまいに大別できます。そのどちらも、根底にあるのは血流障害です。

 まず、内耳に起因するめまいについて考えてみましょう。内耳は、耳のいちばん奥にあります。ここには、音の振動を電気信号に変えて脳に伝える蝸牛や、平衡感覚をつかさどる三半規管、前庭などがあります。
 内耳は骨で囲まれており、その中にリンパ液が入っています。このリンパ液が過剰になり、内耳がむくんで起こる代表的な病気がメニエール病(めまいや吐き気の発作がくり返し起こる病気で、一般的には耳鳴りや難聴を伴う)で、「内リンパ水腫」ともいいます。
 リンパ液がたまって内耳がむくむと、耳がふさがれた状態になり、平衡感覚やバランス感覚が障害されて、めまいが起こります。
 この内耳のむくみをもたらすのが、血流障害です。血流が悪くなれば、リンパ液(体内の余分な水分や老廃物、毒素などを運び出す体液)の流れが滞り、むくみが生じてきます。

 一方、脳に起因するめまいにも、血流が深く関係します。
 脳に行く動脈には、内頸動脈と椎骨動脈というものが2本ずつあります。そのうちの椎骨動脈は、首の後ろ側の頸椎を通って脳に行ったあと1本に合流し、脳底動脈になります。
 脳底動脈は脳内で枝分かれし、平衡感覚に関与している小脳や脳幹などにも血液を送っています。これらの血管が詰まったり、狭くなって血流が悪くなると、めまいが起こりやすくなるのです。

 血流は、日常生活のさまざまな要因で障害されます。ストレス、睡眠不足、体の冷え、食生活の乱れや水分不足、自律神経(内臓や血管の働きを調整する神経)のアンバランス、便秘、下痢……血流をよくするには、これらを解消すべく、生活習慣から見直す必要があるのです。

ひざの裏まで入念にもむのがコツ

 それと同時に、血流障害を改善し、めまいを防ぐ有効な方法の一つが、ふくらはぎのマッサージです。
 ふくらはぎをもむと、下肢の血液が心臓のほうに戻りやすくなります。すると心臓から送り出される血流もよくなり、全身の血液循環がよくなります。脳にもスムーズに血液が流れるようになるため、めまいを起こしにくくなるのです。

 ふくらはぎのもみ方は、足首から上に向かって、ふくらはぎの内側と外側を、指圧します。ひざの裏側はリンパ液がたまりやすいところなので、特に入念にもみほぐしてください。

 効果をさらに上げるには、まず足首を動かし、足裏をもんだ後にふくらはぎマッサージをするといいでしょう。
 マッサージは、心地よい強さで行ってください。1日3回、5分くらいずつ行うのがお勧めです。血行がよくなっている入浴後や寝る前にすると、さらに効果的です。

 ふくらはぎマッサージのほかに、めまい予防のために行ってほしいことが三つあります。

①寝る前にコップ1杯の水を飲む
 水分が不足すると脳血流が悪くなります。睡眠中は汗をかくので、脱水防止のために水分を補給しておきます。

②寝る3時間前までに夕食を済ませる
 食べてすぐに寝ると、消化のために胃腸に血液が集中して血流が悪くなり、脳への血液が不足します。

③風呂は半身浴にする
 ぬるめのお湯で半身浴をすると、血流がよくなり、リラックス効果も得られます。半身浴をしながらふくらはぎマッサージをすると、より効果的です。

 この三つに、ふくらはぎマッサージを合わせた四つの習慣を、私は「めまいを防ぐ四原則」と呼んでいます。
 この四原則を実行すると、再発ゼロとはいいませんが、かなりめまいを予防できますし、起きても軽いめまいで済みます。
 私がこの四原則を患者さんに勧めているのは、今からすぐに、誰でもできるからです。

 めまいは、薬を飲んでじっとしていれば治るわけではありません。しかし私が、「これをしていれば安心ですよ」とお話しすると、それが患者さんにとって勇気づけになり、プラスの相乗効果が生まれてきます。
 めまいの予防・改善には精神的な作用も大きいのです。

ふくらはぎをもむと平衡感覚をつかさどる脳や内耳の血液やリンパの流れが改善する

川越耳科学研究所クリニック院長
坂田英明
1988年、埼玉医科大学卒業。ドイツ・マグデブルグ大学耳鼻咽喉科研究員、埼玉県立小児医療センター耳鼻咽喉科副部長、目白大学教授等を経て2015年より現職。専門はめまい、耳鳴り、難聴、いびき、睡眠時無呼吸症候群。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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