【医師の明快解説】ストレスを解消し血圧が下がる「頭皮マッサージ」のやり方

【医師の明快解説】ストレスを解消し血圧が下がる「頭皮マッサージ」のやり方

東洋医学では、あらゆる慢性疾患は体のバランスの乱れとともに発症し、進行すると考えられています。そのバランスの乱れを、バランスの取れた中庸の状態に戻すことが、基本的な治療方針なのです。【解説】加藤直哉(健康増進クリニック副院長)


薬をやめても血圧が急上昇しない

「前回、先生の針治療を受けてから、血圧が劇的に下がったんです。どうしてですか?」
 診察室に入ってくるなり、こう話を切りだしたのが、アルツハイマー型認知症のお母さんに付き添いのAさん(55歳・女性)でした。Aさんも最近、長年の肩こりの治療を希望して、私の針治療を受け始めていたのです。Aさんは、まさか針治療で高血圧が改善するとは思ってもいなかったので、驚いたのでしょう。

 しかし、東洋医学的に考えれば、じゅうぶんあり得る話です。
 東洋医学では、あらゆる慢性疾患は体のバランスの乱れとともに発症し、進行すると考えられています。そのバランスの乱れを、バランスの取れた中庸の状態に戻すことが、基本的な治療方針なのです。

 Aさんの場合も、お母さんの介護などによるストレスが血流障害を起こし、その結果、高血圧、肩こりといった症状が発生していたと考えられます。
 そのような中、針治療によって体のバランスが整えられ、今回の病態の原因と考えられる、ストレスによる交感神経の亢進が改善されました。すると、末梢血管が拡張し、血流が改善したために、肩こりだけでなく、高血圧まで改善したのでしょう。

 以前のAさんの血圧は、降圧剤の服用前が最大血圧200mmHg、最小血圧120mmHgで、服用後が最大血圧160mmHg、最小血圧90〜100mmHg台。それが針治療により、最大血圧が130〜140mmHg台に下がりました。

 こうして血圧の低下を確認し、その理由も理解したうえで、Aさんはご自分の意思で薬の服用をやめました。薬嫌いで、もともと高血圧も自然治癒力で治したかったそうです。
 私は、もう少し内服を続けながらの経過観察を勧めたのですが、「どうしてもやめたい」とおっしゃるので、しっかり血圧を測りながら経過を見ました。

 幸い、薬をやめても最大血圧は140〜150mmHgの範囲内、最小血圧は90mmHg前後です。まだまだ高めとはいえ、それほど心配のない状態でしょう。
 とはいえ、薬をやめてもAさんの血圧が急上昇しないのは、自分で体のバランスを整える努力をされているからです。

 Aさんには、お母さんの治療の一環として「砂糖、油、乳製品を控えた和食中心」の食事と、「一回30分以上、週3回以上」の運動を指導しました。お母さんとともに、Aさんもそれを実行されているようです。
 また、針治療でお母さんの痴呆症状が改善し、体のバランスを乱す元凶だったストレスが軽減されてきたことも、血圧のコントロールを良好にした要因でしょう。

頭がスッキリし、視野が明るくなる

 こうした生活習慣や環境の改善効果に加え、大きな効果を発揮したのが、鼻のつけ根から頭頂部までを指で刺激する「頭皮マッサージ」です。Aさんは、この頭皮マッサージをお母さんにやってあげたそうです。さらに、自分でも行いました。

 私は、全身を整えるために、患者さんに「山元式新頭鍼療法」という、頭部を刺激する針治療を行い、好評を得ています。頭皮マッサージというのは、その家庭版として考案したものです。

 山元式新頭鍼療法は、山元敏勝医師が開発した針治療の一種で、主に頭部にある治療点を使って、全身を治療します。即効性に優れ、治療後は高血圧の人の血圧も15〜20mmHgほどストンと下がる例が多く見られます。

 しかし、ストレス状態が改善しなければ、治療効果も持続しません。そこで、毎日自分で治療して、体のバランスを整えることが大切なのです。

 頭部にある治療点のうち、全身調整の基本となるのは、前頭部にある十二脳神経・十二内臓点と脳点です。これらは、体の左右中央にある正中線の左右1cm外側のライン上に点在し、さらにそのラインをまっすぐ下った額には、目、鼻、口の3感覚点が分布します。頭皮マッサージを行うと、これらのポイントを、すべて刺激できます。

 現代人は皆、多かれ少なかれストレスを抱えています。疲れやストレスを感じたときにこの頭皮マッサージを行えば、驚くほど頭がスッキリし、視野が明るくなり、内臓、脳も元気になるでしょう。

《頭皮マッサージのやり方》
❶両手の親指の先を、鼻のつけ根のくぼみに当てる。
❷そこから眉頭、額へと、少し痛みを感じるぐらいの力で、まっすぐ指先を上へすべらせながら、頭頂部まで刺激する。
❸頭頂部に到達したら、今度はそのまま同じラインを押し下げながら、スタート地点の鼻のつけ根に戻る。
 このとき、指の間隔は約2cmに保ち、途中、特に強く痛む場所があれば立ち止まり、痛みが和らぐまで押してください。

 以上を、ゆっくりと息を吐きながら、10往復行います。

 高血圧の人は、この10往復を一セットとして、一日2〜3セットを目安に、継続して行うとよいでしょう。
 なお、血圧の原因はストレスだけとは限りません。その原因によっては、針治療、頭皮マッサージだけでは、効果が乏しいこともあるでしょう。そういった場合には、西洋医学も上手に使い対応していただきたいと思います。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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