【医師解説】降圧剤のリスク 高血圧の薬、飲むのをやめたらどうなるか?

【医師解説】降圧剤のリスク 高血圧の薬、飲むのをやめたらどうなるか?

まず、これだけははっきりと申し上げておきます。年を取って、血圧が上がるのは自然なことだ、ということです。以前は、適正血圧は「年齢+90」の数値といわれていました。例えば、50歳の人なら最大血圧の適正値は140ミリ、60歳なら150ミリ、70歳なら160ミリというぐあいです。【解説】松本光正(おおみや診療所医師)


年を取って血圧が上がるのは自然現象

 まず、これだけははっきりと申し上げておきます。年を取って、血圧が上がるのは自然なことだ、ということです。

 以前は、適正血圧は「年齢+90」の数値といわれていました。例えば、50歳の人なら最大血圧の適正値は140ミリ、60歳なら150ミリ、70歳なら160ミリというぐあいです。
 こうして年齢に応じて血圧が上がっていくのは、そうやって血圧を上げていかないと、生きていけないからです。加齢によって血管も老化します。さらに、若いときのようにしなやかで弾力のある血管ではなくなります。

 血液は、かたくなった血管の中を流れ、栄養や酸素を送り、かたくなった血管を再び通って戻ってきます。血管がかたいため、力いっぱいポンプで送り出さないと、血液は体の隅々まで届きません。
 特に、頭部は心臓よりも上にあるため、そこへ血液を押し上げるには「圧」が必要です。ましてや、血管がかたくなると、よけいに圧が必要となりますから、こうしてお年寄りの血圧は自然に高くなるのです。

 このように、自然現象として生じる高血圧は、そもそも病気とはいえません。それを薬で無理やり下げたら、どうなるでしょう?
 血液が隅隅まで回らなくなり、めまい、しびれ、息切れ、倦怠感、肩こりなど、多くの不定愁訴が生じてくるのです。
 降圧剤の最大の害は、生きるための体の自然な反応をおさえてしまうことです。自律神経の働きを乱し、免疫力を低下させ、さまざまな病気や症状を引き起こすのです。
 脳にじゅうぶんな血液が行き渡らなければ、脳の働きも低下するので、認知症になったり、うつ状態になることもあるでしょう。

 さらに恐ろしいのが、降圧剤を使用し続けたため、脳梗塞を引き起こすケースです。降圧剤で無理に血圧を下げていると、血流が抑制されますから、この結果、脳梗塞になる危険があるのです。
 脳梗塞は、脳卒中の一つです。脳卒中は、脳の血管が破れたり詰まったりして起こる病気で、脳出血、クモ膜下出血、脳梗塞の三つに分類されます。

 このうち、高血圧が深く関与しているのは、脳出血だけです。1950年代には、脳出血が、脳卒中の95%を占めていました。このため、医師はだれもが、血圧を下げて脳出血を予防しようとしてきたのです。

 ところが現在では、脳卒中のうち、脳出血の占める割合は18%まで低下している一方、脳梗塞は75%もの割合を占めるようになっています(『脳卒中データバンク2009』)。このような状況では、最も心配しなければならないのは、脳梗塞であるはずです。

脳出血は減るが脳梗塞は増える

 しかし、降圧剤を飲むと、脳梗塞で死亡する割合は、二倍に高まるといわれているのです。血圧が高ければ、脳出血になるリスクがあるのは事実です。かといって、降圧剤を飲めば、脳卒中の大部分の割合を占める脳梗塞で死亡するリスクが高まってしまいます。
 どちらのリスクを選ぶかは、患者さんご自身にかかっているのです。

 ともあれ、私は、長年の診療経験から、降圧剤の使用に疑問を抱くようになり、高血圧の患者さんには、基本的には降圧剤を出さないようになりました。15年ほど前から、ほとんどのケースで、上がった血圧を無理に薬で下げない方針で治療に当たってきたのです。
 そして、薬を使わない代わりに、生活習慣を改善して血圧を下げることをお勧めしています。また、降圧剤をやめたいという患者さんには、「今すぐやめたほうがいいですよ」といっています。薬は、やめたいときが、やめどきなのです。

 急に薬をやめようが、徐々に薬の量をへらしてやめようが、それは関係ありません。服用をやめた人のうちで、血圧が上がる人はわずかに二割程度にすぎません。その人たちに、大きく体調をくずしたかたはいません。そして、残り八割の人は、薬をやめても血圧は上がっていないのです。
 そもそも、降圧剤を飲む必要などなかった人の数は、そうとう多いのです。その理由は、「高血圧の基準値」がしだいに引き下げられてきたからです。

 1999年までの基準では、最大血圧160ミリ以上が高血圧とされていました。それなのに、2000年には20ミリも引き下げられたのです!
 この結果、非常にたくさんの人たちが薬を飲まなければならなくなりました。ですが、ほんとうにこれらの人たちは、薬を飲む必要があるのでしょうか。
 しかも、血圧というものは、さまざまな要因から微妙に変動します。例えば、健康診断の前夜に徹夜で仕事をしていた場合や、検診時に緊張していた場合などにも、血圧が基準値を超えることはよくあります。

 こんなささいなきっかけで、「高血圧」と診断され、薬を飲み始めた人が、薬をやめたからといって、血圧が上がるはずもないのです。
「生きるために必要だから血圧は上がっている」と考えれば、高血圧をむやみに恐れる必要はありませんし、無理なく薬をやめることができるでしょう。

 降圧剤をやめれば、血流がよくなり、めまいやしびれが消えて、頭がスッキリしてきます。
 もちろん、「心配だから薬を飲み続けたい」というかたは、無理にやめる必要はありません。
 ただ、薬なしで健康に生きることはじゅうぶん可能ですし、そのほうが人間本来のあり方だということはいえるでしょう。

「基本的に降圧剤は出さない」

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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