【きっかけは患者さんのニオイ】口呼吸の害を伝えることに、医師人生をかける!

【きっかけは患者さんのニオイ】口呼吸の害を伝えることに、医師人生をかける!

――呼吸と病気が関係しているかもしれない。私がそう思うようになったのは、患者さんの「におい」がきっかけでした。毎日多くの患者さんと接しているうちに、鼻のきく私は、患者さんたちに特有の口臭があることに気づいたのです。【解説】今井一彰(みらいクリニック院長)


小学校で子供たちに口の体操「あいうべ」を指導

病気が悪化すると 口臭が強くなる!

鼻は加湿機能のついている空気清浄機!

 「呼吸と病気が関係しているかもしれない」

 私がそう思うようになったのは、患者さんの「におい」がきっかけでした。毎日多くの患者さんと接しているうちに、鼻のきく私は、患者さんたちに特有の口臭があることに気づいたのです。そして、その口臭は病態が悪化すると強くなり、病態が改善すると弱くなる傾向にありました。

 調べてみると、口の中の粘膜の乾燥が健康を大きく阻害することは、一部の歯科医師の間で早くから指摘されていました。
 そのことを踏まえて改めて患者さんに向き合ってみると、外来患者さんのなんと9割以上が、ポカンと口を開けて口呼吸をしていることがわかったのです。これに気づいたのが、2000年のことです。

 口呼吸は、口の中の粘膜を乾燥させる最大の要因です。「口呼吸を直せば、病気を治癒に導くことができる」と、私は確信しました。
 ここでいう「口呼吸」とは、安静時に口で呼吸をしている状態を意味します。
 私たちは、しゃべる、歌うなどの言葉を発するとき、また、酸素を多く必要とする激しい運動時には、口で呼吸をします。
 しかし、それ以外の安静時は、鼻から吸って鼻から吐く「鼻呼吸」が、哺乳類本来の正しい呼吸法です。安静時にもかかわらず口で呼吸をする「口呼吸」は、ほかの哺乳類を見ても、不自然極まりない呼吸法といえます。

 では、鼻呼吸と口呼吸にはどんな違いがあるのでしょうか。
 鼻呼吸の場合、空気中の異物や病原菌は、たとえ吸い込んだとしても鼻粘膜の表面に生えている線毛や粘液、それに口の奥にある扁桃リンパ組織でとらえられるしくみになっています。
 また、鼻から吸い込んだ空気は鼻の中を通ることで温かく湿った状態で肺へと送られます。いわば、鼻は「加湿機能つきの空気清浄機」なのです。

 一方、口呼吸では冷たく乾燥した空気をいきなり吸い込むことになります。ウイルスが体内に侵入したり、のどや器官を傷めたりするおそれもあります。しかも、空気を吸い込んだとき、口の中の水分まで奪い取られてしまうのです。
 口の中が乾燥すると唾液による殺菌・消毒作用が発揮されず、細菌が繁殖しやすくなります。そうなると、ムシ歯や歯周病(ペリオ)、口臭といった口の中の問題が起こりやすくなるだけでなく、全身の血管や内臓の働きを調整する自律神経のバランスが乱れ、さまざまな病気へとつながります。

口の体操「あいうべ」のやり方

 私は、この口呼吸の弊害に気づいてから、患者さんに鼻呼吸をしてもらうよう、指導してきました。すると、薬を使わなくても、病気が改善する人が次々に現れたのです。
 長年苦しんできたアトピー性皮膚炎が、わずか2週間でよくなった人がいました。難病が劇的に治り、感激して患者さんといっしょに涙したことも多々あります。

 こうして私は、いつしか「口呼吸の弊害を伝えることに、私の医師人生をかけよう」と 決意するようになりました。
 そして、患者さんやスタッフの協力を得てつくり上げたのが、口呼吸を鼻呼吸に変える口の体操「あいうべ」(図解参照)です。

 この体操は、「あ、い、う、べー」と口を大きく動かすだけで、舌や口の周囲の筋肉を鍛えられます。お金もかからず、いつでもどこでも、どなたでも簡単に行うことができます。

 私は8年前に、内科・リウマチ科・アレルギー科を診療科目とするクリニックを開業しました。
 ここでは、薬をほとんど使わず、「あいうべ」や、睡眠時の口呼吸を防ぐ「口テープ」などの指導をメインに行っています。近隣の調剤薬局からは、休診していると勘違いされるほど、薬を処方していません。

「口を閉じて鼻で呼吸する」

 そうすれば、病気の多くは防げるし、改善できます。薬などなくても、人間は本来「治す力」を持っているのです。
 私は、このようなことを、病気やつらい症状で苦しんでいる一人でも多くの人々に知ってほしいと思っています。
 そこで、この3~4年、休診日を中心に、全国各地で講演活動を続けています。おかげさまで、インフルエンザ対策として「あいうべ」を実践してくれる学校や、患者さんに「あいうべ」を勧めてくれる医療機関もふえました。

 ところで、私が患者さんに口呼吸の話をすると、「自分は鼻呼吸だから関係ない」という人がいます。しかし、そういう人でも、口が半開きになっていることがよくあります。私はこのような人を「隠れ口呼吸」と呼んでいます。隠れ口呼吸を含めると、日本人の実に9割が口呼吸といってもいいでしょう。
 あなたは、鼻呼吸なのか口呼吸なのか、次回の「口呼吸チェックリスト」で確認してみてください。

今井一彰
みらいクリニック院長。NPO法人日本病巣疾患研究会副理事長。1995年、山口大学医学部卒業。2006年に福岡市博多駅前にみらいクリニックを開業後、さまざまな方法を駆使しながら、薬を使わずに体を治す独自の治療を行う。「あいうべ」による息育や「足指を伸ばす」ことによる足育の普及にも力を入れている。著書に『免疫を高めて病気を治す 口の体操「あいうべ」』、監修に『足・ひざ・腰の痛みが劇的に消える「足指伸ばし」』(いずれもマキノ出版)など多数。

これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに掲載しています。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

これらの記事にある情報は、効能や効果を保証するものではありません。専門家による監修のもと、安全性には十分に配慮していますが、万が一体調に合わないと感じた場合は、すぐに中止してください。

この健康情報のエディター

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