ファイトケミカルの理解を深めるためにー 野菜スープで使う4つの野菜の主なファイトケミカル

ファイトケミカルの理解を深めるためにー 野菜スープで使う4つの野菜の主なファイトケミカル

私がおすすめする「野菜スープ」(ファイトケミカルスープ)で使う4つの野菜、すなわちキャベツ、ニンジン、タマネギ、カボチャに含まれる主なファイトケミカルについて解説します。【解説】髙橋 弘(麻布医院院長・医学博士 ハーバード大学医学部元准教授)


キャベツ

 キャベツに含まれるファイトケミカルのアリル-3-メチルスルフェニルブチルは、ミロシナーゼ(酵素)の作用でイソチオシアネートに変化して、肝臓の解毒酵素を誘導します。そして、発がん物質を無毒化して、発がんを予防します。

アリル-3-メチルスルフェニルブチル(グルコシノレート:イオウ化合物)

 グルコシノレート(カラシ油配糖体)の1つで、ミロシナーゼ(酵素)の作用により、ブチルイソチオシアネートやフェニルイソチオシアネートと呼ばれるイソチオシアネートに変化します。これらのイソチオシアネートは、肝臓の解毒酵素(グルタチオン-S-トランスフェラーゼやキノンレダクターゼ)を誘導し、発がん物質を無毒化することで、がんを予防します。ブチルイソチオシアネートやフェニルイソチオシアネートには、大腸がんの細胞や前立腺がんの細胞の、アポトーシス(自殺死)を誘導することも報告されています。さらに、キャベツのイソチオシアネートには、血液の凝固を抑制する作用もあり、心筋梗塞や脳梗塞の予防効果もあります。

※ビタミンC…抗酸化作用、免疫能の維持
※カルシウム…骨を強化する、精神安定作用
※メチルメチオニン(ビタミンU)…胃の粘膜の修復 キャベジンとも呼ばれる

※はファイトケミカル以外の有効成分

ニンジン

 ニンジンに含まれるファイトケミカルのα-カロテンは、抗酸化作用で発がんを予防し、β‐カロテンは、抗酸化作用で発がんを予防し免疫細胞を活性化します。

α-カロテン(カロテノイド)

 黄色〜橙色のカロテノイド。体内でビタミンA(レチノール)に変換され、体の中で必要な量だけビタミンAとして働き、粘膜を強くし細菌やウイルスの侵入を防ぎます。α-カロテンはβ-カロテンに比べると効力が低いとされてきましたが、近年α-カロテンには強い発がん抑制作用があることが明らかになりました。特に、肺がんとの関係では、α-カロテン摂取量の多い人では発がんのリスクが有意に低下することが報告されています。

β-カロテン(カロテノイド)

 ビタミンAとなり、粘膜を強くして細菌やウイルスの侵入・感染を防ぎます。また、ビタミンAとは異なり、強い抗酸化作用があり、活性酸素を除去し、発がんを予防します。さらに、病原菌やがん細胞と闘うマクロファージ(貪食細胞)、T細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)を活性化する働きがあります。

タマネギ

 タマネギに含まれるファイトケミカルのイソアリイン(イソアリルシステインスルホキシド)は、アリイナーゼ(酵素)の作用でイソアリシンに変化し、抗酸化作用で発がんを予防します。また、フラボノイド(ケルセチン)には、抗酸化作用があり、がん細胞の増殖を抑える働きや、がん細胞のアポトーシス(自殺死)誘導する作用があります。

イソアリイン(イソアリルシステインスルホキシド:イオウ化合物)

 システインスルホキシドに属するイオウ化合物です。アリイナーゼ(酵素)の作用でプロペニルスルフェン酸を生成し、これが空気にふれて重合してイソアリシン(タマネギ特有の臭気と辛み成分)に変化します。また、プロペニルスルフェン酸に催涙因子生成酵素が作用すると、涙の刺激成分(プロパンチオール-S-オキシド)が発生します。これらのイオウ化合物は、加熱によりタマネギのフレーバー成分であるジスルフィドやトリスルフィドに変化します。タマネギのイオウ化合物には優れた抗酸化作用があり、発がんを予防します。

ケルセチン(フラボノイド)

 ポリフェノールの仲間であるフラボノイドの一種で、黄色や茶色の皮の部分に含まれています。抗酸化作用があり、がん細胞の増殖を抑える働きや、がん細胞のアポトーシス(自殺死)を誘導する働きがあります。また、血小板の凝集を阻害し、心疾患や脳血管障害のリスクを低減する作用、抗アレルギー作用や炎症を抑える作用もあります。

カボチャ

 カボチャに含まれるファイトケミカルのβ‐カロテンは、抗酸化作用で発がんを予防し、免疫細胞を活性化します。

β-カロテン(カロテノイド)

 黄色〜橙色のカロテノイド。ビタミンAとなり、粘膜を強くして細菌やウイルスの侵入・感染を防ぎます。また、ビタミンAとは異なり、強い抗酸化作用があり、活性酸素を除去し、発がんを予防します。さらに、病原菌やがん細胞と闘うマクロファージ(貪食細胞)、T細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)を活性化する働きがあります。カボチャにはビタミンCやビタミンEが豊富に含まれるため、β-カロテンと相乗作用でスーパーオキシドやヒドロキシラジカルなどの活性酸素を消去し、抗酸化作用を発揮します。

※ビタミンC…抗酸化作用、免疫能の維持
※ビタミンE…抗酸化作用、がん予防効果

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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