【仙骨を温めると】睡眠の質が向上し、血圧や血糖値の数値が安定するセルフケア

【仙骨を温めると】睡眠の質が向上し、血圧や血糖値の数値が安定するセルフケア

私が治療に用いるときはツボを使いますが、患者さんのセルフケアとしては、「仙骨を温める」という方法をお勧めしています。簡単で非常に幅広い症状に効果が高い方法です。高血圧や糖尿病のコントロールで薬を処方されている方も、それを続けながら仙骨も温めてみるといいでしょう。【解説】中野朋儀(陽だまり はり・きゅう 治療室院長)


温めるだけで幅広い症状を改善

 私は、婦人科系を中心に、鍼灸治療を行っています。その施術のなかで、ひんぱんに使い、同時に患者さんのセルフケアにもよく活用している体の部位があります。それは「仙骨」です(仙骨の詳しい説明は後述)。

 私が治療に用いるときは、仙骨にあるツボを使いますが、患者さんのセルフケアとしては、「仙骨を温める」という方法をお勧めしています。これは、たいへん簡単にできますが、非常に幅広い症状を改善でき、しかも効果が高い方法です。
 例えば、仙骨を温めると、冷えや不眠は真っ先に効果が出る症状です。消化不良、胃もたれ、便秘、下痢、軟便など、胃腸の不調にもよく効きます。

 頻尿や尿の出が悪いなどの泌尿器の症状、女性なら生理痛、不妊、更年期障害、男性なら精力減退や勃起障害(ED)といった症状にも効果的です。
 さらに、慢性腰痛やギックリ腰、脊柱管狭窄症といった骨格系のつらい症状も、仙骨を温めることで改善できます。

温熱刺激が血管や神経にすばやく伝わる

 なぜ、仙骨を温めるだけで、このような幅広い効果が得られるのでしょうか。

 仙骨は、骨盤の背中側の中央にある平たい骨です。背骨を下にたどっていくと、お尻の割れ目の上で尾骨という出っぱりに触れますが、その上に平たい骨があるのがわかるでしょう。これが仙骨で、手のひらくらいの逆三角形の形をしています。

 仙骨は、骨盤の中心部分であると同時に、背骨の土台としての役割を果たしています。
 つまり仙骨は、上半身と下半身をつなぐ要の骨なのです。ですから、仙骨のバランスがくずれると、全身の骨格に影響し、腰痛などの原因になります。

 それ以外にも、仙骨はいろいろな意味で重要な骨です。
 仙骨を中心とする骨盤の中には、腸の一部や泌尿器、生殖器などが収まっています。そのため、仙骨が冷えると、これらの臓器にさまざまな悪影響が及ぼされます。
 それだけではありません。仙骨は、全身の血液循環にも深くかかわっています。骨盤へは、体の動脈のメインストリートともいえる腹大動脈(腹部を下向きに進む大動脈の一部)から、枝分かれして臓器に行く多数の血管が通っています。

 ですから、仙骨を温めることで、体の血流を促し、特に骨盤内の臓器への血流をよくして、それらの働きを高めることができるのです。

 また、仙骨には、自律神経(内臓や血管の働きを調整する神経)の一種である副交感神経(リラックス時に働く神経)が中心的に通っています。

 副交感神経は、体のリラックスした状態をつくる神経で、腹部の臓器の働きを高める作用を持っています。その副交感神経を、体の外から、もっともダイレクトに刺激できる場所が仙骨なのです。

 血管や神経が豊富な場所でも、厚い筋肉におおわれていると、外から温めたとき、なかなか内部に刺激が届きません。これは誤解も多いのですが、温熱刺激がダイレクトに伝わるのは筋肉ではなく骨です。仙骨部分は、触れてわかるとおり、皮膚のすぐ下に広い骨があるので、温熱刺激がダイレクトに伝わります。

 こうした理由により、仙骨を温めると、血管や神経にすばやく刺激が伝わり、内臓の働きがよくなって、前述のような幅広い効果が得られるのです。

質のいい睡眠の結果、血圧や血糖値に好影響

 仙骨を温めることによる効果は、ほかにもあります。

 仙骨を温めることを続けていると、血圧や血糖値が改善し、安定する人が多いのです。これは、睡眠がしっかり取れるようになることで、血圧や血糖値によい影響がもたらされるためと思われます。「糖尿病のコントロールには睡眠が大事」という最近の研究結果も出ています。

 高血圧や糖尿病で必要な薬を処方されている人は、もちろんそれを続けながら、仙骨を温めてみるとよいでしょう。血圧は高さとともに、変動が大きいことがよくないとされますが、仙骨を温めると、変動の幅が減って安定する傾向があります。

 また、仙骨を温めて消化器の機能が高まると、健全な食欲がわいてきます。すると、全身の調子が整えられ、免疫機能も高まってきます。これからのカゼやインフルエンザが流行る季節には、仙骨を温めて免疫機能を高めておくとよいでしょう。

 仙骨には、生殖器や泌尿器、腸などのトラブルによく効くツボが集まっています。温めることで、これらのツボが一気に刺激されることを通じても、体調がよくなってきます。

 仙骨の温め方は、下記でご紹介しています。やりやすい方法を実践してください。シャワーとその他の方法は、併用するとより効果的です。

中野朋儀
自治医科大学附属病院麻酔科・鍼灸師。陽だまり はり・きゅう 治療室院長。鍼灸師として25年のキャリアを持ち、関東の4地区で診療にかかわる。浦和専門学校で鍼灸師の育成に取り組む。近著『仙骨を温めればすべて解決する』(SBクリエイティブ)が好評発売中。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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