患者さんに大好評「口の血管マッサージ」―全身の血流を高め病気や症状を撃退する

患者さんに大好評「口の血管マッサージ」―全身の血流を高め病気や症状を撃退する

歯の冷え性になると、口の中の免疫力が低下して歯周病にかかりやすくなり、ムシ歯、口臭などの原因になる可能性があります。「歯が浮いた感じがする」「検査では何も問題ないのに、歯に痛みがある」などの痛みや違和感も歯の冷え性が原因というケースもあるのです。【解説】倉治ななえ(クラジ歯科医院院長・日本歯科大学附属病院臨床教授) 


歯が痛い、浮く、しみるは 「歯の冷え症」が原因

 皆さんは、「歯の冷え症」を知っていますか?
「冷え症」といっても、歯そのものが「冷える」のではありません。歯の周囲に巡っている、毛細血管の血流が悪くなって起こる症状を患者さんが理解しやすいように、と便宜的に使っています(以後、歯の冷え症)。

 いわゆる「手足の冷え症」は、頭痛や肩こり、ときには不眠などの症状が出ますが、歯の冷え症の場合も同様です。
 口の中の免疫力(病気に対する抵抗力)が低下して歯周病にかかりやすくなり、ムシ歯、口臭などの原因になる可能性があります。
 さらに、「なんとなく歯が浮いた感じがする」「レントゲンや検査では何も問題ないのに、歯に痛みがある」「知覚過敏の処置が済んでいるのに、歯がしみる」といった原因不明の痛み、違和感。それらの症状も、「実は歯の冷え症が原因だった」というケースが最近多く見られます。心当たりはありませんか。

 歯の冷え症は、なぜ起こるのでしょう。それは、体の冷え症と同様に、体の末端にある毛細血管にまで、血液が十分に行き渡っていないからです。血液が行き渡らないと酸素や栄養が運ばれにくくなってしまいます。
 私たちの体を巡る血液は、まず心臓から動脈を通って全身に送られます。そして、体の隅々にまで行き渡った血液は、静脈とリンパ管を通ってまた心臓に戻ってきます。

 しかし、末梢の血管に行けば行くほど圧力は弱まり、血液は届きにくくなるのです。
 特に、歯肉や歯周組織は毛細血管だらけですので、そこに届く血液量は、ほんのわずか。この毛細血管の血流を「微小循環」といい、微小循環は動脈血を個々の細胞にまで運ぶ、大切な役割をしているのです。

 前述したとおり、血管には動脈と静脈があります。動脈は酸素や栄養を届け、静脈は老廃物を排泄する役割をしています。
 最近よく耳にするようになった「静脈マッサージ」とは、体内の過剰な水分や老廃物を流してむくみを取る、というもの。確かによい方法ではありますが、静脈の流れをよくするだけでは細胞は活性化しません。
 酸素や栄養を含む「動脈血」の血流をよくすることこそが、健康の鍵を握っているのです。

 それでは、毛細血管にまで動脈血を行き渡らせるようにするためには、何をすればいいでしょうか。
 それは、全身の血行をよくすることです。いちばんシンプルな方法は、よく歩くことです。
 太ももやふくらはぎには、歩くことで収縮する大きな筋肉があります。その筋肉が、全身の血液をスムーズに心臓へ戻すポンプの役目を果たすのです。普段歩かない人は、間違いなく微小循環が悪い傾向にあり、そのため、歯に不調が現れることが多いのです。

 ちなみに、肩こりを治すだけで、歯の周囲の微小循環が改善されることもあります。肩こりは、筋肉が硬くなって、血液の流れが滞ることで痛みが生じる症状です。筋肉をほぐすことで、全身の血流がよくなり、肩こりばかりか、歯の不調までもらくになることがあります。
 しかし、動脈血の血流をよくするいちばんお勧めの方法は、「口の血管マッサージ」です。

「プッシュして離す」 をくり返す

 口の血管マッサージは、試行錯誤しながら患者さんとともに作り上げた大変好評の刺激法です。治療と併せてこれを行うことで、歯の不定愁訴がなくなった、痛みや違和感がなくなった、という人がたくさんいらっしゃいます。
 そもそも歯の血管は、手足の血管とは違い、歯ぐきからあごの骨の中へ入り、歯根膜や歯周組織と、非常に狭く硬いところを通っています。そのため、外から刺激を受ける機会が少なく、血流が滞りやすいのです。

 そこで口腔内の上・下唇動脈など、比較的太い血管を外から優しく刺激することで、血液の循環がぐんとよくなるのです。
 血液循環がよくなれば、歯を取り巻くさまざまな症状が改善し、全身の健康にも好影響をもたらしてくれるはずです。
 口の血管マッサージは、プッシュ(一時的に血流を遮断)、パッと離す(遮断された血液が流れる)、をくり返すことで血管に刺激を与え、その先の毛細血管にまで血液を行き渡らせることが最大の特長です。

 皆さんも、ぜひ口の血管マッサージを実践して、歯の健康を増進してください。

歯ぐきとほおの内側の境目(矢印部分)を目指して「プッシュ!」
上あご側、下あご側をマッサージ

口の血管マッサージのやり方

倉治ななえ
1979年、日本歯科大学卒業。1983年、クラジ歯科を開設。1989年、医療法人社団仁慈会設立・常任理事就任。テクノポートデンタルクリニック開設。1990年、子育て歯科を始める。2003年、Dr.NANA予防歯科研究所設立(代表)。著書に『子育て歯科』(デンタルフォーラム社)、『はじめての歯みがきレッスン』(PHP研究所)などがある。

これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに掲載しています。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

これらの記事にある情報は、効能や効果を保証するものではありません。専門家による監修のもと、安全性には十分に配慮していますが、万が一体調に合わないと感じた場合は、すぐに中止してください。

この健康情報のエディター

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